PART V


9月上旬

黒棒の状態は相変わらずである。抜け落ちた羽もまだ伸びてこないし、どってぇんと動かないところも以前と同じ。ホトトギスは10月には南の国へわたっていく鳥だから、どんなに遅くとも今月中には出したいのだけれど……間に合うのかな。とても心配。

出してやってもあまり飛ばない。1ヶ所に落ち着いてそこでどってぇん。おかげで左のように写真はじっくり撮れるのだけどねぇ。










やったー!ついに黒棒にも少しずつ変化が!
黒棒はいつも午前中はまだ日のあたっていないベランダで過ごす。そのときに隣にいるのはたいていハンディキャップムクドリのポッキーちゃんなのだが、この日思い立ってセキセイインコのサキ婆さんに隣に来ていただいた。なんせ、托卵鳥だから、どんな鳥でも親だと思ってくれないかなぁと思ったのだ。サキ婆さんはよく歌を歌い、羽づくろいをし、しょっちゅう動き回っている陽気な鳥である。ちょっとでも刺激になればと思ったのだ。

すると、並べて置いたとたん、サキ婆さんが高い声でピョロと鳴いた。それを聞いた黒棒、のけぞった!でも大いに興味をそそられたらしく、餌を食べるとき以外は来ない下の止まり木に下りて来た。そして間近でしげしげとサキ婆さんのことを眺めているではないか。彼らしいやり方だと思うのだが、じーっと穴のあくほど見つめ、そして首をひねっている。何と思ったのかは分からないが、しばらくすると定位置に戻ってしまったので、まあ1週間も続ければ少しは動きが出てくるかなと思ってそのままにしておいた。

そして1時間ほどたってから何気なくふと見ると、何と2羽そろって羽づくろいをしているではないか!!彼が羽づくろいしているところを見るのは始めてだ。まあ、偶然かもしれないけれど、ヤッタネと思わず叫んでしまった。

そして、奇跡はさらに続いたのである。その日、また遠出をして毛虫を2匹ゲットした。今度も前回と同じように木の枝に這わせて隅に立てかけてみると今度はサッと飛んできた。そしてあっという間にくわえた。葉の裏の見えにくいところにいた毛虫もすぐに捕まえることができたのだ。少し時間がたって大人になったということかもしれないが、何だかサキ婆さんが動くことを教えてくれたようで、感謝しているのである。

それにしても、黒棒の毛虫の食らい方はものすごい、ビシッ、バシッと止まり木に何度も叩きつけ、嘴を何度も往復させて端から端までしごき、(ときどきフンが出てくることがある)そしてまた止まり木にゴシゴシこすりつける。これは生きた虫を弱らせると同時に毛を取っているのではないだろうか。でも、毛虫自体も内臓もあたりに飛び散る。だから、毛虫を与えたあとは部屋の中央まで逃げる。でも最後まで目を離せない。うっかりまだ生きているヤツを吹っ飛ばしてそのままになっていたのでは大変だからだ。それに部屋の襖と言わずタンスと言わず飛んでいくので、きちんと拭かないとこわい。とうとうしっかり段ボールでガードするようにしたが、それでも思わぬところにミルワームなどが飛んでいてびっくりさせられることがある。食事のマナーは悪い!!
 

余談だが、その普通のミルワームよりずっと大きい「スーパーミルワーム」というヤツがいる。大きい方が毛虫を食べる練習になるかなと思って黒棒のために買ったものだ。幼虫の写真を撮っておかなかったのが残念だが、1匹親になったので、その写真を撮った。メロンの上にいるのが普通のミルワームの成虫。そしてこのでっかいのがスーパーミルワームの親である!










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