8月中旬
黒棒に異変が起こった!実は黒棒には嘴の根元に傷がある。最初からあったものか、飛んだときにぶつけてできたものかよく分からないが、かなり最初のころからあったことは事実である。PARTTの写真を見てもらうと、かなり初期のものにも傷がある。薄く血がにじんでいたことがあり、気付いたのだが、たいしたことはなかったので放っておいた。それがここのところ急に大きくなりだしたのだ。日に日にその傷が広がっていき、その勢いはこのままでは上の嘴が落ちてしまうのではというほどである。あわててセンターに相談し、小鳥専門の病院へ連れていった。
その結果感染症だということである。細菌性のものかウィルス性のものかは分からないが、細菌性のものであれば抗生物質が効くからというので、飲み薬と消毒薬の2種類をもらってきた。
幸いなことに細菌性のものであったらしく、薬がよく効き、広がるのはおさまった。
また、このころから羽がボロボロと抜け始め、とうとう尾羽はなくなってしまった状態だったので、それも関係あるのかと思っていたが、これは感染症のせいではなく、新陳代謝が悪いのだということ。少しでも触ると抜けてしまう柔らかい羽であると同時にやはり栄養が本来のこの子の体にあっていないのだろうと思う。ドッグフードは1週間ほどでやめて、今は虫だけにしているのだが、本来は毛虫を食べる子なので、なかなか好みが激しい。さし餌のころは喉の奥に入れてやれば何でも一応飲み込んでくれたが、(思えばそれが悪かったのかもしれない。この子の体質に合わないものもやっていたのではないだろうか)今は好き嫌いがはっきりして、例えばコオロギなどでもお腹だけ食べて頭はポイッと捨てる。パッタもセミもなかなか食べてくれない。たまに毛虫をごちそうするとやはりものすごい勢いで飛びつく。ああ、毛虫が欲しい!!
そうそう、黒棒の身元はホトトギスと確定!! カッコウならばもっと大きいはず。
8月下旬
嘴の傷は完全に元通りにはなっていないが、とにかく広がらなくなったし、カサブタのような感じになっているのでひと安心。でも抜けた尾羽はなかなか生えてくれない。それに私が近づくと餌をくれるのだろうか、それともとっつかまって嫌なことをされるのだろうかと探るような目でじっと睨むようになってしまった。まあ、野生に戻すのだからそれぐらいでいいのだけれど、ちょっと複雑。
でも、もともとあまり人里に降りてこない鳥なので警戒心がとても強いようだ。というより、人に馴れにくい。ムクドリやヒヨドリとは全然違う。そのかわり物音などに対する警戒心はあまりないようで、近くで掃除機をかけ始めても無頓着である。ムクドリならば気が狂ったように暴れるのに……。車などが来ないから、音を出すものに対する恐怖心がないのだろうか??
毛虫を自分で捕る訓練をさせたくて、遠くまで毛虫を探しに出かけた。幸い1匹手に入れることができたので、早速木の枝に這わせてケージの中の隅に立てかける。ところが!!黒棒ったら、すぐに気付いたくせに捕りにこない。よだれが垂れそうなほどジーッと見つめ、私の顔を見上げヒヨヒヨと鳴きながら、食わせてくれぇ〜と甘えている。ちょっと体を動かせば取れるのに首をめいっぱい伸ばしても届かないのであきらめているのだ。こりゃ相当の重症だぁ……。5分ほどしても同じなのでとうとうもう少し近づけてやると喜び勇んでくわえた。そして、何ですぐに呉れないのさ、とでも言いたげに睨むのだ。まったく……!
とにかく動きがない鳥だが、やはり水浴びもしない!入れ物に水を満たしてケージに入れてやると、一応降りてくるのだが、その中に突っ立っているだけ。ときどき水を飲みながらただただボーッとしている。なんてヤツだ!10分か15分ほどするともとの止まり木に戻るが案の定羽づくろいもしない。ただでさえ新陳代謝が悪いのだから、せめて水浴びや羽づくろいぐらいしなくっちゃあ……。