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一桁>経営組織論?>『動機づけ』

続続《動機づけの概念》

「保障要因」
積極的な動機づけの効果はあまりありませんが、それが不足すると、大きな不満を生む働きをする「保障要因」には、給料、労働条件、対人関係などがあります。
 これらの要因に積極的な動機づけの効果がないとしたら、積極的な動機づけをする性質の要素はどういう働きをするでしょうか。

 ハーズバークは、「モチベーター」を、やる気を起こさせる職務要因(促進要因)にしています。
 モチベーターは、仕事上から得る満足度を、間違いなく高め、しかも、より多くの努力と業績を挙げようと言う気を、起こさせるのであると定義しています。

 それは、この要因が存在しなくても、必ず不満が生まれるという訳ではありません。
 この要因というのは、常に個人的な成長要因を反映したものですから、仕事との関連において、保障要因によく似ています。

 ハーズバークは、これらのモチベーターを、
「業績及び業績の認識」「仕事そのもの」「責任」「昇進」
 などであると結論を下しました。

 そのことについて、ハーズバークの研究に対する批判は給料の位置づけに集中しています。
 批判する人達は、調査の対象になったのは、技術系と事務系の労働者であるから、労働人口全体の実態を、伝えていないと主張です。

 それは、おそらく生産労働者は、金の影響をもっと強く受け入れるでしょうし、仕事に対する満足感には、あまり左右されないだろうと言う訳です。
 最近の学者の研究論文によると、「仕事に対する満足感」、とくに「仕事そのもの」が主要なモチベーターであり、金は保障要因にすぎないと言う見方を認める傾向が多くなっています。

 事実で本当に、
「金がでなかったら」「金がでても支払に公平を欠いたなら」
働く気を起こさせるものは何もないかもしれません。

 しかし、金が全てであるとしたら、労働者が金に満足している場合には、いくら金を増やしても、労働者を動機づけることは出来なくなります。
 ハーズバークのモチベーターはそのところを突いていると考えられます。

 職務拡大、職務改善の研究も、多くはハーズバークの研究からスターとしています。
 この新しいアプローチは、工場従業員及び事務職レベルの仕事を対象にしております。「仕事を意義あるもの」にして仕事の単調さを解消します。そうすることによって「満足する機会」を労働者のために生み出すことを目的にします。
 近年においてはそのような方法が用いられるようになっています。
 これは、労働者をも創造性を啓発し「仕事そのもの」で、動機づけられるようにしようとするものです。

 多くの会社が用いている外部的動機づけには、他にも多くの職務に付随する必要条件があります。
 従業員保障制度‥‥保険、年金など‥‥は、従業員を動機づけるため、過去において設立されたものです。
 しかし、今日では、まさに文字どおり保障要因となっております。

 大多数の労働者は、各種保障制度に期待していますが、それでは積極的に動機づけられることは、多分にありません。
 仮に、仕事上、車が必要な営業部は別にしても、一部の社員の為に用意される会社の車は動機づけの価値を持っています。
しかし、この種の必要条件が全てそうであるように、その制度が長くなるとそれが当然のことになり、動機づけの価値を失ってしまいます。

 また、大抵の場合、会社における地位が高くなるにつれて、その執務室や什器の作りの良いものを準備します。
 これはモチベーターの一つです。認められた喜びを与えてくれますが、逆に、新しい執務室から出されるのではないか、と言う不安が、仕事を続けていく上で、マイナスのモチベーターとして働く場合があります。 つづく