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一桁>経営組織論?>経営組織論?『組織の構造』
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<部門の編成>

 会社の活動を組織構造によって分割する方法は幾通りかあります。普通、最もよく用いられる方法は、会社の活動を、部または課の単位に分ける方法です。非常に大きな組織のケースでは、製品ラインであるとか、提供するサービス別のように、担当事業や地域名など適当な分類方法にしたがって、その構造を組み立てることが出来ます。しかし、大多数の会社は部の単位を基本のグループにしております。

部は幾つかの「職位」または「職務」から形成されております。そして業務目標は、各部ともに共通の目標に向かって、一つに纏められ活動をします。

 この部門別化を図る場合の大切な注意要項は、およそ次のようになります。

1 期待される主要なる成果とは何か。
主な成果領域とは、個人及び組織単位としての部が、努力を集中しなければならないと定めた領域になります。例えば、在庫管理部が目的にする主要な良い結果を上げる領域は、販売需要に見合うように、適正な在庫品を保持することになります。
さらに、これに関連する職務は、全て在庫管理部が調整しなければなりません。

2 主要な成果領域には、直接関係のない補助機能はどこに置くべきか。
最も効果的な補助機能の配置は、その補助機能の活動を、最も生かせる部に気配りして行います。
例えばコピーなどの事務補助は、従来の「事務サービス」部にいれるより、複写事務が多いエンジニアリング部に、いれたほうが能率が上がります。

3 分業化が図れるか。
会社の重要な同じ分野に専門家が何人かいる場合、その専門家グループで専門の部を創設したほうが便利な場合が多くあります。
例えば、幾つかの機能部門に、会社が雇った統計専門家が何人か散らばって配置されているような場合、産業心理的な考えから、それらの人達の技術をよりよく管理できるようにするため、新たに、統計部を設けるときがあります。

4 部門編成は調整に役立つか。
互いに異質の機能であったとしても、綿密な調整が必要とされるケースであるなら、一人の管理者の統制下にいれても構わないことにします。
 これは、基本的な成果領域の、複雑な絡み合いが、生ずる場合には特に有効です。例えば、ホテルのフロントと、会計係りは同じ管理者の管理を受けることが多くあります。また、工場では発送と荷受け――この二つの機能は、関係はありますが正反対――になります。けれども、多くの場合同一部長の管理下に入るようにしています。

5 管理を容易にするような部門編成ができるか。
管理を容易にする組織づくりの方法には幾通りかあります。それぞれの活動が、それぞれ、他の活動を独自にチェックする役割を果たすように、職務を組織化するのもそのうちの一つです。例えは、品質管理は、製造と切り離すケースです。その場合い、「品質管理」係りは、製造係りの上役と同じ上役に所属するようにすれると、製造のチェックをスムーズに行うことができます。また、内部監査部の例では、監査の対象になる部と、同じ組織に組み入れて、ならないのは当然の理になります。

 部門編成にあたっては、ある部の職務と他の部の職務との間の関係や区別を明確にします。どの部がどの課業を、実行する責任の有無をはっきりしていれば、課業がどの程度行われているかを評価したり、どこを修正ないし調整しなければならないかを、決めることが容易になります。

 一部の会社では、各部間の競争を慎重に織り込んでいます。目的は、各部の業績拡大を促進するだけでありません。トップ・マネジメントが類似した部の結果と比較できるようにすることです。これは、経費や方法とともに、成果の比較がしやすいように、テリトリーの論争が、行われる販売部門では普通に行われていることです。

6 部の管理者は、部下全員に対し充分に注意を払うことができるか。
これができない場合は、部を幾つかの単位に分割したほうが結果が良くなりますよい。これを決めるときには、部下統制の原則と、管理範囲の問題を、忘れてはなりません。また、スタッフ・アシスタントの利用が、管理者の能力を高め、部下に対する配慮を欠かさないように気をつけます。

7 部門化によって何が犠牲になるか。
部の数が増えると、これに対応させるための人材が必要になってきます。管理者だけでなく、管理者の一人々々に、秘書やスタッフをつける必要も出てきます。さらに、部が能率的に機能するためには、事務室や電話などのスペースや備品調度が必要です。部がその機能を果たすために、人的資源としてスペシャリストが必要になることも多くあります。当然、これには人権費や出張旅費などが加わってきます。
 ですから、部を少なくすれば、必然的に経費もかなり少なくなります。

8 会社は、部に割り当てた機能を果たすため、必要とする経営関係、
  技術関係の人材を持っているか。
これらの人材が揃っていないと、思うように部をつくることができない。無から有を生ずるような人員配置を行うと、部門編成計画全体を、否定するような問題が生じてきます。もちろん、新しい会社は、これを行わなければならないことがありますが、避けることが出来る場合には、新しい部の創設を避け、既存の部に、新しい仕事を加えたほうが、リスクも少なく、成果も期待できます。

9 提案された部門編成は、組織内の調和と調整が図れるか。
部を構成するスタッフを検討します。その上で、彼らの目標は考えられているか。あるいは、彼らはその理由を理解した上で、それに従うのか。そして、最後の分析は、成果を得ることになります‥‥ある程度の人材不足は覚悟の上で、これをやらなければならないときには、二つの要素を比較して考慮することになります‥‥が、主な目標になります。また、過度な「調和」を強調する会社の傾向としては、本当の目標を達成することを考えないで、みんなを喜ばせることにだけ関心を持つようになり、ご機嫌とりを好む経営陣や、無能なスタッフを、育てる危険性がでてきます。
  つづく