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宝塚星組公演
『エリザベート』
宝塚大劇場

 2・3日目の感想
(2)

 
☆ ルキーニ 紫吹淳幸 ☆
 初日はかなり緊張されていたようですが、2日目以降はのびのびとされていると思います。
 ルキーニというのは実在の人物ではありますが、しかし一体どういう人物だったか・・・というのはよくは知られていないですよね。ですから、トー
トと同じでルキーニにしろ、「こうあるべき。」というのはないと思うのです。あるのはリカちゃん(紫吹淳)が演じたいリカちゃんの理想のルキーニ像だけだと思います。
 2・3日目で観たルキーニは、トートの完全なる手先であり、トートの思いを遂げる為に、クールにハプスブルグ家に接近している・・・といった風に感じました。ルキーニ=狂言回しということで、もっと熱いルキーニを望まれる方もいらっしゃるのかとは思いますが、私はこういう狂言回しも”あり”
だと思います。
 ちょっとした言い回しを、各公演で替えてみているのは私も観ていて分かりましたが、だからといって解釈に一貫性が無いとは思いません。リカちゃんはリカちゃんの理想のルキーニを演じていると思います。ただ、それが全てではないと思うのでこれからまた新しいルキーニが観れるのならそれも結構。いろんなルキーニをみせて欲しいと思います。
 多少かすれる部分があったとしても、きちんと物語を観客に伝えてくれていますし、歌も良いと思います。オペラではないのです。要はそのとき、そのときに伝えたい事柄・気持ちが伝わってくる事がテクニックよりも優先されると思います。(テクニックがあれば更に良いのは当然のこと。)

☆ ルドルフ 絵麻緒ゆう ☆
 ブンちゃん(絵麻緒)がルドルフと聞いて「ぴったり。(*^^*)」と思ったのは私だけではないはず。壊れそうな美青年ならそのままでイケル方ですもの。
 「闇が広がる」では大きな存在感のトートに圧倒されながら、知らず知らず扇動されていくのが伝わり、翻弄されているルドルフが可哀想になります。
 銀橋上でトートが死のキスをしかかるところがあるのですが、ブンちゃんの表情にはこちらまでドキドキしてしまいます。マリコさんとブンちゃんのはもりはとても合っていて、綺麗です。
 シシィが帰ってきて「僕はママの鏡」と唄うところ、ブンちゃんの甘い・せつない声とあやちゃん(白城)の暖かな声で、二人は本当に似たもの同士なのに、でも分かって貰えないという部分に共感してしまいます。(ちなみにここでのシシィは母親としての愛情はあるのだけれども、ルドルフの真の理解者にはなれなかったという風で、とても良いと思います。)
 最後トートに銃を渡され自殺するところでは、ブンルドルフは安らげる幸せでいっぱいの表情を見せます。解釈が深くていいと思いました。
 最後の死のキスは、マリコさんが大きく覆い被さって、「あぁ、ブンちゃん奈落で放心状態では・・・。」とうらやましいやら、心配するやら。

☆ ルドルフ(少年) 月影瞳 ☆
 初日は確かに女の子・女の子していました。でも、2日目からは、かなり少年らしくなっていると思います。プロローグや、エピローグの霊魂の時は、もうバッチリだと思います。とても綺麗な少年なので、トートとの絡みの時に、もう少し少年らしさを強調する仕草を研究した方がいいかもしれません。仕草が少年らしくなれば、声や容姿はこのままでも良いと私は思っています。
 今回1幕ではほとんど出番のないトンミちゃんは影コーラスにかなり加わっています。エトワールでもありますし、この公演終了後にはかなりの上達がみられるのではないでしょうか?ちなみにトンミちゃんのエトワールは「国境のない地図」以来だと思いますが、当時と比べても歌唱力にはかなりの進歩が見られるのを実感しました。新公のエリザベート役。大いに期待出来ると思います。

☆ ゾフィー 出雲綾 ☆
 スチールを見る前からタキちゃん(出雲)は等身大のゾフィーを演じてくれるような気がしていましたが、その通りでしたね。謁見の間では、フランツに対する深い愛情を感じますし、シシィの寝室ではシシィに対して「真剣にそう思って言っているのよ!」という強い思いこみが感じられます。フランツが「母上の言うとおりに」とシシィに言っているときの満足げな顔などさすがはタキちゃん。役の解釈は万全のようです。まだ初日開けてすぐですし、舞台にのせてから感じるものなどが加味されていったら、千秋楽にはどんなゾフィーになるのか、今から楽しみです。

☆ マックス 一樹千尋 ☆
 ヒロさん(一樹)が最初のシシィとの絡みであやちゃんに「アデュー、シシィ」と言ってほほを寄せるところがすごく暖かいです。千秋楽には笑って言えるのかな?このセリフって今から思ってしまいます。
 鏡の間で、「結婚は失敗だ〜」と唄うところのマックスとゾフィーの掛け合いはすごく聞きやすくていいと思います。ヒロさんを初めとして星組の超上級生のみなさんが影コーラスをされるところなど、圧巻です。

☆ルードヴィカ 英真なおき ☆
 ヘレネ(万理沙)をつれて親戚に合わせるところ、じゅんこさん(英真)とみんつちゃん(万理沙)の掛け合いが絶妙。じゅんこさんが何かいうごとに、
「はぃ〜〜ぃ。」とみんつちゃんが答えるこの唄は結構楽しみにしています。

☆ 皇帝の側近 ☆
 夏美よう・千秋慎・真中ひかる・雅景・にしき愛・神田智
 中でもハッチさん(夏美)とナバさん(真中)が目立つ目立つ。ハッチさんは”バートイシュル”での従僕とのやりとりがおかしすぎるし、ナバさんはや
はりゾフィーに「取ったことあるのね、大司教さまっ。」と言われるところです。 後、マダムヴォルフのコレクションで、袖にはけていくところはみなさ
んそれぞれおもしろいです。そのほか”安らぎのない年月”などいろんな場面でそれぞれの役作りがなされていて、個性的なメンバーばかりなので目が離せません。

☆ 黒天使 ☆
 きゃ〜ん、、ごめんなさい。m(_ _)mペコ 今回、誰を見てないかというと、それは黒天使さん達です。だって、黒天使がいるということはそこにトート閣下がいらっしゃるんですもん。分かっているのはスタイルがよくて綺麗な事です。
 今週末には黒天使さん達もじっくり見たいなぁ〜と思っております。しばしお待ちくださいませ。
 唯一、観れるのがマダム・ヴォルフのコレクション。
 ☆ マデレーネ 眉月 凰 ☆
  マデレーネは、初日はもう、それはそれは男でした。でもだんだん女らしく なってきていると思いますが、いかんせんお化粧が男役顔に近いんですよね。 いっそのこと、黒天使として踊っているときから、娘役顔に近いものにしたらいいんじゃないかなぁ。身のこなしなどは、だんだん娘らしくなってきつつあると思います。
  マデレーネは皇帝に絡む前からいろんな大臣に思いっきり色目を使いまくっているので、その表情と側近達の反応を見るのを楽しみにしています。(*^^*)

 ☆ 鳥 音羽涼・真飛聖 ☆
  「あぁ、バレエだなぁ〜」という踊りを見せてくれます。飛んだときや、回ったときに、二人とも余裕があってふわりと止まるので綺麗だなぁ〜と見と
 れています。普段は男らしい(舞台では)印象のオトコちゃん(音羽)がお尻の羽根をフリフリしているのは可愛いです。(*^^*)

☆ ヴィンディッシュ嬢 陵あきの ☆
 あっこちゃん、久々の大ハマリ役!という感じで、その演技力の確かさには改めて驚かされます。破れた扇をバッとかざして「私はエリザベート!」と叫ぶところの迫力。あやちゃんとの掛け合いは全くの互角で、それだけに興奮して押さえ込まれたヴィンディッシュを優しく抱きしめるシシィの大きさ
が引き立っていると思います。最後尼僧(朝峰ひかり)に連れられて立ち去る時にはまたエリザベートに戻っていて、威厳があるので、立ち去った後のシシィの孤独感が強調されているように思います。あっこちゃんの熱演があってのシシィのソロだと思います。

☆ ツェップス 大洋あゆ無 ☆
 だいちゃん(大洋)ってまだ新公の学年なんですけど、全然そうは見えないくらい落ち着いてます。唄もすごくうまい。ツェップスと革命家たちの唄は、状況説明っぽいのですが、だいちゃんがしっかり唄ってくれているので、きちんと伝わってくると思います。

☆ 革命家 湖月わたる・久城彬・彩輝直 ☆
 星組の期待の若手スターがここに集まっているんですけど、確かに綺麗で格好いい。見た目は革命家っぽい熱意みたいなものも感じます。が、一旦セリフを言い出すとなんだか説得力がないのは何故なんでしょう。
 ハンガリー訪問の場面で真っ先に飛び出すわたるちゃん(湖月)なんですが、なんかタイミングが今一ずれているのか、飛び出してダンッってフラッグを地面に叩きつけても目立たない。
 ミルクの場面でも、トートとツェップスに比べると、革命家たちはなんだか子供のように見えてしまうし。もう少し線を太くしてほしいなぁ〜と思います。
 がんばれ〜☆

☆ リヒテンシュタイン 朋舞花 ☆
 このリヒテンシュタインには毒はありません。最初の頃は皇太后の、最後の方には皇后に忠実な僕という感じです。
 こちらもデフォルメしていない等身大とリヒテンシュタインという風に私は受け止めています。悪くはないと思いますが、インパクトに欠けるように思い
ます。ただ、インパクトが必要な役なのかどうかは悩むところです。

 以上、これらはまだ初日からの3日間で見た感想なので、これからまたいろいろと変わるところも出てくると思います。これからが非常に楽しみです。

   
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