宝塚大劇場星組公演
『魅惑U』
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☆・。・。・第四章 セレナータ・。・。・☆
<音楽:吉崎憲治 振付:尚すみれ>
「麻路はヴァレンチノが似合うと思う。」という岡田先生のお言葉が歌劇の座談会に載っていましたが、この黒地に黄色・金色を効かせたガウンがどうもヴァレンチノ風の事らしいです。
豪華クルーザーの船室の長椅子にマリコさんがこの衣装で横たわっています。後ろには召使い(水原まどか・美椰エリカ)が二人、アラブ風の格好で大きな羽根の団扇でマリコさん=プレイボーイを扇いでいます。
マリコさんが一人で歌っているところではステッキ片手にいろんなところへ目線を飛ばすので、これまた楽しみ。2FS席下手の時には、2Fなのに、ラッキーにもステッキで指されて尚かつウィンクが飛んできて、悩殺されました。コミカルなんだけど、でもその一瞬はむちゃくちゃセクシーなんですもん。もちろん1Fにもパシパシ目線とステッキが飛びます。
プレイボーイがかつての恋人を回想していると、次々と彼女たちが船室に飛び込んできます。それを必死に追い返す召使い達。どうもこの二人も旦那さまを取られたくないらしい。
こうしてでてくる恋人達はあっこちゃん(陵あきの)・タキちゃん・ちよさん(朋舞花)・トンミちゃん・ユズミちゃん(万里柚美)の5人です。
ゴルチェ風のお衣装ということで、少し前のマドンナの下着風ファッションを目指しているらしいのですが、色づかいが凄まじいです。ミスマッチを狙っているんですかね?初日・2日目はみんなが黒タイツの中トンミちゃんだけ網タイツだったのですが、3日目からトンミちゃんも黒タイツになっちゃいました。ちょっと残念。あ、でも他の四人は膝上くらいのスカート丈ですけどトンミちゃんだけタイトロングでスリットが入っているんです。
プレイボーイはガウンを脱ぎ、黒に金の細いストライプの入った上着で5人を次次と乗り換えながら踊っていきます。全体的にコミカルなんだけど、それぞれとの絡みはセクシーなので、ただのコメディーにはなりません。ここで一番頑張っているのはトンミちゃんだと思います。マリコさんと絡むときはすっごく嬉しそうにしていて、でもマリコさんを他の女に取られるとプリプリして、その表情がとっても可愛いです。プリプリの仕方もグー。他の方達ももっともっと女同士で張り合って欲しいです。ここの振り付けは好きです。女5人とマリコさんが揃って踊るところの振りも場面の雰囲気にぴったりだと思うし、見ていて楽しいです。
最後にちょっとしたオチも付きますが、ご愛敬って感じでわざとらしくはありません。最後のマリコさんとトンミちゃんの表情は「ジュビレーション!」のギャンブラーの表情を彷彿とさせます。
☆・。・。・間奏曲(一)ハート・ブレイク・。・。・☆
<音楽:高橋 城 振付:御織ゆみ乃>
リカちゃんが下手花道から登場。白いスーツで肩口には飾りがついています。白い帽子を被ってそれを小道具に歌いながら銀橋を渡ります。一曲丸々を銀橋で歌うんですが、動きが派手でいちいち決まっているので銀橋を渡るだけでもドラマを感じます。哀愁が漂ったステキな曲です。
☆・。・。・第五章 ビギン・ザ・ビギン・。・。・☆
<音楽:甲斐正人 振付:黒滝月紀夫>
ここです。私が一番期待しすぎて滑ってしまったのは。
階段の大きなセット(白いパイプで間は透けて向こうが見えるもの)を前にブンちゃんを真ん中にワタルちゃん・さえちゃん(彩輝直)が立っています。3人が踊りだして、この場面が始まります。星組全員が次々と登場しては消え歌いつないでいきます。お衣装は男役は白い袖がタップリしたブラウスと白いパンツに青い線が入っています。腰に青い飾りが垂れています。娘役は白いロングドレス。いかにも「レビュー」という雰囲気です。
ブンちゃんたちが踊っていると下手からは娘役が列を作りながら踊りだし、階段上にはマリコさんが。マリコさんはパンツが一人だけ青色です。まずはマリコさんが階段上で歌い出すと、盆が回りだし、その横の上手からリカちゃんが飛び出してきて一人で踊りだします。
マリコさんが階段を降りてくると、今度は前でマリコさんとヒロコちゃん(久城彬)・じゅりちゃん(希佳)他の男役達と共に一列になって踊りだし、その後ろでは階段上にノルさんとタキちゃんがいて歌い出します。二人が階段を降りてくるとマリコさんは中央からセリ下がり、かわりにトンミちゃんがしずしずと階段をのぼっていきます。マリコさんは上着を替えて出てこなければならないので、セリ下がりの途中でしゃがんでしまわれているようです。
トンミちゃんが階段をのぼりきると盆が回りだし、トンミちゃんが階段上で踊り始めます。新しいトップ娘役を象徴する場面です。トンミちゃんが階段を降りてくるとそれをリカちゃんとブンちゃんが迎え、しばらく3人で踊ります。トンミちゃんが舞台上で一人になって下手端に座り手を指し示すと、盆が回りつつセリが上がり、上着を着替えたマリコさんが再登場。音楽が力強くなります。
そして新コンビお披露目となるデュエットダンスが始まります。今までの星組トップコンビのデュエットダンスとは感じが違い、可愛らしい感じのデュエットダンスです。余裕のマリコさんに対し、トンミちゃんが一生懸命なのが、微笑ましいです。3日目にはトンミちゃんの表情がすごく和らいできて、だんだんとよい雰囲気になってきていると思いました。まだまだ遠慮が感じられるトンミちゃんですが、公演が進み、コンビが慣れてくるにつれ、ここのダンスはより優雅に伸びやかになってくると期待しています。
短いながらも美しく優雅なお披露目ダンスが終わると、音楽のバリエーションが元気にリズミカルになって、マリコさんが前に飛び出してきます。後ろにはトンミちゃんを中心に組子が勢揃い。マリコさんが銀橋を一人で渡り中央でビギン・ザ・ビギンをもう一度歌いだし、後ろでは組子が踊っています。マリコさんが一歌いすると、上手はノルさん先頭に、下手はトンミちゃん先頭に銀橋へラインナップし、最後は全員の大コーラスとなり、中詰めが終わります。
音楽はいいんです。階段のセットもいい。人の流れも綺麗だし優雅なレビューという感じ。でも、特に一列に並んだあたりの振り付けがただ体を揺らしているような単調なものの繰り返しで、それがおもしろくありません。それと、クリスタルだというセットが本当に透明で存在が分かりにくい。せっかくネオンがあって綺麗なのに、もっと凹凸を出して光りの当たり具合によって違ってみえるようなのがいいのでは?鏡を使うとか・・・。それと、舞台の枠とでもいうのでしょうか、常に在るセットのライトが赤と緑なので、それは色が合わないです。普通の金色に見えるライトだけにして欲しい。
盆が回って階段が何度も周り、それに合わせて人が流れ、ライトアップされるのはとてもいいと思うのです。それだけに完璧でないのがもったいないです。
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