世界合唱シンポジウム/ドイツ公演記念
バッハのモテットとマニフィカト
2005/ 7/29 日大カザルスホール 19:00
※同一プロダクション
2005/ 7/28 京都コンサートホール 19:00 (曲目は演奏順にBWV127,227,225)
J.S.バッハ/プレリュードとフーガ BWV541(オルガン独奏:鈴木雅明)
J.S.バッハ/
モテット 《イエスよ、わが喜び》BWV227
《主に向かいて新しき歌をうたえ》BWV225
マニフィカト ニ長調 BWV243
指揮:鈴木雅明
独唱:野々下由香里(S1)、藤崎美苗(S2)、上杉清仁(CT)、櫻田 亮(T)、浦野智行(B)
合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン
《出演メンバー》
- ☆BWV227 《イエスよ、わが喜び》
- SOLOISTS (No.4,8,9)
soprano:野々下由香里、alto:上杉清仁(CT)、tenore:櫻田 亮、basso:浦野智行
CORO
soprano I :野々下由香里、柏原奈穂、緋田芳江
sopranoII :藤崎美苗、鈴木美紀子、星川美保子
alto:上杉清仁、青木洋也、鈴木 環、山下牧子
tenore:櫻田 亮、鈴木 准、谷口洋介、水越 啓
basso:浦野智行、藤井大輔、緋田吉也、渡辺祐介
ORCHESTRA
violino I(S1):若松夏美、パウル・エレラ、violino II(S2):高田あずみ、荒木優子
violinoIII(A):竹嶋祐子、山口幸恵
viola(T):森田芳子、渡部安見子、violoncello(B):鈴木秀美
Continuo
organo:今井奈緒子、contrabasso:西澤誠治
direction:鈴木雅明
- ☆BWV225 《主に向かいて新しき歌をうたえ》
- SOLOISTS
soprano:野々下由香里、alto:上杉清仁(CT)、tenore:櫻田 亮、basso:浦野智行
CORO 1
soprano:野々下由香里、柏原奈穂、緋田芳江
alto:上杉清仁、青木洋也
tenore:櫻田 亮、鈴木 准
basso:浦野智行、藤井大輔
violino I:若松夏美、パウル・エレラ、violino II:高田あずみ、竹嶋祐子
viola:森田芳子、violoncello:鈴木秀美
CORO 2
soprano:藤崎美苗、鈴木美紀子、(星川美保子)
alto:鈴木 環、山下牧子
tenore:谷口洋介、水越 啓
basso:緋田吉也、渡辺祐介
oboe :三宮正満、oboe da caccia:前橋ゆかり、尾崎温子、
fagotto:堂阪清高、contrabasso:西澤誠治
Continuo
organo:今井奈緒子
direction:鈴木雅明
- ☆BWV243 「マニフィカト」
- SOLOISTS
soprano I:野々下由香里、sopranoII:藤崎美苗、alto:上杉清仁(CT)、
tenore:櫻田 亮、basso:浦野智行
CHORUS
soprano I:野々下由香里、柏原奈穂、緋田芳江
soprano II:藤崎美苗、鈴木美紀子、(星川美保子)
alto:青木洋也、上杉清仁、鈴木 環、山下牧子
tenore: 櫻田 亮、鈴木 准、谷口洋介、水越 啓
basso: 浦野智行、緋田吉也、藤井大輔、渡辺祐介
ORCHESTRA
tromba I:島田俊雄、tromba II:神代修、tromba III:村田綾子
timpani:松倉利之
flauto traverso:前田りり子、菊池香苗
oboe :三宮正満、尾崎温子
violino I:若松夏美(leader)、パウル・エレラ、竹嶋祐子
violino II:高田あずみ、荒木優子、山口幸恵,
viola:森田芳子、渡部安見子
Continuo
violoncello:鈴木秀美、contrabasso:西澤誠治、fagotto:堂阪清高
cembalo:鈴木優人、organo:今井奈緒子
direction:鈴木雅明
※京都公演では、BWV127の演奏に、リコーダーの山岡重治、向江昭雅のお二人が参加されました。
(05/07/29)
バッハ・コレギウム・ジャパン特別演奏会
バッハの教会音楽はこの世で生み出されたもっとも豊かで、多彩で、繊細かつ感動的な音楽の集合体であると思っているわれわれにとって、バッハ・コレギウム・ジャパンが、新たな作品を取り上げることは、毎回のように大きな喜びを与えてきた。。
鈴木雅明は今やバッハのカンタータ演奏の第一人者として国際的に高い評価を得ているが、これらのカンタータの多くは、クラシック音楽愛好家にとってさえ知られざる秘宝であったのだ。今年結成15周年を迎えるこのすばらしいアンサンブルで、マニフィカトとモテットを聴くのは祝すべきコンサートとなるにちがいない。
(カレル・ヴァン・ウォルフレン[作家、アムステルダム大学政治経済制度比較論教授]
05/07/29、チラシ掲載文より) |
- 【コメント】
- 京都公演
セッティングの関係からか、カンタータBWV127から演奏が始まり、BWV227、BWV225の順で演奏されました。当日午前中のレクチャーでは、NECレクチャーの時の前半(バッハにおける古様式についてなど、モテット理解のための導入)は割愛し、BWV227《イエスよ、わが喜び》の解釈に絞ったとのことですが、会場の活発な反応もあり、やはり(?)最後は時間が足りなかったそうです。そのセミナーの熱気が持ち込まれたこともあってか、夜の演奏会でも、あつまったシンポジウム参加者を中心としたほぼ満員の(さすがにステージ裏の客席には人はいませんでしたが)聴衆の集中力とテンションは大変高いものでした。
この日のステージ前半で見事な歌唱を披露してくれた「ノルディック・ヴォイス」の余韻と、会場の大きな空間に響きがなじむのに少し時間がかかったためか、やや慎重な趣で最初のカンタータの演奏が始まりましたが、徐々にこの日が255回目の命日にあたるJ.S.バッハの音楽が力を持ってきました。カンタータ3曲目・ソプラノアリアのDC前の休止の静寂も客席全体で共有できました。そして2曲の珠玉のモテットの演奏。聴衆のヴォルテージは最高潮に達し、最後は盛大なスタンディングオベイションで幕となりました。
BWV227では器楽は弦楽器のみ。合唱の並び順は左からS1-A-B-T-S2で、ソプラノは対向配置で、第4,8,9,曲はソロメンバーだけで歌われました。BWV225では、1グループに弦楽器、2グループにオーボエ族とファゴットの管楽器がつきました。合唱はソプラノが両翼にくる対向配置。コラールとソロ群が歌い交わす「アリア」の楽章では、1グループのソロメンバーが一歩前の位置でソロを歌い、1グループのそれ以外のメンバーは後ろでコラールに加わっていました。コラールの響きが大きく広がり、ソロ群との対比が効果的でした。(05/07/29、矢口記)
東京公演
冒頭のオルガン独奏が、急遽鈴木雅明さんに変更(予定では今井奈緒子さん)になったり、一曲目のBWV227のあと、ソプラノの星川さんが体調を崩されその後の2曲がキャンセルになる(詳しくはこちら)など、2日連続の公演の厳しさもかいま見られましたが、演奏は大変充実したものでした。演奏後のスピーチで鈴木雅明さんも触れられていましたが、今回「ロ短調」を演奏するアンスバッハのバッハ音楽祭はカール・リヒターとの結びつきもある伝統的なフェスティバル(リヒターのBWV147番の録音はアンスバッハ・バッハ週間管弦楽団との演奏!)。それにシュレスヴィッヒ・ホルシュタイン音楽祭も大変大規模なフェスティバルです。こうした催しに招かれることの栄誉と創立15周年の記念に、BCJが1990年のデビューコンサート(@大阪:いずみホール)で取り上げた(東京ではこの同じカザルスホールでの第3回定期)マニフィカト BWV243が演奏されたことは、大変感慨深いことでした。しかも今回の声楽メンバーはすべて日本人。ドイツ公演ではロビンやペーターも参加しますが、この日の演奏は、BCJ声楽陣のこれまでの歩みの成果を大きな手応えをもって実感させてくれるものでした。
この日の演奏では、前日の京都コンサートホールの広い空間でのパワフルな印象とは異なり、親密な空間(懐かしかったです!)での余裕を感じさせる無理のない表現が印象的でした。しかし、それは決してテンションの低いものではなく、高い集中の中でのゆとりがもたらす自在な感覚です。モテットも、そしてマニフィカトも大変説得力のある演奏でした。きっとドイツの聴衆もうならせることができるでしょう。彼の地での評判が今から楽しみです。旅先でのご健康とご健闘を心からお祈りいたします。
また今回、賛助会員をこの特別演奏会に「招待」していただけたことも大変うれしく思いました。時に応じて、縁のあるこの日大カザルスホールで、これからもこのような演奏会を開いていただけるとうれしいです!ありがとうございました。(05/07/31、矢口記)
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