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 act.30 エピローグ2007
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 メロディーとフレアが、おしゃべりしながら夕食の用意をしている。
「それにしても、どうしてキキナクは、最後に聖霊アモスに戻らなかったのかしら?」
 フレアは包丁の手を止め遠くを見つめると、メロディーの疑問に優しく答えた。
「キキナクは、最も深く人間に関わった聖霊ですもの。最後はきっと、人間の友達のまま、命を全うしたかったんでしょう。そして千年後に再び出会うわたしたちを待って、神殿遺跡にその姿を残したんじゃないかしら」
「ママ……」
 メロディーは、今頃になってキキナクの事をちょっと見直した。
「メロディー。お皿を取ってちょうだい。パパの分はいいわ。別けておくから」
「パパ、今日も遅いの?」
「そうね。なんたって今や、バニシング・ジェネシス研究の第一人者ですもの」
 フレアはため息を吐いたが、その表情は嬉しそうだった。
 そんな母を見ながら、メロディーには一つの疑問があった。メロディーは、あの賢者の石システムで身に付けたフロートシップの知識を、今もはっきりと覚えている。そして、あの時フレアは、ゲヘナパレの科学技術総てを手に入れている。999年に残るキュアはバニシング・ジェネシスの終焉と共に記憶を失ったはずだが、目の前にいる母は、その超技術の総てを覚えているのではないか?
「ねえ、ママ。……ママはもしかして、ゲヘナパレの知識を覚えてるんじゃない?」
 メロディーは恐る恐る聞いてみた。
「ン――、そうねえ。イー・イコール・エム・シー・スクェアの……忘れちゃったわ」
「ママ!」
 明るく答えるフレアに、メロディーが抱きついた。そこへ、運動部の助っ人から帰ってきたゼロが入ってきた。
「腹へった〜! 母さん、飯まだ〜? ……何やってんだ、お前?」
「ベ――ッ!」
 変な顔をするゼロに、メロディーが思い切り舌を出す。フレアはそんなふたりを見て、楽しそうに笑った。

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