宝塚大劇場星組公演
『誠の群像』<作品>
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池田屋での立ち回り。盆を利用し、迫力があります。窓のようなライトが動きますがこれも迫力を出していると思います。全体的に石田先生の照明の使い方は立体感があって、照明そのものが綺麗でうまいと思います。
ここで、本来は最後にしかでてこないわたるちゃん(湖月わたる)の見せ場があります。長州藩士の一人だけど目立つ目立つ。20分に1度しか出てこないという勝先生(^^;)は藩士になっちゃだめなんでしょうか。(・・プログラムを見る。)・・・・だめでした。「池田屋騒動」の直前が「勝の屋敷」でした。ザンネン(/_;)
土方が刀の峰を肩にあてながら階段を降りてくる演出(殺陣)も、むちゃくちゃ格好いいです。クラクラします。魅せてくれます。スペクタクルというのはこういう事を言うんじゃないでしょうか・・・・。
盆といえば、芹沢の乱暴さを印象づける「お茶屋」、暗幕が開くと隊士達が背を向けて座っていて、その向こうに芸者達が。盆が回り出すと背景が降りてきて、みんなが正面を向いたら完成するという演出は気に入ってます。盆が回っているときから、もちろんみなさん演技は始まってますので、盆が回るにつれいろいろな角度から演技を見れる趣向です。
話題の(まだそんなになってないか。。(^^;))「前髪の惣三郎」はなくても良いエピソードだと思いますが、あえて入れるところが石田ワールド。すみれコードにひっかかることなく、現在まで生き延びているのは、ノルさん(稔)あっての事ではないかと・・・・。また、惣三郎のさえちゃん(彩輝直)は意外とこの役をきっかけに自分を見せるコツをつかむのでは?と思います。あらかじめ脚本を読んで知ってはいたのですが、実際に観たときは、隣の友人と手を取り合ってキャーキャー声を出してしまいました。(ハッチさんと銀橋渡りで)想像を越える演出に脱帽です。
前半はどちらかといえば、明るく新選組を見せており、テンポはよいけれども、ストーリーが繋がっているわけではなくエピソードの羅列です。新選組が最初は尊皇佐幕の立場からいつのまにか天子に対する立場となり敗走するというような背景は知らない人には全く分からないままに、後半はシリアス路線になります。
新選組とこの時代について知識がない人には場面場面としてはおもしろいけれどもストーリーがつながらなくてとまどうらしいです。私は結構勉強してから観ていたので、観劇後にあまり新選組を知らない知人に「今一つ話しの筋が分からなかった。」と言われて初めてそういえばそうだなぁ〜と思いました。勉強していた私には知っている事を確認する必要がないから、わずらわしくなくて良かったです。歴史物ってそういうところはやる方も観る方も難しいですね。でも、今までに説明セリフだらけの作品を見る度に嫌な思いをしてきたので、これくらいの事だったら説明がなくてもいいと私は思うのですが。
山南が切腹したとき、土方にあえて銀橋を渡らせ、その後早変わりで「鬼」になるところはおもしろいと思いました。(マリコさんは大変だけど。)切腹シーンはなく、沖田が脇で刀を懐紙でぬぐっているだけなのもいい。
いや確かにどこかで観た演出なんですけど>「鬼ダンス」
和風ロックで着物のアレンジの衣装で激しいダンスというのは・・・・。
でも、やっぱり格好いいですし、演者が違えばまた別のおもしろさと迫力があります。なんでも踊る土方の後ろの司祐輝が本当に鬼みたいだ〜と教えてくれた方がいるのですが、一度観てみたいです。鬼のダンスはもしかして今回、芝居・ショーを通じて一番激しいダンスでは?
土方も周りの鬼達も凄まじい気迫で、こういうダンスを大劇場で見たら、バウとは迫力が違うと思いました。
髪を切り、陸軍の軍服姿の土方が銀橋に飛び出してくると、本舞台では近藤が死への旅支度をしています。必死で近藤をとめようとする土方の向こうに悟りきった近藤がいて、その二人のやりとりが胸を打ちます。暗い中に強いスポットに照らされた土方と近藤。同じく今度は近藤の奥に沖田が病の床につい土方に話しかけます。無邪気な沖田の声だけに土方の失意の深さが図られ、昔の土方ではなくなりつつあることが、ひしひしと伝わってきます。暗闇の中に強いスポットで浮かび上がる黒い軍服の土方はビジュアル的にも非常にいいと思います。
土方が最後は、本当に「最後のサムライ」として死んでいくということが、納得できる作り。死ぬところのセリフはやっぱりこのセリフがベストだと思いました。
土方が一人で舞台奥に立っているんですけど、舞台一杯に土方の「気」が充満していると思います。まさに自分好みの土方の最後の登場だったので、観ていて興奮してしまいました。
ちょっと後半「剣と恋と虹と」が入っていると思うんですけど、気のせいでしょうか・・・。(木箱もそうだけど、、、、死に方が。)
特に土方が「俺の剣」と探すときに「剣・・・剣」というので、思わず「剣と恋と虹と〜!」としりとりのように頭に浮かんでしまいます。(^^;)
が、それも一瞬。あくまでもサムライとして死のうとするところがジーンときます。黒田も本当にいい男に書かれていますね。場内のすすり泣きもすごいです。土方には「侍」よりも「サムライ」で正解だと思います。そういう終わり方でした。
最後にお小夜と踊りますが、セリ上がってきた土方がニヒルに笑みを浮かべていて嬉しくなってきます。もうここでは鬼の土方を装う必要はないけど、でも満面の笑みを浮かべるのは土方らしくないし、あくまでもニヒルに。
最後のポーズの前にセンターでちょっと振り向いてから奥に歩いていくところ、ニヤッとしたところがいかにもな終わり方でやられたぁ〜って感じ。
とにかく、おもしろかった。その一言につきます。(*^_^*)
100分間(初日から上演時間はまちまちですが。(^^;))にいろんなおもしろいエピソードをうまく入れてきたなぁ〜と思います。また、見せ方も派手でインパクトがありますし、今度は同じ石田先生で洋物など観てみたい気がします。どんな演出をされるのか興味を持ちました。
ただ、やはり娘役の使われ方にはちょっと疑問が、、、、。今回は新選組が題材ゆえ仕方がないのでしょうね、、、。一部の方を除いて踊っているだけですから。そういえば、唯一大量に出てくる「紫陽花」の踊りでは大きな紫陽花の髪飾りが似合う生徒と似合わない生徒のギャップが激しかったです。(^^;)
後、暗幕をひいてその脇の小さめのセットでの芝居は、端の前列では見づらいと思います。もう少しセンターよりにセットを置いた方が・・・・いいのではないでしょうか。
とにかくこの作品、観て決して損はしないと思います。ご覧になってみてくださいませ。石田先生の作品は、大劇場でも見栄えがして目でおもしろい作品だと思います。大劇場特有の舞台装置(照明・盆・セリ・銀橋)を駆使しての芝居の演出を、石田先生は楽しんでおられるのでは?と感じました。
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