Y理論や行動科学者が推薦するリーダーシップ・スタイルは、メンバーの全員参加方式ですが、それについで良く知られているリーダーシップ・パターンに、「目標管理」があります。
このフォームの特長は、管理者と部下が一体となって、指定された期間内に、達成したいと思う目標を決定する」と、いう点にあります。
目標管理の進め方は、最初、担当者が目標を測る業務基準をつくり、書類にして管理者へ、提出する事からはじめられます。
そのことによって、目標達成に必要と思われることは、何でも出来る完全な自由が部下に与えられます。この場合、上司は使命達成をする方法を部下に教えません。全て部下に任せてしまいます
管理者と部下は、計画の進度を、実施基準と照らして、定期的に評価します。目標に、どのくらい近づいているか、についての考えを明らかにします。
「目標管理」の最も重要なところは、実際に、全員参加の形を取り、さらに、指揮権や統率など指導力と、その効果についてです。しかも、管理者は、目標さえも、単独で決めることは出来ません。実行責任者の部下と共に、協力して決めることになります。
部下は、自分の能力を伸ばせる範囲内の、達成可能な妥当な目標を、つくるように、日頃から社内教育において、指導され動機づけられます。ですから、それから以降は、部下が独力で、目標達成するための行動計画を立てることになります。
これは苦労や困難多い骨の折れる仕事です。予算、資源の収集など、経営管理のあらゆる面を、考慮にいれなければならないからです。この方法によると、委任する管理者も、委任された部下も、やる気充分の雰囲気の中で、目標達成のために、お互いに協力するようになります。
全員参加の経営管理は、多くの組織で非常に多くの成功例があります。
しかし、目標管理は万能薬ではありません。目標管理を実施する場合、充分に注意して実施しないと、その効果を殺してしまう次のような、幾つかの問題があります。
- 均衡の取れた計画化の欠如‥‥。
目標の一部(例えば売上高)に力を入れすぎると、他の領域に問題を引き起こす原因になる可能性があります。各管理者は、それぞれの部の目標を、設定するように、すすめ励まされます。しかし、他の部門と均衡がとれていなければ、問題を解決することが出来ないだけではなく、逆に、新たな問題を引き起すことになります。
- 正しい訓練を受けていない部下‥‥。
目標の設定を、依頼される部下の管理者は、経営管理のあらゆる面について、徹底した訓練を、受ける必要性があります。
- 不完全な業績管理制度‥‥。
どのような経営計画も、成功するか否かは、管理の出来不出来の結果に、かかっています。問題が手に負えなくなる前に、業績基準を、評価して修正すること、が出来れば、目標管理は、効果を発揮することになります。
- 数量要因の偏重‥‥。
売上高、生産高、原価、利益などは評価しやすい。
しかし、しばしば数値化できないアナログ要素のような、不確定要素が成否を決めることがあります。
管理者及び従業員の士気の高揚、人材育成、企業イメージの向上などの、目標を、どの程度達成しているか。等を、測る方法は、開発が困難なことから、見過ごされたり無視されたりすることが多いものです。
≪リーダーシップ技術≫
管理者は、自分の経営哲学や、リーダーシップのスタイルを選ぶときには、自分の個性にあった型のリーダーシップを選ぶ傾向があります。
しかし、どのような場合においても、指導する部下の心理を、常に考慮しなければなりません。人間のもっている性質を、同一なものとして扱うことは、非常に危険なことです。
十人十色‥‥、という属性が、部下の大部分に共通した基盤になります。優れたリーダーは、部下の大部分が、管理者に何を求めているかを、理解するように心がけなければなりません。
人間は、一個人として、認められたいという要求と、また、誰であっても、自分自身の生まれながら供えている才能を、認めて貰いたい」と、いう思いがあります。
同僚や仲間から一個人として、認められているときは、自信にあふれ、あの満ち足りた、掛け替えのない、気持ちになります。
ですから、有能な管理者であるほど、部下のことについて、部下が関心を寄せていることや、好き嫌いなどについて、よく知ろうと努力しています。
「人を動かす」の著書で有名なD・カーネギーは、第一の原則として、「他人に関心を持つ」ことを上げています。部下に心からの関心を持てば、管理者は優れた管理者の一歩を、踏み出すことになるからです。 つづく
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