経営組織は、組織の設定する目標によって、広範囲にわたるいろいろな事業の目的や仕事のねらいが定まってきます。これを実行に移し具体化すのが計画化の機能になります。
計画とは、目標を達成するための行動を、具体化した活動計画のことであります。計画をすすめるには、目標をいくつかの実行可能な単位に分解し、それぞれについて望ましい結果を得るための計画を総合的に組み上げて、目標達成を可能ならしめるシナリオのようなものです。
つぎに、計画を立てる際の注意としては、次の要因を考慮します。
1. どんな結果を期待できるかを、はっきりとつかまえます。
2. それらの結果は妥当で且つ達成可能なものにします。
達成することが不可能な目標を設定すると、目標達成に協力する人々がやる気をなくし、実力を発揮できずに終わってしまうおそれがあります。
3. 行動の細分化は、成功裏に目標を達成できるものでなければなりません。
4. 計画を実行に移し、それが成功するのを見届ける責任を、各担当者は明確に負う必要があります。
5. 必要な資源を投入します。
6. 計画を段階的に実施する時間割(タイムテーブル)を決めることにします。
7. 目標達成における成功度を測るため、目標達成基準を織り込みます。
「標準計画」
標準的な活動には計画が必要です。会社の活動の中には日常的に、反復的な定形のものがあります。この様な場合は、計画化が特に重要な意味を持ってきます。如何に日常的な仕事であっても、計画に利用できる標準的な方法がなければ、仕事の度に新しい方法を考え出さなければなりません。繰り返して用いられる問題の処理法は、計画の中の標準計画になります。
標準計画には色々あります。経営者や管理者に、自由裁量の余地を殆ど与えない固定した規則もあれば、経営者や管理者が社の方針にそった意志決定を下す上で、参考にする指標の様なものもあります。
固定した標準計画の例では、特殊な加工作業の指示にみられるように、非常に厳密な加工条件(公差は三ミリとする)や、特別な組立指示(部品Aは部品Bの頭部から六センチの所にリベットで止める)などが必要になるからです。
会社の方針や手続きは、一種の標準計画です。これは、一定の状況が生じた場合、必ず従わなければならない基準になります。そしてこれが一度効力を持つようになると、命令になります。この命令にしたがって働くものは全て、いかなる時もその命令に留意し、仕事を行う上で一貫性を保ち、定められた方針に従うようにします。
方針からの逸脱が技能の低下、一貫性の欠如、倫理規定の違反に基づく場合、あるいは方針からの逸脱が他の部門の業務に影響を及ぼすような場合、方針から逸脱しない方が良い結果を生みます。しかし、公平な決定、ないしは適切な決定を下すために個人の判断が必要になるとき、或いは特別な事情によって個人的な考慮を必要とする場合などは、方針にもっと弾力を持たせた方が良好です。
広く用いられる標準計画は標準運営手続き(Standard Operating Procedure)で、SOPとも呼ばれます。会社によっては、これに"標準業務"とか、極端なケースでは、"バイブル"といった名前をつけているケースもあります。
SOPは、特定の職務を遂行するためにたどる一連の段階を詳細に説明したものです。
「手続きカード」を用いるにせよ、その一部始終が順序正しく記入されます。次に示す新入社員の職場配置に関するSOPを見ると、標準計画の対象範囲が如何に広いかがわかると思います。
例 「新入社員の取扱い」
1) 新入社員は全て人事課に出頭します。人事課職員は社員一人一人について以下に示すような書式を作成します。{書式見本は通常SOPについていますが、この場合はついていません}作成した書式各一通は社員の職員ファイルに残し、他は次の指示にしたがって配布します。
a. 新規雇用記録。給与課に一通、担当専務に人員要求書に添付して一通送ります。
b. 職員記録。一通のみ。社会保証番号、外国人登録証、未成年労働証明書、労働組合カードをチェックします。
c.戸籍抄本、住民登録証明書、各一通人事課に提出します。
2)給与番号を割り当てる。
3)ロッカーを割り当て、ロッカーの鍵を渡します。(保証金5千円)
4)オリエンテーション・プログラム(終了時には、チェックリストに新入社員の頭文字を記す)。
a.会社の歴史と目的(人事課の代表者が教えます)。
b.各種社会保障の説明と書式の作成(社会保障担当マネージャーが行います)。
1 生命保険(年齢を証明する者を用意し受取人を指定します)。
2 健康保険
3 身体障害保険
4 年金制度
c.勤務時間、タイムレコーダーの使用、欠勤などしたときの呼出に関する規則を説明します(人事課の代表者が行う)。
5) 新入社員は人事課の代表者に伴われて配属先の課長のところにつれていきます。
SOPの開発では、単純明快であることが常に大切です。管理者が予想されるあらゆる不足の事態に対処したいと思うあまり、SOPは複雑になりすぎる嫌いがあります。 また、不足の事態などというのは問題外になります。SOPをいかに細かく組み立てても、意志決定を下す際に、いろいろな要素を考慮にいれなければならなくなります。 運営手続きを決める場合には、仕事の日常的な面について、余すところなく運営手続きを決めることです。個々の意志決定に特有の偶発的な問題については、そのすべてをカバーする事は出来ないからです。
効果的なSOPは、
1. 関係者一人一人の取るべき行動が明記されています。
2. 仕事を行う方法一つ一つについても、その用途が示されています。
3. 運営手続きは何れも、テストによって「唯一最善の方法」であることが確かめられてから定められています。
4. SOPが守られているかどうかを経営者が確かめられるように、SOPには管理機能も組み込まれています。 続く
|