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『草迷宮』
鏡花とアンティークと古書の小径
森は押被《おっかぶ》さっておりますし、行燈は固《もと》よりその立廻りで打倒《ぶったお》れた。何か私どもは深い狭い谷底に居窘《いすく》まって、千仭の崖の上に月が落ちたのを視《なが》めるようです。そう言えば、欅の枝に這いかかって、こう、月の上へ
蛇
のように垂《たれ》かかったのが、蔦の葉か、と思うと、屋根一面に瓜畑になって、鳴子縄が引いてあるような気もします。
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