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 モンスターハンター・ゼロ外伝 「黒き神の記憶」

 クエスト4 「落とし前をつけようかい」
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 ナツキはババコンガの後は追わず、クロの元へ戻る事にした。このままババコンガを追って討伐する事も出来る。だがそれでは意味が無い。これはクロの問題なのだ。ナツキが見る限り、今のクロの実力ならばあのババコンガは恐れる程の相手ではない。先日のドスファンゴの方がよっぽど格上だ。これは明らかに、クロの覚悟の問題だ。
「戻って活を入れてやらなきゃ」
 ふたりの住み家へと近付く。いつもの河原にクロの気配がある。臭いを落としているのだろう。樹林が開け原っぱが見えてきた。草食獣たちがのんびり草を食べている。
「ったく、餌にまで舐められてんのかい」
 樹林を抜ける。川の浅瀬にクロがいた。こっちに背を向け、肩を落として座っている。クロの全長はもう十五メートルにも達しているというのに、その背中は驚くほど小さく見えた。この敗北に一番ショックを受けているのは、間違いなくクロ自身なのだ。ナツキは胸を締め付けられた。さっきまでの憤りが掻き消すように消えた。ナツキはひとつ溜息を吐くと、真っ直ぐクロに近付いていった。
「クロ」
 ナツキは笑顔で声を掛けた。クロの肩がビクンと震え、ゆっくりと振り向いた。何とも情けない面をしている。
「怪我は無かったかい? どれ、見せてご覧。まだ臭うようだね。体を洗ってやるよ」
 ナツキは甲冑を脱ぐとクロを腹ばいにさせ、いつもより優しく丁寧に洗ってやった。クロの体にはかすり傷しか無かった。体はもう一人前の大型モンスターなのだ。
「ギャウゥ……」
 クロが力無く吼える。
「気にするな。たまには負ける事だってあるさ」
 ナツキは自分の言葉に納得した。クロは一生この大樹海で生きていくのだ。連戦連勝の訳がない。むしろあの程度の相手で負けを知った事は、長い目で見れば良い事かもしれない。もし強敵だったら致命傷を負っていたかもしれないのだ。引き癖が付くのは問題だが、引き際を知らないようでは命に関わる。自分がババコンガより強い事は、そのうち自然に気が付くはずだ。焦って倒す相手じゃない。ふとナツキはクロに入れ込んでいる自分に気付き、急に可笑しくなった。
 陸に上げ甲羅干しさせる。ナツキは僅かな傷にも薬草を当ててやった。甲冑を着ると、ひとりケルビを狩りに行き、肉を担いで戻ってくる。
「お腹が空いただろ。さあ、お食べ」
「ギャウゥ……」
 クロは久しぶりにナツキが取ってくれた肉やホワイトレバーを、小さく体を震わせながら何度も何度も噛み締めた。

 次の日、ナツキは巡回を休みにした。今のクロにとっては気力の充実こそが重要だ。樹海で暮らしてから、もう二十日ぐらい経っただろうか。この暮らしも案外悪くない。もう少しクロに付き合うのもいいだろう。ナツキは原っぱ脇の木の枝で、のんびりとくつろいだ。一方クロは原っぱにはいない。飛ぶ事を覚えてからというもの、クロのテリトリーは少しずつ広がっていた。今は他のモンスターとの接触は避けるべきだが、ジッとしていても仕方がない。ナツキはクロの自由にさせた。
「おや。帰ってきたようだね」
 ナルガクルガは奇襲を得意とするモンスターだけに翼の音が全くしない。翼の構造もあるのだろうが、羽毛を覆う黒い皮脂にも吸音効果があるようだ。ナツキは一緒に生活する内に、音など無くともクロの気配をはっきり捕捉できるようになっていた。川面に沿って滑空してくる。急旋回し、ドスンと原っぱに着地した。周囲の草食獣が慌ててクロから距離を取る。
「もっと静かに着地できないかい。詰めの甘さは、まだまだ子供の証拠だね〜」
 アプトノスたちはクロから離れても、慌てて逃げる事は無くなった。クロがケルビしか狙わない事を学習したようだ。アプトノスがいると、ケルビも釣られて集まってくる。クロから距離は取るものの、クロがいる事でここにはランポスなども寄りつけず、草食獣にとっても未だに良好な餌場なのだ。一方クロも、ここだけでケルビを狩る訳ではない。乱獲を避けるように、自分のテリトリーを巡回して均等に獲物を狩っている。そして空腹が満たされれば、無用な殺生は行わない。どのモンスターも自然の摂理を弁えている。
「醜いのは人間だけかもしれないね」
 ナツキは平和な原っぱの光景を穏やかな表情で眺めていた。気が付くと、クロがブルファンゴと遊んでいた。だがその雰囲気は、いつもの遊びとは違っていた。クロの表情が険しい。ブルファンゴをぶつかるほどギリギリまで引きつけ紙一重で躱している。反撃の尻尾もファンゴに当たる直前で上方へ軌道を逸らし、ギリギリで当たらないようにコントロールしている。攻撃の練習は、当てるより狙って逸らす方が難しい。当てるだけなら偶然もあるが、逸らすためには確実に当てる技量がいるからだ。
「クロ、お前……」
 ナツキは言葉を失った。肉食モンスターは捕食者なのだ。例え手酷い惨敗を期そうと爪を研ぐ事は忘れない。もし忘れる時が来たら、それは死ぬ時だ。
「どうやら、あたしもお前を見くびっていたようだね」
 ナツキは枝から飛び降りると、必要な素材採取のために単身樹林深く分け入った。

 翌朝、ナツキが目覚めるとクロが興奮気味に待っていた。
「ギャウギャ――ゥ」
「いい面構えになってきたじゃないか。リベンジかます気になったのかい?」
 ナツキは装備を調えるとクロの正面に立ち、猛禽のような嘴に手を当て真剣な表情で告げた。
「お前は強い。技の切れも良くなってきた。でもまだ経験が足りないよ。ババコンガみたいな狡賢い連中を殺(や)るには、もっと経験が必要さ。そいつをアタシが補ってやる。心しな!」
 ベテランハンターの鋭い眼光がクロの瞳を射貫く。クロは少し怯みながらもナツキの視線を受け止めた。言葉など通じずとも気迫は伝わる。既にふたりの師弟関係は、野暮なハンターなど比較にならぬ絆を結んでいた。ナツキはクロにひとつ芸を教えると、あの果樹の多い樹林へと向かった。
 枝の上に四頭のコンガがいた。右の木に一頭、左に三頭。呑気に果実を食べている。左の枝に小さく白煙が立ち上る。突然黒い矢尻が左のコンガたちを襲った。一頭に命中し地面に叩き付けられる。残る二頭は突然の襲撃に慌てて辺りを見回した。危険を感じ地面へ飛び降りる。その瞬間、右のコンガの足下に何かが当たり白煙が上がった。右のコンガが何事かと気を取られたその瞬間、大きな黒い影がすれ違った。ピンクの体が血しぶきを上げて真っ二つになった。相次ぐ仲間の死に残る二頭がパニックを起こす。二頭の背後に白煙が上る。振り向いた瞬間、強烈な黒い鞭が二頭を刈った。一瞬にして四頭のコンガが骸へと変わった。木の影からナツキが現れ、コンガの死体の側で待つクロに近付いた。
「よしよし。上出来だよ、クロ。お前の真骨頂は奇襲だからね。覚えておきな」
 ナツキは発煙弾をリロードした。カラの実にツタの葉の葉肉を詰めた弾だ。着弾時に僅かに白煙が立ち上る。場所を示す時に用いる弾で、通常ハンターは使うことのないバレットだ。経験の足りないクロに代わり、経験豊富なナツキが最適な攻撃位置を示してやる。クロの攻撃方法、能力を熟知しているからこそ出来る連携だ。ハンターの間でもライトボウガンがサポートに回ることは珍しくないが、これほど恐ろしい攻撃的サポートは無い。経験不足のクロは、ナツキによって狡猾な暗殺者へと豹変したのだ。
 ナツキとクロは縄張りを守るコンガを音も無く仕留めながら群の中心へと進んだ。風下のコンガが猛烈な勢いで数を減らす。漆黒の恐怖が広場に集まる群へと忍び寄る。
 ババコンガは得体の知れない気配に動揺していた。こんな事は初めてだ。ようやく仲間の血の臭いが届く頃、漆黒の矢尻が群を襲った。参式拡散弾(現在の拡散弾3)が次々と炸裂し、あっと言う間に群が骸の山へと変わる。ババコンガはようやく敵の気配を察知した。顔を真っ赤にしながら茂みに向かって激しく吼える。樹林の闇からナツキとクロがゆっくりと現れた。
「やあ、桃猿。この前はうちのクロが世話になったね。今日は落とし前を付けさせてもらうよ」
 4,5頭のコンガがナツキを襲おうとした。ナツキは先頭のコンガに最後の参式拡散弾を撃ち込んだ。小爆弾が撒き散らされコンガの集団が爆炎に消える。ナツキのライトボウガンのマウンターには雷撃榴弾より一回り細いグレネードバレルが取り付けられている。重量バレットが扱える特性を活かし、サガに作らせた物だ。仲間を大量に失い、ババコンガがナツキに向かって雄叫びを上げた。
「勘違いおしでないよ。アタシがお前さんごとき相手にすると思ったのかい」
 ナツキは鼻で笑うと横へスッとどいた。ナツキの後ろからクロがゆっくりと進み出る。クロはババコンガを睨み低くうなり声を上げた。今日はもう堅さは無い。クロの刃翼はコンガの血で真っ赤に染まっている。ババコンガはクロが一人前の飛竜となった事を理解し表情を強張らせた。両手を広げて立ち上がり、体を震わせ威嚇する。自分を大きく見せるのは対峙する時の基本だ。クロは動じることなく、自分のジャンプが届く距離を保ちながら相手の様子を窺った。
 大抵のモンスターは、自分の周囲への近距離攻撃か、飛び道具を使った遠距離攻撃の間合いを基本として攻撃を組み立てる。ナルガクルガは、ジャンプという中間間合いが組み立ての中心となる珍しいモンスターだ。その中でもナツキは、予備動作の少ないショートジャンプに着目した。連続大ジャンプを試みる時は、反動を付けるためどうしても長い溜め動作がいる。一方、一回だけのジャンプなら、予備動作もほとんど必要ない。ナツキは縄張り巡回の際、必要以上にジャンプしないよう指導してきた。勢いにかまけた連続ジャンプは、威勢はいいが不必要に間合いが開く。クロは間合い確保の重要性を叩き込まれてきたのだ。クロの位置取りを見るだけでも、今日は充分に冷静だと分かる。
 一方、ババコンガにとっては戦いにくい間合いだった。ババコンガはノーアクションから突進した。クロに迫ると素早く右爪を振り、先手を取った。クロは側面に回るよう左ステップで躱した。ババコンガはそれを狙っていた。右爪の反動を利用し、左爪でラリアットを繰り出した。爪が届かずとも、そのまま体を前転させ浴びせ蹴りになる。だが、そこにクロの姿は無かった。ラリアットを読んでいたナツキは、更に回り込む位置に発煙弾を撃ち込みクロを誘導していた。クロはその場で身を翻し、仰向けになったババコンガに思い切り尻尾を叩き付けた。顔から股間まで真っ直ぐなアザが付く。ババコンガは自分の糞を尻尾で投げながら慌てて間合いを取った。明らかに焦りの色が見える。
 ババコンガは舎弟のコンガに近付くと、両手と尻尾を使いクロ目掛けて放り投げた。コンガたちをしがみつかせ、動きを封じる気だ。クロは身ひとつ分バックステップして躱すと旋回して着地したコンガたちを薙ぎ払った。そこへババコンガが襲う。クロはV字ジャンプし逆襲した。クロの爪がババコンガの背中を切り裂いた。たまらず地面に這いつくばる。起き上がったババコンガにクロが迫る。ババコンガは広場の反対方向へと逃げ出した。クロがジグザグジャンプで後を追う。ババコンガが急停止し、特大のオナラを放った。クロも二度同じ手を食いはしない。ナツキの発煙弾に頼ることなくあっさり躱すと、放屁で四つん這いに硬直したババコンガの延髄目掛け漆黒の鞭を振り下ろした。衝撃にババコンガが白目を剥いてひっくり返った。クロはとどめを刺すこと無く、ジッとババコンガの顔を覗き込んでいる。ようやく意識を取り戻した。
「ギャ――ゥ!」
 クロはババコンガに思い切り吼えた。ババコンガは真っ青になると、脱糞しながら一目散に逃げていった。
「よくやったよ、クロ。まったく、どこまでも下品なモンスターだね、あいつは」
 ナツキは笑顔でクロに近付いた。モンスターの争いは力の序列を決める物だ。必ずしも殺し合う必要は無い。とどめを刺さず悠然と見送ったクロに、ナツキは大いに満足した。これでもう一人前だ。この大樹海をひとりで生きていけるだろう。
 クロはババコンガが消えた方角をずっと見ている。いや、遠くを見る目をしている。何かを考えているのか。
「クロ?」
 ナツキが声を掛けると、クロがゆっくり歩き始めた。住み家の方向じゃない。
「クロ、何処へ行くんだい!」
 クロは音も無く確固たる意志を持って樹林を分け入っていく。ナツキは慌てて後を追った。
『いったい、どうしたってんだい……』
 ナツキはハッとした。葉雲の切れ間からそびえ立つユグドラシルが見える。ユグドラシルには、この大樹海の頂点を目指すモンスターが集う。
「クロ! そっちはお前には危険だよ! 待ちな、クロ!」
 全く言うことを聞かない。こんな事は初めてだ。クロの足が速まる。ナツキは周囲の気配を探りながら慌てて追いかけた。

 クロは迷うことなくユグドラシルまで辿り着いていた。黒い絶壁のような幹の前に少し開けた空間がある。クロはその片隅、ユグドラシルの根本にいた。ユグドラシルの方を向き、背を丸め座っていた。ナツキは広場に飛び出すと、慌てて周囲を確認した。幸いクロ以外モンスターはいなかった。辺りはモンスターの気配が充満し、如何にナツキでも満足に識別する事が出来ない。いつ大型モンスターが出てきてもおかしくない状況だ。むしろ、ここまで出くわさずに来た事自体幸運と言える。
「どうしたんだい、クロ!」
 ナツキは急いでクロに駆け寄った。クロは両手を着いて座り、悲しげに地面を見ている。
「ギャゥゥ」
「これは!!」
 ナツキはクロの視線の先を見て驚いた。大きな黒い嘴、艶やかな黒い羽毛。長く鋭利な刃翼。所々、酷く焼け焦げた跡が残っている。既に骨と皮だけになっているが、間違いない。この亡骸はクロの母親だ。はっきりとは分からないが、クロよりもずっと大きかったようだ。鋭く立派な黒爪も残っている。
「クゥゥ……」
 クロは母親の頭に顔を寄せ、悲しそうに頬擦りしている。
「何てこと……アンタの母親は、この大樹海の覇者だったってのかい!」
 ここは強者どもが集まる場所だ。だがクロの母親は挑戦者ではない。子供を連れてユグドラシルに来るはずがない。クロはこの辺りの地形に慣れているようだった。クロの母親は長期に渡りこの大樹海の頂点に君臨し、ここでクロを産み、育てていたのだ。ナツキには全く想像できない事実だった。
「ギャゥゥ」
 クロが母の亡骸に何か話し掛けている。きっとクロは、成長した自分の姿を見せに来たのだ。ナツキは兜を脱ぎ母親の前に跪くと、手を組み静かに祈りを捧げた。
『アンタの子供はこんなに立派に成長したよ。もうひとりで生きていけるだろう。どうか安心しとくれ』
 ナツキはゆっくり立ち上がると、クロの頭を優しく撫でてやった。
 その時、安らかな祈りを強大な殺気が切り裂いた。ナツキは装備を直すと気配の方角へライトボウガンを構えた。クロも侵入者の気配に気付き、素早く振り向き身構えた。樹林の奥から地響きがゆっくりと近付いてくる。
「二本足の足音……この気配、飛竜種だね……リオレイア……リオレウスか?」
 木漏れ日に巨体がギラギラと輝く。樹林から現れたその姿にナツキは息を呑んだ。リオレウスには違いないが、全身銀色の鱗で覆われている。リオレウスの希少種、銀火竜だ。全長も軽く二十メートルを越えている。ナツキの脳裏に、あのナザルガザル村で聞いたヴォイスとサガの話がよぎった。

  * * *

 ヴォイスの家のリビングで三人はくつろいでいた。
「金色のリオレイアを見たって!? そいつは希少種だぞ!」
 サガは驚いて思わずお茶をこぼした。
「お別れ前の景気付けにどう? あいつをみんなで狩るってのは」
 あっけらかんと提案するナツキに、サガはこぼしたお茶を拭きながら呆れ顔で答えた。
「何をバカな。金のリオレイア、銀のリオレウス、見ての通りあいつらの鱗の硬さはハンパじゃない。希少種ってのは火力も動きも通常種とは桁違いなんだぞ。まあその分、奴らの素材が手に入れば、相当いい装備が作れそうではあるが」
「閃刀鞭やエピタフイディオンはもう無いんだ。今の俺たちの装備では、束になっても奴らを狩るのは大仕事だ。サガがいい武器を開発するまで、楽しみは取っておこう」
 ヴォイスは斬馬刀を磨きながら楽しそうに笑った。

  * * *

「ギャ――ゥ!!」
 クロの瞳がいきなり怒りの炎を上げる。全身の体毛が一斉に逆立つ。ナツキは直感した。こいつがクロの母親の仇だ。初めて出会った時、クロの腰にあった火傷の跡。銀火竜はおそらく、幼いクロを襲い母親の動きを封じたのだ。母親はクロを守るため最大の武器である機動力を活かせず、そして命を落としたのだ。生き残ったクロはユグドラシルを追われ、ひとり樹海を彷徨う事になったのだ。
 ナツキのアドレナリンが抑えようもなく沸騰する。だが優れたハンターである彼女の感覚は、同時に正確な状況判断もはじき出していた。銀火竜は現時点での大樹海の覇者、ディフェンディング・チャンピオンだ。一方クロはまだデビューを果たしたばかりのルーキー。実力の差は歴然だ。ナツキが付いているとは言え、参式拡散弾は既に使い切り、雷撃榴弾は疎か雷撃弾さえ持ってきていない。残弾だけではとても足りない。勝算は全く無い。
「クロッ! ここは逃げるんだ!」
 ナツキは必死にクロを抑えた。だが親の仇を前に激昂するクロを人間の手で抑える事など不可能だ。クロはナツキの制止を振り切り銀レウスの前に躍り出た。
「ギャ――ゥ!!」
 地面を這うように低く構え、怒りに燃え上がる瞳で銀レウスを睨む。銀レウスは何食わぬ顔でクロを見下している。
『なんだ、小僧』
 そんなセリフが聞こえそうだ。クロの刃が立つ相手ではない。だがもはや止める事すら出来ない。
「こんな事なら、桃猿のウ○コでも拾っとくんだったよ!!」
 ナツキは吐き捨てると壱式貫通弾をリロードし、クロをサポートするため躍り出た。

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