『ダル・レークの恋』
第1幕 (1/3)
大劇場・帝劇公演を観劇しての感想です。帝劇公演の中日頃に書いたものです。
第一部
第一場 プロローグA(まことの愛)
幕開きにトップスターが背を向けて立っていて、振り向きざまに歌い出す。「剣と恋と虹と」ではなんとも明るい雰囲気での幕開きでしたが、この「ダル・レークの恋」は、寂しげな幕開きであり、恋のゆくえを予感させます。見終わってみれば、この場面はラストシーンにつながっていましたし。
マリコさん(麻路さき)が歌う主題歌「誠の愛」の意味はラストシーンになって初めて意味が分かる仕組みで、ここでは暗示的な感じです。いきなり苦悩しながら歌うマリコさんにはまってしまうのでした。
第二場 プロローグB 睡蓮の花の恋 (花の小舟)
明るい照明の中で風のごとくヒロコちゃん(久城彬)とみんつちゃん(万理沙ひとみ)が現れ、男役・娘役の長となって群舞をひっぱります。う〜、劇場の幅が狭くてなかなか踊りづらそうですね。
そうこうしているうちに、ユリちゃん(星奈優里)・続いてマリコさんが登場。
マリコさんとユリちゃんは揃いの薄紫に光る飾りがふんだんにつけられたエキゾチックなお衣装で、立ち姿がすごく綺麗。一人ずつでも目立つ二人ですが、二人並ぶと一層光輝くという雰囲気です。
ここでは二人は相手だけを見つめて、幸せそうに踊ります。このお話は夏の休暇の最後の日の舞踏会から始まるのですが、この場面はその前の二人の恋が発展している途中を見せてくれているのかなぁ〜と思っています。
帝劇で追加になったトップコンビの「花の小舟」ですが、私はてっきり土方様のごとく寄り添ったトップコンビが正面に回ってくるのだ〜と思いこんでいたので、盆の上で対照的に離れて立った時には面食らいました。まぁ、演出の先生の好みなんでしょうね。DSでは二人でたっぷり歌っていたのですが、帝劇では途中からにゃんちゃん達の歌に加わる感じで、あってもなくても良いような印象でした。
第三場 プロローグC シバの神の踊り
ノルさんのシバ神は、ノルさんの本来の魅力が発揮されているというか、私好みのノルさんなのです。私はにこやかに踊っているところよりも、謎めいた表情の前半部分が気に入っています。
第四場 ホテルカシミールの舞踏会(夏の終わりの一夜)
その後、さえちゃん(彩輝直)とりえちゃん(妃里梨江)を中心にホテルのポーターとメイドのダンスとなり、ホテルの舞踏会につながります。なぜポーターとメイドが踊るのかはちょっと疑問だったりしますが、、それをウリにしているホテルだったのでしょう。
14日にいきなりのさえちゃん部分休演で心配しましたが、順調に回復しているご様子。安心しました。
まるで「風と共に去りぬ」のようなカマラ(星奈優里)のお相手探しの場面。カマラにもラッチマン(麻路さき)にも登場の音楽付きですが、ラッチマンの登場の音楽は凄すぎます。今まで聞いたこともないくらい粘るファンファーレだなぁ〜と聴く度に思っています。あ、でも決してこういうのはきらいじゃないです。むしろ楽しみな方。
ラッチマンが登場するまではカマラは結構タカビー(死語でしょうか?(^^;))に振る舞っていますが、ラッチマンが登場したとたん全くの恋する女になっているのが可愛いです。普段はクマール一族の期待の星(デリーの王家の女官長になるから)としての顔を見せているカマラですけれど、ラッチマンの前ではしばしば一人の女としての表情がでてしまっていたと思うのです。夏の避暑地という解放感もあったでしょうし、またラッチマンがそれほど魅力的な男性でもあったのだと思うのです。
第五場 ホテル・カシミールの中庭
ところが、明日はハイダラバードに立つという避暑地での最後の晩に、カマラは祖母インディラ(邦なつき)や従兄クリスナ(絵麻緒ゆう)の妻アルマ(朋舞花)から目を覚ますようにきつく言われます。インディラさえも解放感にひたってしまっていたであろうに、カマラはインディラにきつく諭されるまではハイダラバードはおろか、デリーにまでラッチマンがついてくることを認めていたくらいだった訳です。ところが、ひとたびインディラに言われてみれば実は自分も心の奥底でヴァイシャ(平民)のラッチマンと王族の自分とではつりあいが取れない事は分かっていたことを思いだし、にわかに王族としてのどちらかと言えば本来の姿と、一人の女としての気持ちの間で心が揺れます。
第六場 A 元のホテルの広間
大劇場では、ラッチマンが呼ばれてきて顔を見せたとたん、やっぱり一人の女に戻ってしまったカマラでしたが、帝劇ではデュエットの間中もこれからラッチマンと別れなければならない事実に思い悩んでいるようです。歌の間はラブラブで、終わったとたんにきつくなるよりは自然かなぁ〜と思います。 ラッチマンはヴァイシャも何も関係なく、一人の男として一人の女であるカマラを愛しています。ヴァイシャなのに、王族に愛を語れるなんて、厳しいカースト制のしかれたインドでなんて器の大きな男なのでしょう。(後で彼も王族だったのだと分かって納得という感じです。)
歌い終わってすぐにラッチマンがハイダラバードでの話を始めたとたん、カマラはインディラとの約束を思いだし、そしてラッチマンとの別れ話を切り出すのですが、さすが王族だけあって、自分よりも身分の低い者として見た場合の態度の高飛車なことといったら、、、。しかし、ラッチマンにひどい言葉を投げつける度に、自分こそが傷ついているのがよく分かります。
ラッチマンはカマラからの別れ話を信じません。むしろ、自分の言葉に対するカマラの反応から心にもない事を言っていると理解し、なんとか心を開かせようとするのですが、カマラはとまどう自分にさらにとまどい、うち消すためにもどんどん強くきつい言葉でラッチマンを傷つけます。特に「何かの地位を与えよう。ヴァイシャならばそれは喜ぶべきこと、、、。」という言葉がラッチマンは一番聞きたくない言葉だったと思うのです。ラッチマンはラッチマンで誇り高い人であり、これ以上ここで話を続けるのは無理と、去っていきます。
★Nifty-serveより転載★
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