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一桁のビジネスマン《行動心理資料》より

【相手を理解する】

『盗賊に三分の理』
 他人を理解するということは簡単なように思いますが、中々容易なことではありません。
相手を受け入れようとしても、進んで受け入れる要素が見当たらないのです。逆に、反発要素を多く感じ取ります。しかし、共存という原則は、相手を理解しないことには成立しません。どうしても、相手を理解することに努めなければなりません。

 理解するということは、相手の考える方法や、その考えた結果導かれたことを尊重してその上で認めることを指します。
それは、相手の考えに追従することではありません。また、全ての考え方を変更することとも違います。相手が考えるような文化が、自分の考える文化と同様に、存在するということを認めることです。ですから、考え方の影響や、効果とか、その権力などとは異質なものになります。この世の中に自分の考えとは別に、独立した考えがあるということを認めることになります。

 他人を受け入れるには、自分の理想体とする基準や、過去に経験の範囲内から選び出されたもの、或いは、自分の持つ知識教養の中から、論理的に考え抜いたもの、そして、好きとか好みである自分の特性が、比較要素となって行動を起こしております。
相手がこちらを理解しても、こちらが相手を理解できない要素は以外に多いと思います。

 例えば、この世で大勢の人は盗みを嫌います。その理由は、社会生活に不安や不信を起こす騒動の元だからで集団社会では、最も嫌う人間行動の一つになります。
 この盗みに関する「盗賊にも三分の理」を考えてみると、

@ やむを得ない出来心出ぬすんで仕舞った。
A 人を助けるために盗んだ。
B 生活費にするため盗んだ。

C 親の困窮を見るにしのびず親孝行をするためだ。
D 病気のため、自分の気持ちで抑えることが出来ない衝動出ぬすんだ。
E 相手が憎いため、困らせてやろうと思って盗んだ。

F 度胸試しのために盗んだ。
G 人に頼まれ断りきれなくて盗んだ。
H 男気を立てるために盗んだ。

I 脅かされて盗んだ。
J リーダーの貫禄として、実行力を示すために盗んだ。
K 人のものを盗むのは親から悪いことではないと教えられて育つた。
L 解らないように盗めば法律に触れないと思った。

 等々、その他まだまだ沢山の理由があると思います。
 しかし、いずれもその動機理由が持つそれぞれの文化があることです。これらの理由を一束一絡げにして、盗みは悪いから断罪に処するとする考えがあったとしたなら、それは、余りにも単純で片寄りすぎることではないでしょうか。

 以上は、盗みを動機とする因果の思考例にしました。盗む対象を、リンゴ一個、封筒一枚、の小さいものから、ダイヤモンドや、金銀財貨など、価値の範囲を考えると、たとえ自分の判断であり、選択である責任範囲であるとしても、単純に盗みの行為の結果は、良いとか悪いとかのように、好きとか嫌いとかの考えを、大事な判断に使ってはならないものだと考えます。

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