検索結果詳細
『五大力』 従吾所好
例の向うむきのまゝで、一服吸つけて、肩なぞへにづツと出した。と払いて、然やうならと廊下へ出た。ばた/\と送つたが、何と階子段を下りるにも、矢張り顔を背けて居る。
此が、同じ形で、式台に、草履を高く、部屋着の小紋の紋着で、すつくりと立つたのを、――茶屋へも帰らず、すぐに車をつけてもらつた――蹴込の上で、も一度見た。
ふと何だ……それまでは、狂人だと思つたらう、其で顔を見せないのだと極めて居たのに……あゝ、あの、其の遊女の顔が浮草の面なのぢやないかと思つた。
650/1139
651/1139
652/1139
[Index]