メリー・クリスマス

あなたはバスルームへ行き、ドライヤーを取ってきて彼に渡しました。

「自然乾燥派なんだ」

「夏ならそれでもいいけど、今ははやく乾かさないと風邪ひきますよ」

「オレ、風邪ひかないんだ」

「問答無用」

あなたは最初は少々乱暴にタオルで拭き取りながらドライヤーをあててカークの髪を乾かし始めました。毛先と一緒に服にも軽く風をあてていきます。カークは黙って大人しく座っていました。

「…誰かに」

「え?」

ドライヤーの轟音でよく聞こえなくて、あなたが聞き返すと、カークはおもむろに身体をひねって振り向いて言うのでした。

「誰かに、こんなふうにしてもらうの、久しぶり」

嬉しそうに、でも少し照れくさそうに、きれいな笑顔で見つめられてあなたはドキッとしてドライヤーを止め、うつむいて言いました。

「もう、だいたい乾いたと思うから」

「ありがと」

そう言うなり、カークは腕を伸ばしてあなたの頬に触れ、自分のほうに向けました。赤面してる顔をまともに見られてあなたはいっそう赤くなってしまいました。自分から触れるなんて、純情素朴のカークは何処へっ!?

「お礼を、したいんだけど」

「そ、そんな、いいです」

「………」

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