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 クエスト6 「人造古龍ラボレアス」
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 ユグドラシルを後にした三人は丘には戻らず、樹海の北限となる断崖のような岩山に沿って東へと進んだ。しばらく歩くと、ヴォイスが背の高さほどにある亀裂を指差した。見上げると岩山が割れたような狭い渓谷になっている。三人はよじ登ると、その中へ入っていった。奥へ進むと少しずつ下りながら道幅が広くなる。細長い広場のような場所が見えてきたところで、突然ヴォイスが全員に伏せるように告げた。
「ここを通り抜ける」
 サガとナツキは、その小さな広場を注意深く観察した。小型のモンスターが数頭、座ってくつろいでいる。鳥竜種のジャギィだ。ジャギィは鳥竜種とはいっても、ランポスなど二足歩行のトカゲ風の外見ではない。姿や動きはカンガルーに近い。大きさは人の背丈より低いが、犬のように獲物の周囲をはね回り、群で相手の動きを封じて襲い掛かるモンスターだ。ヴォイスが右手の崖を指差した。少し高い場所から升目状に横穴が並んでいる。
「あの横穴……かなり朽ちているが、古代の建造物の一部だな」
 サガが見解を述べると、最下層の横穴からジャギィが更に数頭飛び出してきた。
「ちょっと、ヴォイス。ここはジャギィの巣じゃないの」
 ナツキはボウガンの準備をした。
「向こうの丘よりは遙かに安全だ。ここは狭くて飛竜も降りてこない。俺が先に出て奴らを蹴散らす。ふたりは奴らが怯んだ隙に、向こう側まで走ってくれ」
 笑みを浮かべるヴォイスにふたりは呆れた。広場の向こう側には階段状の場所があり、その先には更に渓谷が続いている。
 ヴォイスは背をかがめたまま広場へ駆け下りた。ジャギィ達が侵入者に気付く。ヴォイスは斬馬刀に手を掛け、抜刀からそのまま手前の一頭を袈裟斬りにした。仲間が一斉にヴォイスに襲い掛かる。ヴォイスは斬馬刀の切っ先を地面に付け、引きずるように走り出した。
 ヴォイスの斬馬刀は、槍状の鋼芯に湾曲した刃をつがえた、弓のような形をしている。中間部分が中空のため、防御には限定的にしか使えないが、大剣よりは軽い。両手で構えたときは動きが鈍くなるが、槍状の切っ先を引きずることで、抜刀したまま走る事が出来た。
 ヴォイスはわざと囲まれる位置へと走り込んだ。急停止した反動を利用し、旋回斬りで取り囲むジャギィを薙ぎ払う。
「今だ!」
 五、六頭いたジャギィが吹き飛ばされ、攻撃に間が生まれた。サガとナツキは、ヴォイスが作った間隙を利用し、広場へ突入した。ナツキがしんがりとなり、起きあがるジャギィに矢を射かけて牽制する。いくら小型モンスターとはいえ、ヴォイスの斬馬刀でも一撃で倒すことは出来ない。再び襲い掛かるジャギィを返り討ちにして道を確保する。
「急げ!」
 広場の中央に差し掛かったところで、甲高い遠吠えが響いた。横穴からジャギィの倍以上も大きいドスジャギィが二頭現れた。遠吠えに導かれ、更に新手も飛び出してくる。まともに相手をするわけにはいかない。ナツキが舌打ちした時、サガがポケットから煙り玉を取り出し、群目掛けて投げつけた。白い煙が爆発するように広がり、ジャギィ達の統制が乱れた。
「行こう。早く!」
 混乱に乗じ、三人は無傷でジャギィの巣を通過した。

 狭い渓谷を更に進み、一行は岩山の裏手に出た。そのまま崖伝いに回り込むと、ついに古代の塔が眼前に現れた。辺りには数頭の草食獣がのんびり草をはんでいる。どうやらこの辺りは安全なようだ。三人はまっすぐに塔を見上げた。
「驚いたね。故郷の塔にそっくりだよ」
 ナツキの呟きに、サガが笑って答えた。
「昔の人々が、同じ設計の物を各地に建てたんだ。そっくりなのは当然さ」
 塔は丘の上に建っていた。巨大な基部を土台に、円筒形の石組みが真っ直ぐ空に伸びている。頂上部分は分厚い黒雲に覆われ、窺う事が出来ない。サガは雲を見上げながらヴォイスに尋ねた。
「ヴォイス。この塔の頂上を見た事はあるかい?」
「いいや。雲が取れた所は見た事は無い」
 答えを聞き、サガがフッと笑った。
「おかしいと思わないか? 塔の周りはこの通り晴れている。塔自体も高さが千メートルもある訳じゃない。雨の時期ならまだしも、あんな低いところに濃い雲が掛かると思うか?」
 サガの問い掛けに、ヴォイスは戸惑った。
「そういや、あたしの故郷の塔も、雲が無い所は見た事がないね。薄くなった所を見たって話は、一度だけ聞いた事があるけど」
 ナツキもサガの疑問を不思議がった。サガはふたりを見ると、真剣な表情で告げた。
「塔の上では古龍に出くわす事が多い。古龍の多くは、不思議な能力を持っている。雷や嵐を呼ぶ者もいる。僕はこれまで四つの塔を調べてきた。その総てで、頂上は雲に隠されていた。まだ訪ねていない他の塔についても、やはり同じだと聞いている。恐らくあの雲は、古龍の縄張りを表しているんだと思う」
 サガの推論に、ナツキは素朴な疑問を口にした。
「何だか不思議な話ね。古龍みたいな強いモンスターがいるなら、別に雲なんか無くったって誰も近づきゃしないのに」
 サガはナツキの指摘に驚いた。それこそが、塔の謎を解く鍵だからだ。サガは急に笑い出した。
「ナツキ。まったく君には驚かされるよ」
 そう言うと、サガは楽しそうに笑いながら、ゆっくり塔に向かい歩き始めた。

 古い石畳の坂を注意深く登る。塔の前庭に出た。両腕が翼になった黒いトカゲのような小飛竜ガブラスが数頭舞っている。広場の向こう側には、塔に入る広いゲートが口を開けて待っている。三人はガブラスを刺激せぬよう、一直線にゲートへと走った。中に入ればガブラスは追ってこない。ロビーに入り基部第一層の部屋へと足を踏み入れる。その途端、凄まじい殺気が三人を襲った。
「うわっ!!」
「なに!?」
 サガとナツキは思わず身を縮めた。慌てて武器を構えモンスターを探す。だが、何もいない。薄暗く広い空間には、昆虫が仄かな光を放ち舞っているだけだ。ヴォイスは当然と言わんばかりにふたりの反応を見ていた。
「これが奴の気配だ」
 ここに危険は無いことは分かる。だが、サガもナツキも警戒を解くことが出来ない。
「ヴォイス! 本当にここは安全なのか? オオナズチの様な見えないモンスターじゃないのか?」
 サガの額に汗が滲む。ナツキはボウガンの銃口を向けながら、気配の元を探った。圧倒的なプレッシャーがこの空間全体に重くのしかかっている。
「なるほど。確かに上にいるね!」
 ナツキは銃口を真上に向けて呟いた。牙を剥くモンスターの口の中にいるような凄まじい殺気が覆っている。ヴォイスはふたりの反応に笑みを浮かべると、ゆっくりと階段を下っていった。ナツキは平静を取り戻すとボウガンを納めヴォイスに続き、サガもそれにならった。
 階段を降りると広いホールになっている。右手にはわざわざ外から引き込んだ小川が流れ、ご丁寧に東屋まである。塔が使われていた時代には、人々はここで待ち合わせをし、和やかに談笑していたのだろう。苔むし朽ちてはいても、当時の豊かな暮らしが目に浮かぶ。
 三人は基部第一層ホールの中央に立ち、改めて天井を見上げた。降り注ぐ殺気に、首の後ろがチリチリする。激昂した大型モンスターでも、これほどのプレッシャーを放つ奴はいない。
「この気配は途切れる事がない。確実に、奴は塔の上で、獲物が来るのを待っている」
 ヴォイスの言葉は、サガに重く響いた。塔の頂上に待つのは死だ。サガはその事を痛感した。やはりリリルと母親は、ここを登ってはいないのだろうか。
「サガ。昨夜の返事だけど、あたしゃ、この仕事は降ろさせてもらうよ。ここを登るのは止めときな」
 ナツキは諫めるような目でサガに告げた。思わず同意しそうになる。だが、サガの真実を求める意志が、折れそうな心を罵倒した。サガは半ば捨て鉢に、一つの真実を暴露した。
「ナツキ。君の持つ帝国の武器をもってしても不可能なのか?」
 ナツキはあからさまにたじろいだ。
「な、何を言ってるの、サガ!」
 サガは一つ深呼吸をすると、ナツキの正体を語った。
「君は嘘が下手だな。さっきのリオレウスは、君が倒したんだ。塔にほど近いへんぴな村、マリーベル。君は模様をあしらった黒いクロスの紋章を継いでいるはずだ」
 ナツキは言葉を返せない。サガは話を続けた。
「君はボクのクロスの紋章を見て付いてきた。恐らく『赤の紋章を許すな』とでも教えられているんだろう? 世界を破滅に導いた人間だと」
 反論できないナツキの態度から、それが真実である事が分かる。サガは更に続けた。
「ボクの祖先が過ちを犯したのは本当だ。だが、だからこそ、ボクは真実が知りたい。そして、このモンスターだらけの世界を終わらせる方法を知りたい。その答えが、この塔の上で待っているんだ!」
 天井を指さし詰め寄るサガに、ナツキは後ずさった。ヴォイスは二人の会話を観察し、冷静に告げた。
「サガ。残念だが、それは無理だ。どんな武器かは知らんが、さっきのリオレウスに残された傷跡には、無駄な攻撃の跡が幾つもあった。上の奴と対峙するには、もっと習熟する必要がある」
 ヴォイスの冷静な分析に、サガもナツキも言葉を失った。
「それにしても、ふたりとも律儀なものだな。先祖の戒律かは知らんが、一万年も前の話だろう」
「ボクらにとっては一万年じゃないさ。正確には、273年前の出来事だ」
 サガの言葉に、ヴォイスとナツキは戸惑い、顔を見合わせた。
「……そうだな。丁度いい機会だ。君たちには、この世界の真実を話そう」
 そう言うと、サガはふたりに失われた帝国の話を始めた。

 かつてこの世界は、ひとつの巨大な帝国によって統治されていた。現在とは比べものにならない高度な文明を持ち、豊かな自然と共に、人々は繁栄を謳歌していた。だが、繁栄が長く続くと共に、帝国中枢には腐敗と権力闘争が広がっていった。帝国は、大帝を頂点とした人類を中心とする中央政府によって統治されていた。一方、各地方は、長命で経験豊富な竜人族を中心とした地方政府によって束ねられていた。実質的な統治機構である地方政府は、やがて竜人族による純化が進み、その総代を務める大連(おおむらじ)と大帝との間で対立が増していった。
 中央政府は、科学技術を束ねる錬金衆と、帝国全土に即応展開可能な軍部により構成されていた。錬金衆は、その長である大図(おおはかり)の元、帝国繁栄の知恵袋としてその能力を発揮していた。一方、軍部は、大帝守護の任に付く近衛衆と帝国全土を股に掛ける軍集団から成り立っていた。
「ヴォイス。ナザルガザル村の白いクロスの紋章は、近衛衆の旗印だ。273年前、近衛衆の生き残りはこの塔を捨て、モンスターの襲撃をかいくぐりながらナザルガザル村を築いたんだろう。さっきの抜け道も、恐らく当時の人々が塔から離れる時に見つけたんじゃないかな」
 そう言うと、サガは近くの岩に腰を下ろしナツキを見た。
「マリーベル村も同じだ。飾り模様の付いた黒の紋章は各軍集団の旗印だ。君の祖先も273年前にあの塔で目覚め、塔を捨てつつも、塔からそれほど離れていないあのへんぴな場所に集落を築いたんだ」
 ナツキは否定も肯定もせず、黙ってサガの話を聞いている。
「そしてボクの持つ赤の紋章。ボクは大図の子孫なんだ。帝国末期、大図率いる錬金衆は、ある極秘の研究を行っていた」
 この世界に生を受けた生物の多くは、進化を繰り返し今の姿となっている。その繋がりは進化樹として描かれるが、その進化樹に当てはまらない者達がこの世界には存在する。その代表的なものが古龍だった。古龍は恐ろしく長命で、説明不能の能力を持つ種も存在する。風を操るクシャルダオラ、雷を操るキリン、光をねじ曲げるオオナズチ。自然法則を能力の一部とする彼らを、錬金衆は『理と共にある者』と呼んだ。
「錬金衆は軍の協力を得て古龍を狩り、研究を続けた。そしてその能力の鍵が、古龍の血にあることを突き止めた。古龍の血の秘密を調べたボクの祖先は禁忌とされた生命創造の業(わざ)を使い、人工の古龍を生み出したんだ。そして、その研究室で生まれた古龍を『ラボレアス』と名付けた」
「ラボレアス!?」
 サガの言葉にナツキが反応する。サガは話を続けた。
「なぜ禁忌の業まで使ってラボレアスを作ったのか、理由は伝わっていない。ラボレアスを使って古龍の研究を進める中、もう一つの進化樹に当てはまらない存在、ユグドラシルの研究班が、その報告をまとめ上げた」
 ユグドラシルは、外見こそ樹木そのものだが、そのスケールはあらゆる植物を逸脱していた。調査の結果、ユグドラシルの根は地下千メートルまで達し、しかも地中深くで総てのユグドラシルが繋がっていることが判明した。
「世界中にそびえるユグドラシルは、実は一本の木なんだ。ここやマリーベルの近くにあるユグドラシルは、枝の一つと言っていい。ユグドラシルが世界樹と呼ばれる所以だ。そして研究班は、ユグドラシルの天辺に驚くべき存在を確認した」
 ユグドラシルの天辺では、しばしば奇妙な現象が確認されていた。光が蛇のように巻き付いていたり、漆黒の闇が絡まっている事もあった。当初、それはユグドラシルに見られる特長と考えられていたが、錬金衆はその調査を続けた結果、それが未知の生命体であることを突き止めた。
「それは我々とはまるで異なる存在だった。光や闇、気象さえも操る、自然法則そのもの。神の様な存在だったんだ。錬金衆は彼らを『森羅』と名付けた」
 森羅の研究は、古龍やユグドラシルの研究に答えを導く事となった。森羅は進化樹にさえ干渉できる能力を持っていた。植物に干渉し彼らの依り代となるユグドラシルを創り、動物に干渉し古龍を生み出したのだ。古龍の血には森羅の能力が宿っている。それが、古龍の特長の秘密だった。
「そしてボクの祖先は、大きな過ちを犯してしまった。森羅の捕獲を試みたんだ」
 ユグドラシルの一本を焼き、森羅をいぶり出す。神狩りの開始だ。だが、そこに宿っていた森羅は忽然と消え、思わぬ事態が起こった。研究所に飼われていたラボレアスが錬金衆の目の前で消えてしまったのだ。懸命の捜索の後、ラボレアスは体長が数十メートルを越える巨龍となって、再び人々の前に現れた。祖龍ミラボレアスだ。
「ミラボレアスとは実は『干渉されたラボレアス』という意味なんだ。帝国は慌ててミラボレアスを討伐した。だが奴は、倒せば倒すほどその数を増やしていった。ミラボレアスが不死だと言う話はしたな。モンスターは時折鱗など体の組織を落としていく。ミラボレアスも移動する際に落とし物をするらしい。そして、落とし主である個体が死ぬと、落とされた組織の幾つかがまるで植物の種のように発芽し、新たな個体へと再生するんだ」
「え!?」
 ナツキは思わず胸に下げたナナ・テスカトリの鱗を取り出した。
「通常のモンスターではそんな事は起きないさ。古龍種の繁殖方法についてはよく分かっていないので断定は出来ないが、他の種では収集した落とし物から再生したという記録は無い。蘇生には何か条件があるのだろう」
 ヴォイスはサガの話にひとつの疑問を感じた。サガは話を戻した。
「ミラボレアスの討伐が進まぬ中、ボクの祖先は奴固有の恐るべき能力に気付き、愕然とした」
 ミラボレアスは、黒い体から、赤、そして白へと変移する。隕石を降らせ、光を食い、闇を創る。だが、真に恐るべき力は、森羅の持つ干渉能力を受け継いでいる事だった。
「ミラボレアスが現れると、その周辺の生き物の中に異常進化を起こす者が現れる。錬金衆はそれを、『狂乱進化』と呼んだ。リオレウス、ディアブロス、ベリオロス、勿論さっき見たエスピナスや雷神と呼ばれる奴も。森羅が作った古龍を除く総てのモンスターが、ミラボレアスの狂乱進化によって生まれたんだ。ミラボレアスがモンスターの祖と呼ばれる所以だ」
 ミラボレアスの討伐が進まぬ中、世界各地に狂乱進化による全く新しいモンスターが次々と出現した。帝国は全軍をあげてモンスターを狩り、とうとう、その中心である森羅の討伐を決定した。
「だがそれは、神に戦いを挑むのと同じだ。帝国全土が無数のモンスターに蹂躙される中、軍は総てのユグドラシルを焼き払った」
 そして結果は酸鼻を極めた。森羅によって天変地異が引き起こされ、無数のモンスターが帝国全土を炎に染めた。帝国が終焉を迎える頃には、殺戮は人間もモンスターも見境無く広がったという。
「帝国は崩壊し、総ての人間が死に絶えるかに見えたその時、突然、僅かに生き残った帝国市民は、一万年の時の流れを飛ばされた。そして再び目覚めたのが、今から273年前。帝国の繁栄が大自然の中に溶け去った、このモンスター溢れる世界だったんだ。かつて人々が暮らした町は大地の一部と化していた。原始の自然に放り出された人々は、モンスターの襲撃を受けながらも安全な場所を探し、新たな村を築いていった。ナザルガザルもマリーベルも、そうした村のひとつだ」
 サガの話は終わりを迎えようとしていた。
「なぜ人間は時間を超えたのか、一万年の間に何があったのかは分からない。帝国の遺産は、そのほとんどが戦渦で焼失してしまった。いままでの話も、時間を飛ばされたボクの祖先が書き記し、繋ぎ止めてきた記憶だ」
 サガは立ち上がると軽く腰を伸ばした。
「今では古龍も影を潜め、かつての凄惨な時代は過ぎ去った。だが、ミラボレアスは未だに生き続けている。どれほどモンスターを倒そうと、ミラボレアスを一匹残らず葬らない限り、この不幸な時代は永久に終わらない。ミラボレアスの絶滅はボクの家系の宿願だ。ラボレアス、森羅、ミラボレアス。帝国末期、いったい何があったのか。ボクは真実を確かめるためここへ来た」
 サガの真っ直ぐな瞳に偽りは無い。ナツキは真剣な表情でサガを見ている。外はもう陽が傾いている頃だ。ヴォイスは、そう遠くない未来、この塔を登る日が来ることを予感した。

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