メリー・クリスマス

「いや」

白い息を吐いて、美女丸君はあなたから顔をそむけてしまいました。
眉をひそめた厳しい表情は寒さのせいばかりではなさそうです。

「あの…どうかしたんですか」

思わずそう声をかけて、あなたは美女丸君を見つめました。
美女丸君は視線だけを動かしてあなたを一瞥し

「ひとりにしておいてくれないか」

と言いました。
頑なその様子に、あなたはあきらめて戻ろうと踵を返しました。
と、そのときひときわ強い風が吹き上げ、あなたのスカートをまくり上げてしまいました。

「きゃっ」

時すでに遅くとも、必死でスカートを押さえ付けて風が止むのを待つあなたの視界の端に、美女丸君が身じろぎしたのが目に入りました。
あなたは動揺して

バタバタと逃げ出す

「み、見たでしょー!」

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