T エントリーから当日まで

 篠山マラソンの大会要項は前年の10月に届いて、11月から申込が始まります。
 10月といえば、ちょうど秋の走りこみの時期ですから、そのときは「よし、今度はがんばろう」と思うのです。11月に申し込みで、開催が3月なので、2月生まれのわたしは、大会当日には年齢が1つ上になっていることを実感させられる大会でもあります。

 わたしは9月に丹後の100を走ってからは、10月、11月と結構、忙しく過ごしてしまって、秋の走り込みはほとんどできませんでした。
 年明けからは少しは走れたのですが、2月末に仕事上の大きなイベントをかかえていたので、走るどころか生きているのが精一杯の状況でした。そうなると、走る時間のとれないことにストレスを感じてしまうので、ふだんの生活のなかで、できるだけ走るようにと気持ちを切り替えて、走るようにしました。でも、それができたのも2月の中旬までで、そのあとは移動にタクシーを使わないともたないくらいでした。
 いくつかの仕事を同時進行していかなければならなかったので、「いつまでにこれをここまでやって」とひとつひとつ整理をしていたつもりなのですが、ますます追い詰められると、そういうコントロールもできなくなって、ひとつの仕事をしていたら、もうひとつのことがとっても気になって、今、やっている自分の作業に集中できなくなってしまいました。そうやって「どうしよう、どうしよう」と自分で悩んでいるだけならよかったのですが、まわりの人にあたり散らしてしまうというところまできて、そうやってあたり散らしている自分に自己嫌悪してという状況が2月下旬まで続きました。
 そんな状況で3月3日にフルマラソンは走れるのか? 今回は走るのはやめて、同日に開催される「びわ湖マラソン」に行って、藤原くんを応援するほうがいいのではないかと思いました。でも、もし自分の大会をパスして観戦してしまったら、もう自分が走るのはイヤになるような気がしました。自分が走るより観戦するほうがなんといっても楽ですから。わたしが陸上を観て観戦記を書くときの強みは、「走る」ことを実体験として経験していることです。走っているからこそ書けること、感じれることがあると信じています。だから、観ることよりも走ることを優先するというのが、わたしのなかでの約束ごとです。一度、この約束を破ったら、あとはもうなし崩しになってしまいそうだから、だからやっぱり篠山へは行こうと思いました。

 さて、前日の準備です。
 年が明けてから初めての大会ですが、準備は慣れていました。エイドにおくゼリーやアメ、レース前に食べるバナナなどを近所のスーパーで買ってきました。アミノバイタルのゼリーにキットカットと蜂蜜のアメと黒アメをテープで巻きつけて、それにナンバーカードと名前を書いた紙を巻きつけます。
 スペシャルが置けるのは15キロから5キロおきですが、去年は20キロ手前でガス欠になったので、今年は15キロ、25キロ、35キロの3箇所に置くことにしました。同じものでは飽きるので、微妙に違うアミノバイタルを2種類ともうひとつ商品名は忘れましたがゼリーを用意しました。わたしはガス欠になるくせに、食べ物が喉を通らないので、カロリーがあって量が少ないものを選ぶようにしていますが、最近ではカロリーオフのものもあって、慎重に選ばなければなりません。今年はなんか間違えて、ひとつカロリーオフのものを選んでしまって、大失敗してしまいました。仕方ないので、キットカットをいっぱい巻きつけておきました。
 ウェアーは2組。あまり荷物にならないようにするために1組は着ていって、もう1組をもっていくことにしています。あと、Tシャツや靴下、それからワセリンのかわりに使っている、スクワランオイルと馬油。これがなかったら、走り終わったら全身、血だらけになってしまいます。オイルがいるくらい走れるのかなぁと、ふとそんなふうに弱気にもなってしまいます。お風呂には入る予定はないけど、一応、お風呂の用意もします。もうポーチにちっちゃなシャンプー&リンスとボディシャンプー、ブラシ、化粧水を入れておいてあるので、それを入れるだけなので簡単です。
 前の日に準備するときって、なんかとっても複雑です。
 なんと言ったらいいのかよくわからないですけど、少なくともウキウキって感じじゃないです。なんか恐いけどでも用意しないといけないから、準備している感じ。「明日、どうなるんだろう」という不安な重たい気分の反面、「頑張ろう」というようななんかそんな気持ちが交錯しているのかもしれません。

 当日は5時すぎに起きて、おにぎりを作って、もって行く分とその場で食べる分にわけて、お茶も入れて、準備完了。結構、モンダイなのがトイレです。これは神経質になります。篠山はそれほど並ばなくてもいいことはわかっているので、そんなに心配しなくていいのですが、やっぱり自宅ですっきり済ませておくととっても安心です。まぁ、これで今まで何度、悩まされたことか。レース中に「お腹いたーい」と叫んでしまったのは、野辺山の100キロを走っているとき。あの辛さをつい思い出してしまうので、朝のトイレは大切なのです。
 自宅を6時前に出て、京阪、JR奈良線、東海道線で大阪駅へ。大阪で篠山行きへ乗るはずが、なぜかホームを間違えて環状線のほうへ行ってしまいました。もう何回も篠山へは行っているというのに。環状線のホームからまた、階段を降りて今度は間違いないようにと、ホームへ上っていくと、もうそこはランナーでいっぱいでした。
 同じような時間帯に3本あるので、どれかに乗れば余裕をもって会場入りできるので、のんびりとすいている列車を選んで乗りました。だいたい「ABCマラソン号」という臨時列車に乗ることが多いです。4人がけシートはまわりの人が気になるので、横列のシートに座りました。同じく篠山へ自動車で向っているスポックさんに「大阪を発ちました」とメールして篠山まで約1.5時間。電車のなかでは何にも考えずに、ひたすら眠ることにしています。レースのことは、会場に着いてから考えよう、今は、とにかく篠山へ移動することだけを考えようとそう思うようにしました。
 篠山へ着いたら、お天気がとてもよくて安心しました。これまでは、車窓にうつる雪に驚いたり、降る雨にため息をついたりとそんなこともたくさんありましたから。
 篠山駅に着いてホームで、スポック号で現地入りされた亀さんから電話。なんともう会場入りされているとか。わたしはバスに乗って会場入りしました。バスは次々と来るのですが、わたしはこのバスに座って会場入りしたのは今回は初めてでした。やっぱり座っていると楽ですね。座っている人と立っている人が同じ料金というのは、ゼッタイに不公平だ!と思いました。そんなバカなことを考えながら、会場入りしました。
 さて、今日のレースがここから始まります。

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