Harmonica virtuoso |
白人家庭で育てられた幼少の頃、ハモニカ、カズー、ジャグなどを与えられ、楽器を習得。11歳の頃には、20歳前後のJOHN ESTESと共演するまでになっている。このパートナーシップが生涯のものになるとはお釈迦様でも気がつくめえ。というハミーニクスン子供時代の一コマではあった。
ところで、当時、JOHN ESTESの相方はNOAH LEWISが務めていた。ルイスの必殺技「鼻吹き」を目の当たりにしたニクスンはどうもこれに挑戦したらしい。しかし、鼻血がほとばしるにいたって、これを断念したといういきさつが今に伝わっている。(David Evans氏によるHMG6509のライナーノーツ参照。)
初のレコーディングについては、諸説があるが、DIXON, GODRICH & RYEのディスコグラフィーにおいて確認されている、1934年9月にシカゴで行われたSON BONDSとのセッションを想定するのが一般的なところであろう。しかし、ここは先に引用したHMG6509のライナーノーツに紹介されているエピソード − 1929年にメンフィスで行われたJOHN ESTES、YANK RACHELLのビクターへの吹き込み2曲に招かれた − を採った方が面白そうである。
というのも、このエピソードに相当する条件(1929年メンフィスでのセッション、ビクターへの吹き込み、ハーモニカの使用、2曲のセッション)を満たすJOHN ESTES、YANK RACHELL名義の録音は、"BLACK MATTIE BLUES"と"T-BONE STEAK BLUES"の2曲しかない。したがって、この場合、これら2曲にクレジットされている"TEE"と名乗るハモニカ吹きがティーンエイジャーのニクスンだということになる。
ところで、ニクスンのハープスタイルといえば、2ndポジションによるいわゆるコール&レスポンスが基本。ハンドエフェクトを効果的に使ったニュアンスの豊かなトーンと、吸音5穴の7thの効果を生かした鋭いフレーズ回しを特徴とするハープスタイルの持つ影響力の強さは、JOHN LEE "SONNY BOY" WILLIAMSONという不世出の天才によっていや増すことになり、結果、戦後のシカゴハープシーンの全てが、ニクスンの影響下にあるといってもさしつかえないほどである。(この点についての考察は、"Blues Harp"/ by Larry Hoffmanに詳しい。)
ところが、先ほどの2曲がニクスンの吹き込みであるとすると、そこには、後年の吹き込みにみせる2ndポジションによるコール&レスポンスは、その片鱗すらも認めることができないのである。ということは、1929年〜1934年まで、ニクスン10代の末から20代の前半にかけての数年で、その偉大な演奏スタイルが創りだされ、完成されていったことになる。この間に名前の失われたハモニカ吹きが関与していたのか、あるいはニクスンがある日突然の天啓を受けたのか、スタイル誕生のいきさつは全くわからないが、モダンハープにとって、最も重要な数年間であったことは間違いなかろう。
「面白そう」だというのはこんなわけだ。
discography
THE SOURCES
1907年〜1909年頃、テネシー州ブラウンズビル周辺で生まれる。師匠筋のNOAH LEWISの一回り年下、後年の弟子筋にあたるJOHN LEE "SONNY BOY" WILLIAMSONの5〜7歳年上に当たる。1911年生まれのSONNY TERRYとほぼ同世代と考えてよいだろう。
*1 on WBCD-003, *2 on DOCD-5015, *3 on DOCD-5016
JOHN ESTES, v; acc. own g; 'Tee', h; James Rachell, md
Memphis, Tenn. 2.Oct.1929
56335-1
BLACK MATTIE BLUES
*2
JAMES RACHELL, v; acc. own md; John Estes, g; 'Tee', h
Memphis, Tenn. 2.Oct.1929
56336-2
T-BONE STEAK BLUES
*2
BROWNSVILLE SON BONDS, v; acc. own g; Hammie Nixon, h
Chicago, 6.Sept.1934
C-9396--
ALL NIGHIT LONG
*1
C-9397--
SHE WALKS LIKE MY WOMAN
*1
C-9403-A
WEARY WORRIED BLUES
*1
C-9404-A
BACK AND SIDE BLUES
*1
BROTHER SON BONDS, v; acc. own g; Hammie Nixon, v-1/j-2
Chicago, 8.Sept.1934
C-9412-B
I WANT TO LIVE SO GOD CAN USE ME -1,2
*1
C-9413--
AIN'T THAT NEWS? -1,2
*1
C-9414--
GIVE ME OLD TIME RELIGION -2
*1
C-9415--
IN MY FATHER'S HOUSE -1,-2
*1
HAMMIE AND SON, Son Bonds v/g; Hammie Nixon, h
Chicago, 11.Sept.1934
C-9444--
TROUBLE TROUBLE BLUES
*1
C-9445--
TENNESSEE WORRIED BLUES
*1
SLEEPY JOHN ESTES, v; acc. own g; Hammie Nixon, h/sp-1
Chicago, 9.July.1935
90094-A
DOWN SOUTH BLUES
*2
90095-A
STOP THAT THING
*2
90096-A
SOMEDAY BABY BLUES
*2
90097-A
WHO'S BEEN TELLIN' YOU BUDDY BROWN BLUES
*2
Chicago, 17.July.1935
90175-A
MARRIED WOMAN BLUES
*2
90176-A
DROP DOWN MAMA
*2
SLEEPY JOHN ESTES, v; acc. own g; Hammie Nixon, h; Charlie Pickett, g; Lee Brown, k-1
New York City, 2.Aug.1937
62461-A
GOVERNMENT MONEY
*2
62462-A
I WANTA TEAR IT ALL THE TIME-1
*2
62463-A
VERNITA BLUES
*2
62464-A
I AIN'T GONNA BE WORRIED NO MORE
*2
62465-A
FLOATING BRIDGE
*3
62466-A
NEED MORE BLUES
*3
CHARLIE PICKETT, v; acc. own g; Lee Brown, p; orob. Hammie Nixon, h-1
New York City, 2.Aug.1937
62467-A
CRAZY 'BOUT MY BLACK GAL
*1
62468-A
TREMBLING BLUES-1
*1
SLEEPY JOHN ESTES, v; acc. own g; Hammie Nixon, h; Charlie Pickett, g; Lee Brown, k-1
New York City, 3.Aug.1937
62479-A
JACK AND JILL BLUES
*3
62480-A
POOR MAN'S FRIEND(T MODEL)
*3
62481-A
HOBO JUNGLE BLUES
*3
62482-A
AIRPLANE BLUES
*3
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