電話を持って出て行ってしまったシャルルを見送り、あなたはワインを持って会場をまわっていました。
その途中、少し酔っぱらったお客さまがワイングラスを取り落としてしまいました。
「あっ」
「おっと」
ガシャンと人目を引く音がして、それは他のお客さまの足元をかすめ、濡らしてしまいました。
「申し訳ありませんっ。大丈夫ですかっ?」
駆け付けたあなたに振り返ったのは、なんと響谷薫さんでした。
シャンデリアの下、きらめく美貌に固まっているあなたの前で、薫さんは濡れてしまったほうの足を振って水気を払ってみせました。
「平気、平気。ほら」
「でもっ」
とあなたが食い下がると、顔を上げた薫さんに真正面から見つめられてしまいました。
ついつい赤面してしまうあなたのあごを軽くしゃくり、薫さんは言いました。
「それとも、着替えを手伝ってくれるのかな?」
小首をかしげて、ななめにあなたを見下ろす薫さんは、一瞬、キョトンとしたあなたに
「私の部屋で、二人きりで」
と耳もとに囁きました。触れそうなほど近くにいる薫さんにあなたは
