■尋問
赤木リツコは、死ぬ事も許されず、いまだに独房の暗がりの中にいた。
「あれから、もうどれくらいたったのか…。ミサトがフィフスチルドレンの事を聞きに来てから、だいぶたったし…。どうやら最後の使徒も、無事に倒す事が出来たようね。とすると、そろそろゼーレがここへ押し寄せて来る頃…。フッ…。もう私には、関係の無いことだったわね…」
もう全てを捨てたはずなのに…。リツコは、未だネルフ職員としての自分を捨てられないことを笑った。
レイのレプリカたちを破壊したことにより、赤木リツコ博士は幽閉された。
これまでリツコは碇ゲンドウの意に従い、エヴァ適格者・綾波レイのレプリカの管理と、それを元にしたダミープラグの開発を続けてきた。
綾波レイ…。リツコはそれまで、レイを一人のエヴァパイロットとしてしか見てこなかった。知人の子だとゲンドウに紹介されて以来、彼女は綾波レイを、ゲンドウの計画を遂行する重要なキーパーソンとしてしか認識していなかった。
あの日…、ゼーレの尋問の場で、綾波レイの真実に触れるまでは…。
* * * * *
ヒンヤリとした空気の流れる中、リツコは一糸まとわぬ姿で、ゼーレナンバーズのモノリス・フォログラムの中央に立たされていた。脳波、体温、心拍数…、おそらくあらゆる角度から、自分の状態をモニターしているのだろう。リツコは、微かに響く機械音が、全身を舐めまわすのを感じていた。
「気の強い女性だ。碇がそばに置きたがるのもわかる」
「だが、君をわれわれに差し出したのは、他でもない。碇君だよ」
「零号機パイロットの尋問を拒否。代理人として君をよこしたのだよ。赤木博士」
『レイの代わり…。私が…?』
正面のフォログラムから、静かに、しかし、抗し難い響きを持った声が命じてきた。
「赤木博士。君が、あの綾波レイと、そしてエヴァ零号機について知っている事全てを述べたまえ」
「…レイについては、…本部の観察記録以外に経歴データはありませ・・・」
「それは、表向きだ。エヴァンゲリオン開発の功労者である君が、パイロットの経歴も知らずに零号機を扱えるはずがあるまい」
「我々とて、エヴァパイロットの経歴を知らぬ訳ではない。だが、我々は事実が知りたいのだ。君の中に眠る事実をな」
エヴァ開発の中心人物の一人である赤木リツコは、当然、エヴァンゲリオンの仕組みも熟知している。エヴァの性質上、パイロットの経歴…特に母親に関する情報を知らないはずがなかった。
リツコは、自分の知る事実を話すしかなかった。
■人格結合
エヴァンゲリオンの操縦システムは、それまでの操作という概念を完全に覆す物であった。
巨大な人型ロボットを動かそうとする場合、問題となるのはその操縦である。
手足の動作一つ一つを命令することは到底できない。結果として、一定の規則とパターン学習能力を与えた自律型の制御システムを与える事となるが、その結果として、命令できる事は自ずと制限されてしまうことになる。また、命令の伝達方法も問題であった。操縦者が考えた判断は、操縦動作という形で表現され、その動作による入力がロボットの自律制御へと移行し、ようやくロボットの動作となる。このようなシステムによる制限と遅延は、特に使徒のような準生命体を相手とするには、あまりにも柔軟性・即応性に欠けていた。
セカンドインパクトを迎えた後、ゲヒルン設立初期の頃までには、ベルリンレポートの提言に示されたリリス建造計画として、人型ロボットを初めとする様々なタイプの対使徒兵器の建造計画が立案されていた。
だが、それらが国連上部組織・人類補完委員会により承認される事は決して無く、ほとんどの計画は、日の目を見る事無く消えていった。日本重化学工業共同体のJA計画などは、そんな中生き残った数少ない例外であった。
ほとんどの計画がロボットや装置などの開発であったのに対し、E計画の目指した物は大きく異なっていた。
E計画の中心であるエヴァンゲリオンは、完全な疑似生命体であった。
エヴァンゲリオンは、まさに巨人である。エヴァには魂が与えられ、自らの意志で手足を動かす事が出来る。当然、そのしなやかな動作は、自律制御などという不自由な動きとは比べるまでもない。
だが、いくら使徒に対抗しうる運動性能を獲得したとしても、自由意志で勝手に動かれたのでは、対使徒戦の兵器にはならない。操縦する手段が必要不可欠である。
そこで考え出されたのが、人格結合であった。
エヴァ自身の肉体は、エヴァ自身の魂によって動かされている。そこへ、人格結合の技術により、パイロットをエヴァと精神レベルで結合させ、パイロットをエヴァの一部とする事で、逆にエヴァンゲリオンにパイロットの思考に沿った動作をさせる。これが、惣流・キョウコ・ツェッペリンをはじめ、ゲヒルン/ネルフ研究開発スタッフたちの築き上げてきたエヴァのコントロール技術であった。
■偽説・綾波レイ
エヴァのボディーは、L.C.L.をベースに作られている。
L.C.L.は、まさに謎の物質だった。L.C.L.は、一定のパルスを与え特殊な力場に封じると、様々な生体部品に姿を変えることができた。それはまさに、生物を作る「神の粘土」とでも言うべき物だった。
L.C.L.から作られた生体部品は、あたかもそれが生きているかのように振る舞った。だが、生きてはいなかった。赤い土では、魂までは作れなかったのだ。
E計画の第1ステップは、この神の粘土を使って、いかに巨人を作るかという事から始まった。何体もの実験体が作られては廃棄されていった。
* * * * *
「…そして、そんな開発の極々初期に、その不幸な事故は起きたといいます。一人の女性研究員が、実験槽の力場内で生体部品に再構成中のL.C.L.にうっかり触れてしまい、L.C.L.に取り込まれてしまったと…」
リツコは、何の感慨も無く、淡々と語り続けた。
「その研究員は、L.C.L.に完全に溶け込んでしまったといいます。そして、さらに奇妙な事に、L.C.L.の力場をゆるめても、そのL.C.L.は元の状態には戻らなくなったそうです。それどころか、奇妙な球形形状を作ろうとするかのような反応が見られました」
「この特異なL.C.L.を調べた結果、そのL.C.L.が「生きている」という結論に達しました。そして、それの形状移行を促進してコアを形成し、組み上げた巨人に移植する事で、ついに、最初の機体、エヴァンゲリオン零号機が完成しました」
「そして、その『接触事故』で無くなった女性こそが、綾波レイの母親だったということです」
ここまで話してきて、リツコは一抹の不安を覚えた。リツコは確かに、命じられるままに、自分の知る事実を話している。しかし、この程度の事は、ゼーレのメンバーなら、とっくに知っているはずだった。
リツコは、ゼーレの真意を計りかねたまま、話を続けた。
「当初、エヴァの操縦方法は、脳波による直接制御が有力だったそうですが、その事故からエヴァに生命を宿せる事がわかったため、その方法も、人格移植と人格結合による方法へと修正されたということです」
「そして、エヴァ零号機とシンクロする最適なパイロット候補として、その女性の娘である綾波レイが選ばれました」
「当然、綾波レイをパイロットとする以上、接触事故の事は伏せなければなりません。そのための処置として、綾波レイの経歴一切が、碇所長の手により抹消されました」
リツコがそこまで話し終えると、一瞬、静寂が訪れた。
『何か、変だわ…』
重苦しい雰囲気に、リツコは身震いした。
■機体相互互換試験
「赤木博士…。それでは次に、エヴァ零号機・初号機による機体相互互換試験…、あの実験に関する説明と君の見解を話したまえ」
リツコは、少し緊張した。それは、あの実験の先に有る物がダミーシステム、すなわち、レイのレプリカであったからだ。
「…あれは、パイロットの負傷時などにパイロット無しでもエヴァをコントロール出来るようにする、ダミーシステムの開発のために行われた基礎実験です。その目的は、エヴァのコアが受け入れられる適格者の許容範囲を求めることにありました」
* * * * *
エヴァンゲリオンは、パイロットの精神と、エヴァのコアに留まるエヴァ自身の魂による二人三脚によって動いている。
理論的には、コアとパイロットとの間に何ら関係が無くとも、エヴァの操縦は可能とされている。また、コアに構築する人格に関しても、将来的には、人工的に構成したものを用いる事が可能だろうと考えられている。
しかし、現時点の科学力では、到底そこまでは及ばなかった。その為、パイロットとコアの候補決定には、当然の措置として、最高のシンクロを期待できる最適なペアが求められることとなったのである。そして、その組み合わせこそが、母と子の関係であった。
エヴァに適応できる母子の選出。その調査は、碇ゲンドウの手によって、調査機関ゲヒルンの頃に、既に完了していた。コア製造の非人道性から、母子の確保は、最上級の極秘事項とされた。適格者候補の母親は、失踪、事故、病気などの偽装工作によって拉致され、その子供は第3新東京市に集められるよう秘密裏に画策されていた。そして、そんなパイロット集めを隠蔽するためのダミー組織として、マルドゥック機関がでっち上げられたのだ。
人格移植技術の進歩もあり、碇ユイや惣流・キョウコ・ツェッペリンの時のような事態こそ回避する事が出来たが、それでもまともな技術と呼ぶには程遠かった。人格移植を行った母親たちは皆、昏睡状態となり、目覚める事は決して無かった。ターミナルドグマの一室には、今も、母親たちの魂を移植された『コアベースL.C.L.』と低温保存された母親たちの体が、エヴァに組み込まれる日を、物言わず待つのだった。
* * * * *
この事実は、さすがに赤木リツコにとっても、辛いものだった。だが、そうやって自分を汚してまでもE計画を遂行できたのも、ゲンドウを愛するがゆえであった。
「…母子のペア構成は、最良ではありますが、唯一ではありません。パイロットである子供と同じ条件を持った者であれば、十分代役は可能です。ダミーシステムの基本は、適格者を模倣する事により、人工的に等価のパイロットを作り出すことにあります。エヴァ適格者のクローンボディーをL.C.L.で作り、欠落した魂に代わってパイロットの模倣人格を与え、外部入力による命令を送り込む。これが、ダミープラグの基本構造です」
ダミープラグの開発には、リツコの推薦で伊吹マヤも参加した。いかに生きていないとはいえ、綾波レイのクローンを部品として扱うこの計画に、マヤは不快感をあらわした。だが、コアの秘密を知るリツコから見れば、それすらもまだかわいい方だった。
「ダミーシステムでは、確かにパイロットを模倣できます。しかし、100%とはいきません。ダミープラグを実現するためには、エヴァのコアがどの程度の誤差まで認識するか、その許容範囲を知っておく必要があります」
「幸いなことに、初号機と零号機はパーソナルパターンが酷似していました。その為、パイロットを入れ換える事で、ダミープラグのエントリーを想定した仮想実験としてデータ収集が可能でした」
「では、実験結果についてはどうかね?」
「零号機の暴走については残念な出来事でしたが、実験データとしては最高の結果でした。初号機は正常にシンクロし、零号機は暴走…。結果として、許容範囲のボーダーラインに近いデータを得る事が出来た訳です。あの実験結果がなければ、ダミープラグの完成は、ずっと遅れていたでしょう」
『パチ…パチ…パチ…』
ゼーレの一人が、乾いた拍手で答えた。
「完璧だ…。自分の知識に、一片の疑念も無い」
「これも碇を愛すればこそということか…。恋は盲目と言うからな」
「母娘共々たらしこむとは…、あの碇がな。まったくもって、理解できんよ」
『…いったい…何を言ってるの?』
リツコは、ゼーレのメンバーたちの会話に狼狽した。
「人格移植、人格結合、コア、適格者…。君の知識は確かに正しい。だが、それは総てにおいてという事ではないのだよ、赤木博士」
「君が驚くのも無理はない。君が信じてきたその話には、我々さえも騙されてきたのだからな」
「まったく、碇の情報操作の妙には、我々ゼーレでさえ舌を巻く…」
「そんな! 私は事実を…」
リツコは反論を試みようとした。しかし、その試みは、次の言葉で打ち砕かれてしまった。
「赤木博士。君はその目で見たはずだ。あの綾波レイの死体を」
■楔
「第16使徒アルミサエルと刺し違えた零号機パイロットの死体。あのエントリープラグの中のボロボロに崩れた綾波レイの姿。…あれは人間の死体かね?」
「我々が、あれを知らないとでも思ったのかね?」
リツコは、青ざめていった。
綾波レイの死体。それこそ、リツコにとって、ゲンドウへの疑念を穿つ1本の楔であった。
これまでリツコは、ゲンドウの言葉を信じ、ゲンドウの言葉に従い、ゲンドウの言葉を実現する事のみに努めてきた。そして、これまでは、そんなゲンドウの言葉に何一つ疑問を持たなかったし、全てゲンドウの言葉通りだった。
だが、あの綾波レイの死体だけは違っていた。
「あ…、あの死体は………」
リツコの中で、何かが音を立てて軋み始めた。
「君は既に、あれと同じ物を何度も見た事があるはずだ」
「左様。ダミープラグ開発の際にな」
確かに、リツコはあの死体と同じ物を何度も見ていた。
当然の事ながら、ダミープラグの開発も、すんなりと運んだわけではなかった。初めは何度も失敗をくり返し、その度に、レイのレプリカは壊れ、破棄された。そして、リツコが目にしたレイの死体は、破棄されたレプリカのそれと、まったく同じだったのだ。
「赤木博士…。今一度問う。ダミープラグの元とは何かね?」
「…あれは、L.C.L.を成型したエヴァ適格者のレプリカで…」
「ならどうして、その原形たるエヴァ適格者の死体が、ダミーと同じなのかね? そして、あの生きている綾波レイは、いったいどこにいたのかね?」
「あの大爆発の中、まるでマジックショーのように、そのレプリカと入れ代わって脱出したとでもいうのかね?」
あの時リツコは、零号機エントリープラグの回収後、その疑問を胸にゲンドウの元に報告に行った。そしてそこで、リツコはゲンドウに導かれ、生きている綾波レイと対面させられたのだ。だが、その事に対して、ゲンドウは何もリツコには語らなかった。
「君は、碇によって、綾波レイの代理人としてここへ来た。これが意味する事がわかるかね?」
「ネルフ最高の頭脳である君なら、もう理解しているはずだ」
「君は、綾波レイの正体を知らん。そして零号機もな」
「左様。だからこそ碇も、君を我々に差し出したのだ」
「……でも……まさか、そんな…」
これまでリツコは、親友であるミサトまで騙し、ゲンドウと共に真実を守り隠してきたと思っていた。だが、その思いは、もはや、音をたてて崩れ始めていた。
■赤木ナオコ
「赤木博士。君は、君の母、赤木ナオコ博士が、碇によって殺されたという話は知っているかな?」
キールの言葉が、リツコにとどめを刺した。母の死の真相…。これこそ、リツコにとっての禁忌であった。
* * * * *
2010年、ネルフ設立の前日、赤木ナオコ博士は投身自殺した。
公式発表では、マギシステム開発のノイローゼによる衝動的な自殺と報じられた。ネルフ内部では、マギシステムへの人格移植の後遺症ではとの噂もささやかれたが、それもネルフ設立という状況下で、すぐに忘れられていった。だが、事態はもっと複雑であった。
周囲の関心が薄れる中、リツコは、突然の母の死に疑問を抱き、一人真相を突き止めようとしていた。
「母さんがノイローゼだったなんて、考えられないわ…」
母を思う娘の気持ちと、科学者としての尊敬の念が、リツコを突き動かした。
母の遺品を調べる中、程無くリツコは、理由は不明だが母が綾波レイについて調べていた事実に突き当たった。リツコは、母が、綾波レイがエヴァ零号機のパイロット候補であることを突き止めていたことを知った。
丁度その頃、マルドゥック機関より、エヴァ適格者選出決定の通知『マルドゥックの報告書』その第1号・2号が提出された。そして、そこでファーストチルドレンとして任命された綾波レイは、母と時を同じくして大事故にあい、入院していたのだった。
リツコは、この奇妙な符号の一致に疑問を抱き、ゲンドウの元を訪ねたのだった。
* * * * *
「赤木博士の死直後、碇は慌てて我らの元へ協力を求めてきた」
「痴情のもつれから、赤木博士が綾波レイを暴行。それを止めに入った碇が、誤って彼女を突き落としてしまった…とな」
リツコもまた、彼らと同じ説明をゲンドウから受けていた。そして、綾波レイがエヴァ適格者であること、コアの秘密、マルドゥック機関の秘密を打ち明けられ、協力を求められたのだ。
そして、女としての自分が、ゲンドウを許し、彼を受け入れてしまったのだった。
「碇は既に、碇ユイの件で批判を受けていた…。赤木博士の件で、再び世論の標的となるのはまずかった。当時は、碇を失う訳にはいかなかったからな」
「結果我々は、碇の嘆願を受け入れ、ネルフ設立を繰り上げて、ヤツを救済してやった。だが、それもヤツの芝居だったのだ。まったく、たいした役者だな」
「おそらくあの時、綾波レイは赤木博士に殺されたのだろう。そして、赤木博士にあの死体を見られ、口封じのために彼女を殺したのだ」
■面影
「泥人形の死体と、生きていた零号機パイロット…。我々も改めて綾波レイの素性を洗ってみた」
「確かに、綾波レイに経歴は無い。いや…、あるわけが無かったのだ」
「赤木博士。君は、碇ユイの顔を見た事があるかね?」
リツコには、ほとんど覚えが無かった。
リツコは母の案内で、学生の時分から何度かゲヒルンを訪れていた。だが、当時、碇ユイは、ゲヒルン職員としてより、人工進化研究所職員として同研究所深深度施設(現ターミナルドグマ内)に詰めていることがほとんどだった。
「我々も苦労したよ。碇め、妻の写真を徹底的に処分しておった」
「なぜ、そうまでこだわったのか…。その理由がこれだ」
突然、リツコの目の前に、碇ユイの子供の頃の顔と綾波レイの顔が映し出された。だが、リツコにとっては、それを見比べるまでもなかった。リツコは、母がなぜレイに手をかけたのか、ようやく理解した。
「以前から、碇はファーストチルドレンに妙にこだわっていた。我々も、不思議には思っていたが、まさかこんな裏があったとはな…」
「綾波レイと碇ユイ…。その関係は依然謎だが、他人の空似などでない事は、先の互換試験からも明らかだ」
「どうだね、赤木博士。碇は妻のユイと共に、我らゼーレも、そして、君たち親子も欺き、利用してきたのだ」
「綾波レイに比べれば、君など取るに足らん存在だということだな」
リツコの表情は既に血の気を失い、立っているのがやっとの状態だった。心の中で、何かが砕け散った。
「人工進化研究所3号分室跡。そこを調べてみるといい。おそらくそこが、綾波レイの生まれた場所だ」
* * * * *
こうして、リツコはゼーレの尋問から開放されたのだった。
「よいのか? 赤木博士の処置…」
「冬月とは違う。彼女は帰した方が得策だ」
「エヴァシリーズの功労者…。いま少し役に立ってもらうか…」
「左様。我々人類の未来のために」
|