愛の店物語

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 あたしは、毎朝6時に起きて活動を開始する。
 今日もいつも通り6時に起き、息子と一緒に新聞とテレビを見ながら朝食を済ませ、大騒ぎしながら支度をし、宿敵ポンキッキーズが始まる前にテレビを消して愛車にのり出勤となる。
 いつも国道は取りあえずは流れもスムーズで、15分弱位で息子の通っている保育園にたどり着く。そこから勤め先である愛の店(仮称)までは、運が良ければ5分弱でたどり着く。
 月曜の朝ともなると、9時出社の人達を除き全員が揃っている。始業時間は8時30分。時間が来ると会議室で朝礼が行われる。
 しかし今日は月曜日なのである。
 全員が揃ったと同時に部長の叩く木魚代わりのクラベスに合わせ、一斉に般若心経を唱えだす。

般若心経に怯えるの図  初出社の日、初めてそれを聞いた時は「まずい所に来てしまった・・・」
真剣に考えてしまったが、今ではしっかり慣れてしまい、月曜の朝にそれを聞かないと、なんとなく一週間が始まらないような気がしてきているのである。習慣とは怖いものである。ちなみにあたしは正真正銘のクリスチャンである。
 勿論、愛の店は全く宗教団体がらみな会社ではなく、般若心経を唱える会議室には神棚が奉られ、地元のお祭りの日は会社は休みになる。

 会社の中は配達先(家庭用と業務用)で分かれ、あたしは家庭用の顧客管理と家庭用の配達をするリーダーさんの登録などのコンピューター入力、帳票出力、その他沢山の内勤業務をしている。
 仕事は慣れるまでは大変だったけれど、慣れればお気楽極楽な時間が待っている。一週間でひと流れ。あたしはパートだから、8時30分から15時30分の6時間で与えられた仕事をこなして、息子の待つ保育園へ車を走らせる。完全週休二日で、お小遣いにしては多いくらいの給料をもらい、友人には「詐欺だ」などといわれるが、高い保育料とこの前買った新車のローンで7割はなくなってしまうので、許してもらいたい。ほんとの話なのよ。

 テレビのコマーシャルでは「4週間目にこんにちわ〜♪」などと宣伝しているけど、実際は「2週間目にこんにちわ〜♪」とか「8週間目にこんにちわ〜♪」とか「来週もまたこんにちわ〜♪」というパターンもある。これが入社当時もっとも厄介な問題だった。
 ま、その話はまたおいおいと言う事で。




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