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<部下統一の単一性>

 組織が効果的に機能するようにするには、各活動領域の権限内に誰が入るかということについて、混乱や曖昧さがないようにすることが大切である。
 管理監督は一人の人間によって行われなければならない。直接管理、監督する職務を二人以上で分担しようとすると、足並みが揃わなくなるおそれがある。
 一人の管理者がある命令を下すと、別の管理者が反対の命令を下す。ある政策をめぐって一人の管理者がある解釈を下すと、別の管理者が全く違った解釈をしているといった具合である。

 それから権限は単一にすべきである。
 部下がそれぞれ帰属する上司は一人だけにする。そして、誰から報告を受け、誰に報告をするかをわきまえていなければならない。

 しかし、密接な協力関係にあって、一人の人間として行動したり考えたりする傾向のある二人の人間が管理を分担する場合は、必ずしも、管理の単一性を破ることにはならない。  会社によっては、この腹心関係が顕著に現れても、両者が達成すべき目標をはっきりと理解し、関係ある部下の取扱いで統一された政策を実施すれば成功するものだ。

『部下統制の範囲』

 一人の管理者で何人の部下を効率よく管理できるだろうか。責任範囲が大きすぎても小さすぎても、管理構造を弱めるおそれがある。
 組織の能力を最高に発揮させるためには、この問題を考慮した上で、組織構造を考えなければならない。管理者は決定を下す前、つぎの問題に答える必要がある。

1.管理者は監督の仕事にどのくらいの時間を費やすか。
 大多数の管理者は、部下を監督する仕事の他に、技術的な仕事や管理上の仕事など色々な仕事があるから、部下との仕事で実際にどのくらいの時間を使うかを理解する必要がある。
 部下を管理する仕事が主になる場合は、管理者は管理責任の範囲を広げることができる。そのほかの仕事にかなりの時間を費やす場合は、大勢の部下に充分に気を配ることが出来ないから、管理責任の範囲は狭くしなければならない。

2.管理者が処理する問題はどのくらい複雑か。
 問題が高度に技術的な性格を帯びている場合、あるいは上級管理者にかかわる問題である場合には、報告者の数を減らしたほうがよい。
 経営管理と作業監督を区別すべきである。経営者はしばしば組織の様々な領域に影響を与える意志決定を下し、監督者は専ら自分の部のことしか関心がなく、決められた方針に従うだけである。作業監督者は直接管理する部下の数を経営者より広げることができる。

3.管理する問題と活動は反復的なものか特別なものか。
 おもに反復的な状況と取り組んでいる管理者は、さまざまに変化するタイプの活動を扱っている管理者より多くの部下を持つことができる。

4.部下はどの程度の訓練を積み、能力を備えているか。
 有能な部下を持っている管理者は、部下の教育と監視に多くの時間を割かなければならない管理者より多くの部下を管理できる。

5.部下はどのくらいの範囲にちらばっているか。
 管理下に入る部下が非常に広い範囲に散らばっていると、個人的接触を効果的に保つことが出来ない。
 その結果、意志の疎通がはかりにくくなり、動機づけが困難になる。このような場合は、部下に近い上司を置いたほうがよい。しかし、部下と物理的に接近し過ぎると、逆に指導力を発揮できなくなる。

6.どういうスタッフの援助が得られるか。
 部下が上役の他に技術スタッフにも助力を求めることが出来、組織が積極的な支援チームを持っている場合は、管理者はスタッフの扱う課題について部下と直接接触することが少なくなり、それだけ多くの部下を扱うことができる。

近年、権限の範囲は拡大傾向にある。最適範囲は6人から8人と考えられていたが、コミュニケーションや情報収集の進歩、各種作業の機械化によって、管理者は容易に権限の範囲を拡大することができるようになった。

 権限の範囲を拡大できれば、組織の層の数を減らすことができ、不完全な情報や歪められた情報が流される機会が減るとともに、社内のコミュニケーションが容易になる。情報が通り抜ける層が増えればそれだけ、誤解や間違いが生じやすくなる。

 また、権限の拡大は管理者にとってより大きな挑戦となる。権限の拡大によって管理者はより重要な意志決定を下せるようになり、「目標管理」と参加の管理という新しい経営哲学が、より身近なものになる。それに、権限の拡大は部下により重い責任を負わせる機会を提供し、これは成長に備えるための立派な社内教育と経験を部下に与えることになる。この項終わり