ボリショイ劇場 スパルターク


1999年12月24日(金)

配役
スパルターク:ユーリー・クレフツォフ
クラス:ゲンナジー・ルィフロフ、
フリギヤ:エリナ・パリシナ
エギナ:ガリーナ・ステパネンコ
剣闘士:ルスラン・プローニン、
道化役者:S.V.アントーノフ、Ia.V.ゴドフスキー、V.V.ガルビン、R.A.ツェリシェフ、M.A.アレクサンドロヴァ
O.P.ジュルバ、N.A.マランディナ、S.Iu.ウヴァーロヴァ、O.O.ツヴェトニツカヤ、A.S.ヤツェンコ
牧童:O.Iu.オルロフ、D.V.メドヴェージェフ、A.Iu.プシェニツィン、A.V.ペトゥホーフ、A.L.ポポフチェンコ、
V.B.モイセーエフ、A.A.メラーニン
牧女:S.V.グネドヴァ、アナスタシーア・ガリャーチェヴァ、I.I.セレンコヴァ、M.A.プロルヴィチ、Iu.I.チチェヴァ
娼婦A.I.アントロポヴァ、E.G.ドルガレヴァ、O.P.ジュルバ、I.V.ズィブロヴァ、A.Iu.レベツカヤ、O.O.ツヴェトニツカヤ、A.I.ツィガンコヴァ

原作:R.ジョヴァニオーリ

台本:ユーリー・グリゴローヴィチ

指揮:アレクサンドル・コプィロフ

演出:ユーリー・グリゴローヴィチ

舞台装置:シモン・ヴィルサラッゼ

作曲:アラム・ハチャトゥーリアン



幕が開いて、ルィフロフのクラスが車に乗ってやって来て、踊り出した時、あ〜今回のクラスは舞台をダレさせるかなと、恐怖が走った。
回転にしてもジャンプにしても勢いがない。
クレフツォフのスパルタークの出来もそんなに良くない。並みのスパルタークという感じで音楽の力の方が先行してしまっている。
その後、パリシナのフリーギアとクラスが踊る場面も固くて重く、これは・・・。と、期待がそがれて行った。


ところが!ところが!!である。
おそるべし、スチェパネンコ、エギナ。彼女が出てくるや否や、天啓にあったように舞台はぐっと締まり、ダンサーの動きが良くなる。
信じられないくらいの展開。ストールをしながら彼女が出て来た途端、
「これぞ、エギナ!!」
と、いった雰囲気に溢れる。
あの無駄のない理知的なエギナ。まぎれもなく毒々しくも美しいエギナである。
彼女の肢体が、奸計を表わし、挑発を意味している。
ピタリピタリと決まる技。
スパルタークの動きが急に力に溢れ、大きな伸びやかなジャンプに観客のため息が混じる。
エギナの魅惑的なスラスとの酒宴。クラスは威風堂々と自信に溢れかえっているように見える。そのクラスの自信を裏付けるかのようにエギナは超然と或いはごう然と民衆をみはるかす。

片や、スパルタークとフリギアの二人の踊りはなんとも言えない情緒が表わされていく。二人とも役になりきっていて、こちらも思わず引き込まれている。
特にスパルタークがフリギアを差し上げる時の美しさ!なんとも言えなかった。

それぞれのモノローグも感じが出ていていい!!
これもステパネンコの賜物であると思える。彼女の存在がこの舞台に果たした役割は大きい。

今回のスパルタークはグラチョーバのとはまたちがった味が出ていた。グラチョーバの妖艶なぐっと迫り来るようなエギナに対して、ステパネンコはどちらかというと理知的、奸計をもってしているという知性派のエギナであった。


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