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一桁>経営組織論?>『非公式組織』

<支援集団の形成>

「支援集団の形成」
 いままでのヒエラルキー構造を重視する企業組織では、経営、組織化、管理と言うドグマが組織の三種の神器でした。けれども、高度に発達した情報技術の社会では、仕事が専門的に細分化されますから、管理の必要上、権限の分散が急速に進みます。

 そのため、組織の運営は権威主義的な色彩から、時代に適応した学習的な組織に変革せざるを得なくなります。ビル・オブラエンは、これを、経営組織のラーニング・オーガニゼーションへの変貌として、ビジョン、価値観、メンタル・モデルという三つが、新しい健全な組織のドグマであるとしています。

 こうした、システム思考を経営政策に持つ、ラーニング・オーガニゼーションでは、共鳴する非公式集団の形成促進に、非公式な支援集団を利用できる特異な方法があります。それは経営組織のマトリックス組織の利用のことです。

 ですから、非公式組織においての主導権はそのメンバーの手中にありますが、目的達成後は、解散する一時的な組織の場合には、その主導権は経営組織側にあります。
 この組織では、一時的なプロジェクトに、専門家の従業員を、プロジェクトメンバーとして、集めることが行われます。その場合、プロジェクトメンバーは、プロジェクトが進められる間、もとの組織単位から出向配属の形式になります。プロジェクトの性質上、もとの集団から出向は、ごく短期間に限定されます。

 マトリックス・チーム‥‥つまりプロジェクトに出向配属される人‥‥の選考に際し、経営者は、自分自身の目標と、矛盾しない目標を持った集団を、つくる必要があることを忘れてはなりません。
 この集団は、正式なプロジェクト・チームとしての機能を果たすだけでなく、仕事の性質上、メンバー同士が互いに親密になり、非公式集団と同じように行動します。

経営者は、人間的な面に配慮し、各人が持っている技術より、むしろ、各人の目標、組織との関係にいて、各人の過去の行動や、反応に基づいて、人選を行います。この場合、注意しなければならないのは、文字通り会社に忠誠を尽くす「イエス・マン」ばかりを選ぶことです。

 もし、このことを犯しますと、自制心や向上心の欠如があった場合には、たちまち指標が無視されます。
 これを克服するには、各人の能力と、目標に基づいて人選を行います。批判や報復を恐れずに、自己表現のできる機会を、与えるべきです。しかし、多くの人の同意が、当然、期待出来る人達を選ばなければなりません。前述のイエスマンなど問題のある人は、プロジェクト・チームに加えてはならないわけです。

 プロジェクト・チームの人選が終わったなら、指標を示します。プロジェクト・チームの目標は、明確にしなければならないのです。チームに課せられるプロジェクトが、意義のあるものであれば、そのプロジェクトを中心に、社会集団が形成される可能性があることになります。

 行動科学者の指摘によれば、プロジェクトに熱意を持っている人達は、通常の仕事として、これを行う場合より、熱心に働き、目標を達成するといわれています。
 前にも述べたように、非公式集団は、仕事関係など、共通の関心を持つ領域を中心に、形成される場合が多いのです。

 プロジェクト・チームをつくるときには、共通の関心‥‥プロジェクトの成功‥‥が必ずつくられます。これを出来るだけ成功させるには、チームのメンバーに、プロジェクトの活動計画を立てるために、必要な自主性を、出来るだけ多く与えなければなりません。

 つまり、前述のメンタル・モデルを設定する基準問題です。
 例えば、研究者は、物事の研究をする場合、見通しを立てるため、とりあえずモデルを頭の中に設定します。これと同じように、何らかの課題解決の情況に直面すると、誰しもがとりあえずのモデル(作業モデル)を構築します。これをメンタル・モデルと呼びます。

 これは、研究者の作業モデルと同じ性質のもので、メンタル・モデルも、状況と試行錯誤的に関わるための手引きになります。
 ですから、それによって状況の認知的複雑さを低減することができます。けれども、作業モデルと違うのは、メンタルモデルが個人的に恣意的なものがあるところです。

 従って、メンタル・モデルを使いこなすために、新しい技術を学習するとともに、そのような技術を日常的に実践できるイノベーションが必要になるわけです。
 こうした教育を受け、自主的な行動の出来るメンバーにより、プロジェクトの構想が出来上がると、会議を開くまで、互いに知らなかった人達までが、チームの構成員として、互いに協力しあうようになり、社会的関係が必然的に生まれてきます。

 このような状況になると、各種各層の管理者や支援スタッフも協力し、同じ考えを持ち、暖かい協力関係を築こうという気になってきます。これは、管理者がその集団に、仕事を行うのに、必要な措置が取れる権限を与えると、さらに拍車がかけられます。

 チームのメンバーの職務記述書に、プロジェクトの中で、メンバーの行う新しい仕事が、明記されていない場合は、その職務記述書を修正するなり、プロジェクト専用の職務記述書を作成するなりしなければなりません。

 例えば、通常の職務が「マーケッティング担当管理者代理」の人は、マーケッティング部の細かい仕事を担当しています。それがプロジェクト・チームでは、通常の仕事と、関係のない調査や、創造的な仕事を、依頼されたりします。

 この事は関係者全員に知って貰わなければなりません。これはメンバーが、ほかの人から、それは貴方の仕事ではないなどと、官僚的なことを言われずに、仕事の援助を受けられるようにするためです。

 以上を要約すると次のようになります。管理者は、自分の目標を達成するには、公式及び非公式組織構造の、両方を認識していなければならないということになります。

 非公式集団が内的‥‥集団内の相互作用‥‥及び外的‥‥集団全体と全組織との関係‥‥に、どのように運営されるかを理解することによって、両組織構造を効果的に利用することが出来ます。 「非公式組織」 (完)