総アクセス数
向上訓練の研究
/back/態度・行動変容のための技法/

『CCテスト ―理解促進討議法― 』

◆概要
 集団討議を通して、教育した内容の理解促進を図っていく技法のことで、CCとは、Concept Clarification の訳です。概念を明確にするという意味になります。テストという名が付いてますが、テストというよりは、テスト方式を用いた集団討議法と考えればよいと思います。
手法としては、教育内容の振り返りや重要箇所の再確認を狙いとしています。ですから講義や事前学習の際に組み込んで活用されるケースが多くなります。
元々はアメリカの教育技法であったものを日本人が概念かと改良を加えて、教育技法として位置づけたものです。特定の対象に限定される技法ではありませんが、管理者層など問題意識が高い層に効果の上がるしゅほうです。

◆特徴と効果

  1. 基本的な概念や原理、原則が体系的に理解できます。
    個人解答、グループ討議、正解の提示を通じて、理解の誤りや勘違いが修正され、正しい概念や原理原則が自然に身についていきます。

  2. 強調点が再確認できます。
    講義やテキストの重要箇所を中心に設問をつくるため、強調点が確認できるとともに、再度の強化がなされます。

  3. 参加者の能力や理解の度合いが測定できます。
    正解率やグループ効率を分析すると、参加者のレベルが測定でき、また講義内容などの修正や協調の置きどころに検討を加えることが出来ます。

  4. 研修にたいする抵抗を和らげ参加意識が向上されます。
    討議を通じての理解促進は、自尊心を傷つけることも少なく、自然に興味と関心が高まる良さがあります。また、競争心や葛藤が参加意識を高め、学習への動機付けを促します。

  5. 集団の働きや集団討議の意義が理解できます。
    内容の理解促進だけに限らないで、討議プロセスの振り返りを通じて、集団の働きやその背後にある問題点を浮き彫りにすることが出来ます。

  6. 参加者のリーダーシップや自信などが測定できます。
    プロセスの振り返りを通じて、参加者個人々々のリーダーシップ上の問題や発言の仕方などの問題を指摘することが出来ます。

◆実践的活用事例
CCテスト法の手順
「具体的な進め方」
 最初に、CCテスト法の手順の進め方、六段階を簡単に紹介します。(右図参照)
第一段階‥‥講義・スライドまたは事前学習を実施します。
ここでは基本的な概念や知識を習得している場合、この段階を省略して次の段階に進みます。
第二段階‥‥設問事例を渡し、個人別に解答を行います。(個人別研究)
設問事例は正誤式以外に多肢選択式もあります。一時間の討議でき〜五0の設問(正誤式)が必要になります。
第三段階‥‥グループ(五〜六名)討議によって、統一の解答を決定させます。
決定に当たっては次の条件を遵守させます。
  1. 多数決で容易に決めない。
  2. 少数意見を尊重する
  3. 勝ち負けに固執しない。
  4. グループの成果を目指す。
第四段階‥‥講師(リーダー)が解説をしながら正解を提示します。
解説は問題が起こりそうな箇所を中心に行い疑問点があればそれに答えます。
第五段階‥‥グループ効率を測定します。
計算は個人得点(個人解答の正解数)と個人平均点(個人得点のグループ内平均点)とグループ得点(グループで決めた解答の正解数)を出し次の方式で計算します。
計算式
 このパーセントが討議効率で高ければ高いほど相乗効果があったグループとなります。分析表例は別表の通りです。
第六段階‥‥誤答項目再確認のための講義、解説を行います。
時間があれば各グループに誤答項目(グループの)を発展させ、その項目を重点的に解説します。

グループ効率の分析表
グループD
個人得点最高点20262324
最低点16141818
個人の平均点
グループ得点
効    率25%29%49%47%
順    位
誤答した項目@3D5
811、19
21、22、29
@3D
7、11、20
21
@2D
20、23
@D11
20、29、
◆管理者研修適用のポイント
 設問の作り方や進め方に技術的な難しさがないため、教育担当が容易に実施できる特徴を持っています。また、受講生相互の意見交換を通じて、自分の理解促進による見解も主張でき、しかも他人の意見との比較もできますから、管理者層には好感を持って受け入れられる技法です。しかし、討議させるだけでは効果は半減するので次の点を配慮して実施する必要があります。
  1. テーマとの関連を密接につけ、目的を明らかにしながら進めます。
  2. 正解のみの提示に終わらずに、具体的な解説や質疑応答を多くするようにします。
  3. 実際の職場の現状や管理者の経験を織り込みながら討議させます。
  4. 疑問点にはせいを持って答えるとともに、問題点があれば逆に参加者に投げかけるようにします。
  5. 討議時間を厳守させ、意見が対立した設問は後回しにさせます。
 CCテストで活用できる内容は、管理やリーダーシップの理論や概念、管理に関する基礎知識、個別の管理技術の他、職種別のIE、VE、QC、販売技術など広い範囲に亘っております。
ただ、すべての内容を総花的に行うと表面的な理解に終始するので、テーマを絞って教育ニーズに合致するものを、しかも、理解促進に必要とするもの中心に行ったほうが効果的です。また、CCテストのみでは飽きがきますから、他の技法との組み合わせも必要になります。講義やスライドの補完技法としては、CCテストが唯一のものであるため、実践での活用をぜひお奨めしたいと思います。

注:「下図、NEXTで次ページへ続く」



Back