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宝塚星組公演
『エリザベート』
宝塚大劇場

 15日〜19日目の感想 1幕
(2)

 
 ★第8場 ウィーン・アウグスティン教会
 そのナンバー”すべての不幸がここに始まる”とハプスブルグの滅亡の源はフランツとシシィの結婚であると語る歌なんですが、コーラスが素晴らしいです。
それを圧して聞こえるトートの歌声。嬉しい。
 「汝の意志に相違ないか。」と司祭に尋ねられ、シシィが「ハイ。」と答えると待っていたかのようなトートの不気味な高笑い。顔も待ってましたとばかりの妖しい表情になり暗転します。1Fや2Fの後列にいると、トートの笑い声が自分の回りを駆け巡ります。
 スポットが消えて袖に入る時にトートは、暗がりの中で両手を大きく広げながら歩いているんです。まさに帝王の風格。暗転しても見逃せないところです。

★第9場 シェーンブルン宮殿の鏡の間
 マックスとゾフィーの掛け合いの歌。似合う・似合わないと言い合っているところなど、非常に聞き取りやすいです。
 フランツに優しくエスコートされているエリザベートは愛らしい。これから起こる出来事など夢にも思っていなくてただただお互い一目惚れのフランツと結婚した〜だけなんですね。
 そして、出てきたトート。ここのお衣装が私は一番好きです。マントも素敵だしマントをとった後の軍服姿がまたいい。肩口についている羽根が効いていてワイルド。お色がエンジ?か焦げ茶に見えますけど、金髪によく合います。またこのくくった髪型もすごくお似合いです。
 あの手この手でシシィを誘惑するんですけど、誘い方もマリコさんの死神らしい強引なやり口でグー!スローからアップテンポに替わると振りもノッテきます。 シシィは怖いんだけれども、でもどこかトートに惹かれている様に感じます。
 最後に立ち去るときのマントの翻し方。たまらなく好きです。願わくばライトの消し方が早いときがあって、せっかく翻っているマントがしっかり見えないことがあるので、ここのタイミングはマリコさんと照明さんとで合わせて欲しいです。マントが翻って、落ちきる寸前にライトを消して欲しいです。
 トートが去って、フランツに抱きつくところでは、トートが怖かったというよりもトートに言われたように「どこかトートに惹かれている自分」が怖かった
というように私は解釈しています。だから、フランツに「私をお守りください。という言葉には「私を守って。」もあるけれども「私を惹きつけて。」という
意味もあるように思っています。
 「あなたがいれば何も怖くない。」と言いながらフランツを見つめるシシィの目が「ほんとよ。ほんとにあなたが好きなの。」と自分にも言い聞かせているように感じます。

★第10場 エリザベートの寝室
 ここでのゾフィーとのやりとりは日に日に迫力が増しています。シシィに「私をねたんでる。」と言われてゾフィーが「ふははは、バカなこと言わないで。」というところがすごく好きです。
 シシィがフランツ(稔幸)に「おかあさまがいじめるのぉ〜。」と訴えるところがとてもリアルです。それゆえ、その後の『私だけに』の歌もリアルになってきていると思います。

★第11場 天 空
 聞いた話では17日11時の貸し切り公演で、一人になって泣き伏したシシィは本当に泣いていて歌が歌えないほどだったとか?
 それくらい、ここのあやちゃんの演技はリアルなものになってきています。 結婚してみて初めて分かった自分の置かれた立場。おそらくこれから起こるであろう様々な障害の事を思うと、自由に生きてきた若いシシィには耐えられないものに思えたことでしょう。
 歌っているシシィの後ろから後ろ姿のトートがセリ上がり、振り返るとシシィへ熱い視線を一瞬送り、淡々と歩いていきます。二人が中心線で重なったときにトートは後ろからシシィへ熱い視線を注ぎ続けます。シシィが強く生きると誓ったのはがっかりなんだけれども、それだけにいつかは自分のものにする思いが強まるトートという感じでしょうか?
 トートはシシィの外面の美しさはもちろんのこと、内面の気高さ・強さにも強く惹かれているのだと思います。

★第12場 夫婦の絆
 ゾフィーに産まれた子を取られ、フランツに訴えるけれども返してもらえず、だんだんと強固な態度になっていくシシィです。1回目の登場の時にはまだフランツを頼っていたけれども、2回目の登場の時にはお願いするのではなく取引をするまでに心を閉ざしています。

★第13場 ハンガリー訪問
 エルマー(湖月わたる)達、革命家は、非常にお坊っちゃんといった風に見えます。まだヒロコちゃん(久城彬)には気概を感じるけど、、、。
 ハンガリー国旗色の服をシシィが見せて、群衆が「エーヤン、エリザベート!」と叫んだ時に、わたるちゃんははやばやとぼ〜っとしてしまって、、、、後までず〜っとそんな風。驚愕とか焦りとかいうものが感じられないのが、迫力なく見える原因かなぁ。気が抜けるというのも分かるけど、でも、あまりにも早いと思います。それともすでにトートに操られているのでしょうか・・・。
 ちなみにトートは群衆が「エーヤン、エリザベート!」と叫びだした直後に下手からす〜っと現れています。

★第14場 ウィーンのカフェ
 トートが出てくるちょっと前に出てきた子が椅子を前に出して新聞を用意しますよね。彼女って実は黒天使?(そんな訳ないですよね。)
 ほんとうに一瞬でトートが出てきて座るので、初見では気がつかなかったです。
 2回目にはかなり前からそこを注視していたので、分かりましたが。
 ルキーニへ帽子と新聞を渡すときの息がぴったりで、トートとルキーニがグルな事がよく分かります。
 ちょっとした事ですがトートの「奇遇です。」というその言い方と表情が大好き。うまく説明できませんが、ゾクゾクします。(*^^*)
 トートが扇動して革命をあおるわけですが、コーラスもいいし、トート達革命派の声も融合していて、迫力があります。今までだったらマリコさんの声はかき消されるパターンがよくあるんですけど、今回はしっかり聞こえています。
 「か・く・め・い・せ・い・ふ・を」のところでもコーラス、革命派ともに声がよく聞こえていて明瞭です。
 トートと目線が合うとルキーニが姿勢を正すという部分、19日にようやく確認してきました。ここまではっきりとトートの手先であることを打ち出していたんですねぇ。

★第15場 エリザベートの居室
 ここでのトート様の出現の仕方。机の上に座るところ。格好いいです。大好き。マリコさんのトートだったらやりそう。ちょっと不良っぽいんですよね。
 トートが熱心に「行こうよぉ〜ふたりで〜。」と誘っている間、シシィの心が結構ぐらついているんです。ここはまだトートの妖しさに酔っているだけなのかもしれないけど、でもここからシシィがぐらつきだしたのが分かるのがいいと思います。
 シシィに拒絶されて、全く気にしていないように虚勢を張っているけれども、ドアを閉めたとたんの悲しい顔、そして「俺はあきらめないぞっ。」と言いたげな顔。マリコさんの演技はセリフをしゃべってなくてもセリフをしゃべっているかのように心情が分かります。で、そのまましばらく悲しいまま思い悩んでいるんだけれど、ルキーニが出てきて目が合うと、表情が非情に替わっていきます。
 ルキーニもトートと目が合ってから「ミ〜ルク〜」って言い出していますね。
 トートは悲しい顔から、じわじわとずるそうになって、ニヤリっ、そして怖くなっていく。

★第16場 ウィーンの街頭
 下手の端で壁にもたれていて市民を見ていて、おもむろにゆっくりと舞台の方に歩き「ミルクはどこに行った〜!」と振り返るところ、テーブルの上に立ち上がり、後ろに手を組んで黒天使と同じ振りをするところなどが好きです。
 テーブルから降りる時に、黒天使の一人(夏風りおちゃんですか?)の肩に手をかけているのはいつもチェックしてます。この後、この黒天使くんはトートが降りるときに使った椅子を片づけるんですけど、その手つきはなんかとっても人間くさいです。あぁでも黒天使らしい片づけ方っていうのも難しいよねぇ。
 最後はトートがセンターで右手を翳してポーズ。その横ではルキーニと革命家、市民、黒天使達が立ち並び、大コーラスが終わると拍手が起こります。ここの場面、陰コーラスの方達も含めてみなさん気持ちいいでしょうねぇ。
 最後のトートの「闇が広がる」のリフレインは初日に比べてこちらもとても丁寧に歌っていると思います。張り上げることが少なくなった。オケと慣れてこられたのでは。。。

★第17場 エリザベートの更衣室〜鏡の間
 フランツのオッホンという咳払いは軽いしわざとらしすぎる気がしますので、もう少し威厳のある自然な咳払いにして欲しいです。歌を歌っているお姿は見ていますが、シシィが出てくるとついついシシィを見てしまうし、シシィが出てくるとすぐにトートの出番なので、その後のフランツが見れないんです。シシィが出てきて以降のフランツってどんな感じなんでしょう。喜びに満ちあふれているのかな?シシィの美しさに見とれてます?
 そして扉があくと、有名な肖像画そのままのシシィがそこに立っています。
初日あたりは結構そのまま歩いてくるシシィを見ていたんですけど、その後はもうほとんど見れない状態です。今度はがんばってシシィとフランツの様子を見てみたいです。
 トートは階段をあがり後ろ向きになるとまず燕尾服の尻尾をキチンとしてから、お尻から座ったと思うとす〜っと長い足を出します。ライトが当たっているトートは宮殿の柱の上からフランツとシシィを眺めているって感じなんです。
 舞台の方を見ているので表情までは分からないんですが、指を噛んだりして、フランツにシシィを取られた悔しさが背中から伝わってきます。
 命を助けたのは、自ら死を選ぶ=トートを選んで欲しかったからなのに、うまくいくはずだったのに、「生きる意味を見つけてしまった。」と歌うトート。
 最後のトートの「愛してる。」の叫びでは、その熱い思いが強く伝わってきます。歌いきった後、毎回大きな拍手に包まれながらオケボックスにマリコさんが消えると客電がつけられます。
 1幕の最後を締めくくる大事なところなんですけど、そらもうトートが銀橋に座ってから最後まで釘付けです。正面のスポットの方が後ろのライトよりも早く消えるらしくて、客席から見ていると、一瞬マリコさんのシルエットが浮かび上がって見えます。
 9日の15時にはマリコさんがオケボックスにスタンバイしているのがあやちゃんが出てきたときに動いた鏡に写っていたんです。でも、その後からは絶対に見えなくなってしまいました。

 2幕に続く・・・・。

   
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