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向上訓練の研究
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『通信教育』

◆概要
 外部機関の提案する通信教育等を、受講させる学校教育以外の教育です。技能開発や自己啓発を促進させる手段として位置づけられております。
 郵便媒体あるいは、テレビ、ラジオ等の電波媒体、インターネットなどを利用したマルチメディアなどを用いて、職務・職能の脳力開発や、社会的資格取得を目的にした講座などに多く採用されております。

◆通信教育の特色

  1. 価値観の多様化に伴い、地理的に分散している受講生を、一カ所に集めて行う集合教育の実施は、出来にくい。
  2. 企業求人などニーズサイドからは、仕事上の能力開発手段に、求職者などユーザーサイドからは、視野拡大の自己啓発手段へと、社会組織の要請と、個人の欲求が同時に実現可能。
  3. いつでもどこでも、誰でも学習でき、しかも、受講者のペースで学習できる。
  4. 一度に多人数の知識レベルを平準化できる。
  5. 集合教育に比較して経済的である。
  6. 多様化した教育ニーズに対応するためには、多くの通信教育が開発され活用が容易であるなど、インターネットの発達によって、教育の科学的合理化が益々進むと思われる。

◆応用実例
 一、通信教育導入システム
  通信教育講座は企業内人事教育制度の関連で活用されております。
  1. 指名式通信教育講座
    会社からあらかじめ受講者とその受講者を啓発して欲しい領域を決めておいて、啓発目標に適合したテキストを提供する方法です。受講を義務づけ実施されるケースです。

    <実施上の留意点>

    1. 通信教育を受講しなければならない環境を整えます。
      例えば、集合教育に参加するための基礎知識の習得に当てるとか、(事前学習)とか人事制度(資格)との関連性をつけるなどの工夫をします。
    2. テキストを読ませる工夫をします。
      例えば、受講者には、解答提出に出来るだけ記述方法をとらず、理解度テストを中心にした解答方法を採用します。

    3. 通信教育費用を全額会社負担にします。
      通信教育の受講を、教育目的に合わせ義務づけているので、費用は全額負担にします。
  2. オープン式通信教育講座
     担当部門が、社員の受講ニーズの多様化に対応させながら、業務遂行に役立つであろうテキストを選定して、希望者に任意に受講させる通信教育講座です。自己啓発用の通信教育としてごく一般化している方法でもあります。経費は個人負担分を必ず含めます。
  3. 福利厚生活動の一環としての通信教育講座
     この講座は、「社員の適当と認められる自己研修に際して、その受講料を補助することによって、社員の職務知識・能力の拡大に役立てる。」目的で人事施策の中で制度化されているものです。この主旨は、希望者本人の設定した啓発目標に対して、会社が本人の自発的な啓発意欲を助長するために、経費を援助するものです。

 二、導入と活用のポイント
  1. 導入目的を明確にします。
    例えば、
    1. 自己啓発の風土をつくります。
    2. 集合教育を、充実特化させるために、参加者の知識レベルを平準化します。
    3. OJT強化の手段とします。
  2. ニーズにあったテキストを検討選択します。
     民間の通教テキストは汎用に編集されていますから、自社の体質や組織状況にあっていないものがあります。テキスト選択に配慮するポイントを以下にあげてみます。
    1. 販売会社であれば、営業思考のない用がもりこまれているてきすとをえらぶといったように、業種、業態に似ている内容を採用します。
    2. 上級官吏社用に開発されたテキストでも自社の教育ニーズが初級管理者用に向いているのであれば、自社のニーズに合わせます。
    3. 既成の添削問題を自社のニーズに合わせて担当者を変えます。あるいは、新しい課題や設問を付け加えます。
  3. 継続率、修了率を高める工夫をします。
    1. 解答提出、解答返送は、通信教育団体に任せっきりにしないで、担当部門を経由する通信教育システムを作ります(図を参照)。
      通信教育システム
      しかし、このシステムは人事制度と関係づけません。
    2. 毎回レポートの添削、採点の際にその添削、採点を委託している通信教育団体から、レポートの全般的印象、課題の取り組み方などをコメントして貰います。この総評は、受講者の上司に毎回報告して、受講者全体の傾向を知らせるなど、OJTに役立てます。
    3. 毎回の個人提出状況は、当該受講者の関係上司に報告します。その際の他の部署の個人提出状況も添付します。
    4. 通信教育団体で添削がすんで返送された解答には、一人一人担当部門が丁寧に目を通して、会社の考え方や方針を追記します。
  4. アフターフォローはきめ細かくします。
    1. 未修了者には、全単元を網羅した集合教育を実施します。それは、講義と演習の集中コースになります。
    2. 解答未提出者には、担当部門から督促のレターを出します。場合によっては、担当役員から受講の意思確認のレターを出します。
    3. 単元締め切り日の数日前に、次回のテキストを受講者に送り、解答提出を促進します。

    【注】一般的に郵便媒体によるシステムは、つぎのようなステップを取ります。
    1. 通信教育団体から受講者に教材(テキスト、参考資料、指導教材)を郵送します。
    2. 受講者は独習して、学習の成果を所定の課題レポートにまとめ、教育団体に送ります。
    3. 教育団体の専門スタッフが、そのレポートの成果を添削指導して受講者に郵送します。
    4. 返送されたレポートによって、受講者は、自分の学習成果を確認することが出来るようになります。
注:「下図、NEXTで次ページへ続く」


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