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『ダル・レークの恋』
第2幕 (2/2)

第六場 王城の仏像のある宮殿
 インディラ達が一斉にラッチマンへの仕打ちを悔いているところに、チャンドラがやってきて「ラッチマンの父上が、もしもワシに娘がいるなら息子の嫁に欲しいと言っておったぞ。」なんて言うモノだから、インディラ達は舞い上がってしまいます。そこへ、ラッチマン登場。
 「名誉ある詐欺師の悪名をさらわれ…」などと、かなり格好いい事を言っています。ここで舞い上がったままのインディラが「あなたのその素性がカマラを幸せにするのではありませんか。」という言葉にラッチマンは表情を強ばらせますが、その後インディラがチャンドラに「あなたにカマラの結婚をお願いすることになるかも(^_^)」と言ったときにはもはや反応はありません。ここにラッチマンの意志を感じます。
 カマラと二人っきりになると、まず「お別れに参りました。」と一言。驚愕するカマラ。しかし、ラッチマンの中ではすでに決めていたこと。カマラがいろいろとすがってきますが、もはや再び以前の関係に戻ることは出来ません。ラッチマンはこのときもカマラを愛していますし、カマラも今までの自分の愚かさに少しは気づいた後なのだし、もはや障害はないのでは?…という簡単なコトではなく、そこにプライドとか、気持ちのずれとか、いろいろな要因が組合わさってラッチマンはカマラをそのまま受け入れるコトが出来ない。
 一見不可解な言動に見えるかもしれませんが、私はすごく人間臭いと思います。愛している…しかし、もはや元通りには戻れない…。なんか分かる気がする。私はここでハッピーエンドになったら逆に空々しくていやだったと思います。
 最後の方でカマラに「あなたに人間の愛とは何かを教えてあげられましたからね」と言うセリフが「私の心から愛する人が…分かってくれたのなら」という表現に変わってラッチマンのセリフがラッチマンらしく統一されたように思います。

第七場 再びパリの様…(何年かは過ぎて…)
 ラッチマンとカマラの一夏の出来事から何年かたったパリの街角。パリの恋人たちが踊る中、異色のインド美女カマラがお付きを従えて登場。この衣装が、実は優里ちゃん(星奈)に一番似合っていると思います。もう〜〜すんごい美女!お付きのポトラジ(千歳まなぶ)はリタ付きという事ではなかったのね…。それと侍女(鷺草かおる)の格好は寒そうだな…。などと思いつつも、ラッチマンを探しているカマラの美しさに釘付けになります。ミシェルも通りかかって「ラッチマン?…あの…知らないねぇ…」と去って行きますが、公演初日前の座談会での意気込みはどこへやら、それほど謎めいては見えないのが残念。

第八場 まことの愛は…(夜霧のパリ)
 悲痛なカマラはおそらくこの後もラッチマンをパリ中探すのでしょう。そんなカマラをラッチマンは遠くから見つめています。…でも、姿を表す事はしません。お付きを従えているカマラではまだだめなのでしょうか。
 ラッチマンはラッチマンでまだカマラを愛していながら、パリの町をさまよっています。心のどこかで、カマラを求めながら…。

第九場 フィナーレA(まことの愛)
 本編が終わって飛び出してきたブンちゃん(絵麻緒ゆう)超笑顔でカッワイイィ〜〜!(*^_^*) なんていうか、本編でじ〜〜っと我慢の良い人クリスナを演じ続けてきたストレスが一気に爆発っ!という感じです。ここの振付は「若央りさ先生」なんですが、「おぉ、これぞ宝塚のフィナーレの銀橋」という正統派宝塚な振付だと思います。

第十場 フィナーレB(踊り曼陀羅)
 ダレン・リー先生振付第3段、いわゆる銀の踊りです。バックの黒地に銀色の曼陀羅の絵もそうだし、衣装もシルバーグレーで統一されていて超カッコイイのでず〜〜っと「銀の踊り」と呼んでいたら正式名称が「踊り曼陀羅」だったのでカクッとなりました。(^^;)
 初日にこの場面を観たときは鳥肌が立ちました。振付を出演者が体で理解していて、表情から指先にいたるまでピシッとはまっていて、個人で格好よく、全体で美しく、改めて星組の群舞の魅力にハマッてしまいました。この群舞、2階のドセンから観たらまた一段と凄みのある美しさなんですよ。(*^_^*)
 結構長い場面なんですが、メリハリがあって、流れるようなスムースな構成で、全体的な構図も美しくてどこも手を抜くところがないような振付です。
 私が特に好きなのは、マリコさんがセリ上がってくる瞬間と、男役で十字を作った後の曲調が変わった時の少し崩した振付と、女役5人のエキゾチックなダンスと、マリコさんとユリちゃんがセンターで踊っているときのバックの男役さんたちの動きと、マリコさんがユリちゃんを抱きしめて突き放す瞬間の表情の変化。他にもいろいろありますが、言い出したらキリがないです。
 今まで、私が星組で好きなショー・ダンス・シーンと言ったら「ジュエリー」をあげていたのですがこれからはまず一番に「踊り曼陀羅」(字面がなんですが(^^;))をあげたいです。

第十一場 フィナーレC(ロケット)
 大劇場では司祐輝さんがロケットのセンターにいまして、、、、、。嬉しいようななんだかなぁ〜。複雑な心境でした(^^;)。だって、このお衣装は男役さんには絶対に似合わないんですもん。だけど、表情豊かな司くんなので、にっこり満面の笑みで全力投球で踊ってくれていてけなげで…注視せずにはいられないのでした。しかし、帝劇では人数が減りまして、司くんもにゃんちゃん(羽純るい)もお役ご免となりました。
 振付は若央りささんで、とっても可愛らしくて、全体的な動きもおもしろくて、なかなか良いロケットなんですけど、、、、衣装が×!!それだけが残念です。
 上手にポチャポチャの方が一人いらっしゃるんですけど、、、それは帝劇でも変化なくってがんばって痩せてねって感じです。

第十二場 フィナーレD(グラン・エスカリエ)
 大劇場では、絶対にマリコさんよりノルさんの衣装の方が格好いい!!とうらやましかったんですが、問題の総真珠ベスト(もちろんニセパールだけどでもむちゃくちゃ重かったらしい。)が帝劇では光モノ付きデザインベストに変わりまして、スッキリ格好よくなりました。>マリコさん 星組の誇るトップスリーに更に磨きがかかった感じです(*^_^*)。一人一人も美しいのですが、三人が絡んだ時のこの妖しさってば、もうどうしましょう〜☆
 途中からノルさんの歌をバックにマリコさんとユリちゃんの白いデュエットダンスになりますが、例えばマリコさんがユリちゃんを背中から抱きしめてポーズ…という時など、二人が全く同じ表情をしていて、息が合うってこういう事なんだろうなぁと思いながら観ています。物語のラストにこういうデュエットダンスを見せてくれるせいか、終演後に「二人がお似合い」というような感想を言っている方がいて嬉しい限りです。
 ノルさんの歌は、二人のために歌うというよりは自分の思いをまた別の人に向けて歌っている感じで自分の世界になっていて迫力です。
 デュエットダンスが始まるとどうしてもオペラで二人を観てしまいがちなのですが、こないだオペラなしで観たときに、踊る二人の向こうの階段上に立って歌うノルさんが二人と同じ振りをしている部分があって新鮮でした。最後のポーズの優里ちゃんが凄い!一人であそこまで反る事が出来るなんてっ。

第十三場 パレード
 大劇場で「ダル・レークの恋」を初めて見たとき、本編では全く気にならなかったのに、パレードで大所帯を誇っていた星組の人数減を思い知りました。とにかく、あっという間に下級生が終わって上・下一人ずつの上級生になったなぁと思ったらノルさんからもう優里ちゃんになってすぐにマリコさんが降りてくる感じです。
 パレードの最後の曲は「ジャスミンの君に…」だったのですが、マリコさんがセンターでノルさんと優里ちゃんと挨拶する前に「花の小舟」が入るようになりました。この変更は耳に心地よく、気に入っています。
 帝劇でもマリコさんが上・下手・センターに挨拶した後、優里ちゃんを前に出してあげて二人で挨拶をします。息の合った二人なので、優里ちゃんが今回がトップお披露目なのだということをこのときに思い出しました。
 一本物なのでパレード用の衣装を着ているのはマリコさんと優里ちゃんとノルさんだけで、他の方達は芝居の中で着ていた衣装なのですが、コスチューム物なのでどれも豪華だし、その色とりどりな衣装の中で真ん中の3人が真っ白な衣装で凄く綺麗〜☆
 ラブ・ロマンスにどっぷりつかった後で、見応えのあるフィナーレを観て、最後はスター達がキラキラ輝く華やかなパレードに大満足なうちに幕が降りました。

 ☆・。・。・☆

 まだ車が珍しかった時代のインドの王族の恋の物語。登場人物の心情をそのまま自分へ置き換えてみるのは難しいと思います。むしろ、私は自分とは全く違う境遇の人々の心情を興味深くみていました。
 孫娘への愛情よりも、クマール一族の名誉が優先するインディラ。その祖母にお前は女官長になるのだから偉いのだよと育てられたカマラ。細やかな心を持ちながらも、本心を見せようとはしないクリスナ。王族であるという自意識が、高慢な態度に現れているアルマ。強い物に巻かれ自分の意志を出せないジャスビル。明日は明日の風が吹くと気ままなペペル。
 そして、強い心と大切なモノが何かを見極める目を持ちながら、カマラを愛しく思う気持ちに素直になることは出来なかったラッチマン。
 登場人物のそれぞれに強力な個性と裏打ちする心理描写が用意されていて、見応えのある物語になっていました。
 果たして初演時に初演のままのセリフが受け入れられていたかは??な気がしますし、時代が違うコトを差し引いても現代にはかなりムリだったセリフが、帝劇では若干の修正と演技の深さで現代の星組の「ダル・レークの恋」になっていたと思います。
 
 ★Nifty-serveより転載★

   
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