そうしてあなたが会場の隅でワインを用意していると、青い顔の同僚がオロオロしているのが見えました。どうしたの?と声をかけると
「これ、アルディ様へって言われたんだけど、私フランス語できないし、どうしようっ」
と電話の子機を両手で握りしめています。あなたはキュピーン☆と目を光らせて
「あたしが渡して来るよ。貸して」
と彼女から子機を受け取って、意気揚々と会場に戻りました。
ふっふっふっ。シャルルは日本語はなせるんだもんねー!
思いがけないお近づきのチャンスにあなたは笑顔で会場を見回し、彼を捜しました。暖炉脇で物憂げにシャンパングラスを持って佇んでいます。いざっ。
「お電話です」
少し緊張気味に声をかけると、シャルルは白金髪を揺らして顔を上げ、あなたを見ました。
その美しい眼差しにあなたは全身心臓になったようにドキドキバクバクしながら彼に子機を差し出しました。
「ああ」
と彼は無愛想に返事をして子機を受け取りました。あなたは
