メリー・クリスマス

「降ってないなあ」

控え室を出た向かい側から外に出たあなたは、寒さに震えながら空を見上げました。
首をひねりつつ、辺りを見回していると、会場から続くバルコニーに人影を見つけました。

寒風吹きすさぶそこへ近付くと、その人影は、タキシード姿で升酒をあおる、美女丸君でした。

手すりに斜めに身体をあずけ、どこか遠くを見ているふうな彼に、あなたはしばし声をかけづらく立ち尽くしてしまいました。と、その時、強い風が吹いて、あなたは思わず声をあげてしまいました。

その声に、美女丸君がこちらを振り返りました。彼とバッチリ目が合ってしまったあなたは、

「か、風邪をひきますよ」

「あ、熱燗お持ちしましょうか?」

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