リーダーシップとは、セックスのようなものだと、推考している学者がおります。
この問題は、多くの人達がそのことの詳細について語ることをためらっています。それにも関わらず、その人達は、常に強烈な興味と感情を引き出しているというのです。セックスは楽しむものとは誰でもいいます。しかし、それがうまく行かなかったとき、誰に相談したらいいのでしょうか。
「この問題は」厄介です。語り合う人や場所等の環境を、考慮しないと狼狽の元となりがちで時には、苦痛にすら感じるときがあります。このことが、リーダーシップと相似性があると主張しています。
つまり、魅力的に見えても、いざとなるとがっかりします。「リーダー風に見える」のもおなじです。しかも、うまくやるにはどうすれば良いか「本能でわかる」本を読む必要がないと信じている強い傾向があります。
しかし、参考本があれば、他人に秘めて読みたいし、他人はもとより親兄弟にも聞きたくありません。手とり足とりして教えて貰いたくありません。自分の最も大事にするものの一つだからです。
その学者の主張は、心理学者フロイトの「人間の考える性に関する先入観は、子供の時代の初期に形成する」としていますが、リーダーシップに関する感情もおなじ様に、こどもの時に形成するといっています。
エリック・バーンによって開発された、トランザクショナル・アナリシス(TA)という人間行動の分析手法があります。
この手法によりますと、人間の性格は三つの要素から成立すると定義づけています。この要素とは、
@ チャイルド(子供)、
A アダルド(大人)
B ペアレント(両親)
等の要素です。
これらは、それぞれ
1) 子供らしさ或いはその時代の生活環境、
2) アダルトつまり社会人としての教養、論理思考、社会環境、
3) 両親からの遺伝的素質乃至は、生活環境が、性格形成の重要要素になっていると、位置づけています。
この考えを、さきのセックスに関する先入観の形成問題に、適用すると、性格要素の占める割合は、マクレガーの主張する人間成長に対応した、柔軟性のあるリーダーシップをとる場合に対応しています。
つまり、教育の初期は、厳しくしつけます。そして成長に従い自己責任を持つようにして、人間重視、人権尊重の有機結合型に力を入れ、理想的な資質タイプ育てます。これならば、新説を出した、学者の主張と全く同じ結果なのです。
リーダーは、家柄、族柄が重要視された時代から、科学的に、養成する現在の時代に移行していますが、科学的に行動分析を行うと、以上の性格資質の決定する要素が意外と多いのに気づきます。
これは、外部要因と言うより、むしろ自らの問題提起によっての、自己啓発による問題が非常に多くあります。リーダーシップを発揮する時の成否の感覚は、あくまでも本人だけのものです。喜びは容易に外に出せない性質のものです。つまり、それは、人を動かす喜びだからです。
「他人を動かすには、相手より三粒多い口惜し涙が必要」
「物毎の依頼は、たとえ親子兄弟や目下の間柄でも礼は尽くす」
昔のマネージメントの必要な商家や庄屋などの家庭では、子供達が小さいときから難しいことを厳しく育てられました。
これがチャイルドの基本なのです。
飴や鞭で、人を動かす、単純な仕事の時代は既に過去のものになりました。
道徳律を表に出して、押しつけもできる世の中でもありません。問題解決型の複雑な仕事を行う現代社会では、人にもり立てられて、リーダーが務まるものでもなく、また、力でねじ伏せられるものでもありません。
自らが自覚して、他人が望むリーダー像に自分を作り替えなければならないのです。優れたリーダーほど、自分で、他人に望まれる人に作り替えしています。自分で実行するが、その自分は、自分ではないのです。自分とは、みんなの自分です。それがいまのリーダーの姿であるのです。
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