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 2017/01/27:renewal
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市場構成

市場構成
 それでは、前ページに引き続いて、6Oについて、説明することにします。
  1. 誰が市場を構成しているのか(Occupants)
     つまり、消費者像、顧客像といった捉え方をします。市場の人口増、所得、教育水準、嗜好、、性別、年齢、世帯、ライフ・スタイルといったように顧客像をイメージしてみます。

  2. 何を買うのか(Objects)
     非耐久財か、耐久財か、サービスか、最寄り品、買い回り品、専門品か、一体何をどのくらい買うのかを調べる。

  3. いつ買うのか(Occasions)
    購買頻度、購買の時間帯、季節、週単位か、それとも、月単位か調べてみる。

  4. 誰が購買決定に関わっているのか(Organization)
     誰が購買を決定するのかを知ることは、マーケティングにとって重要です。たとえば、テレビの購入を決定するのは、家庭内では実際上はだれないのか、自動車の購入は女性がするのか、といった類のことです。コトラーは、購入を最終的に決める場には、つぎの五人が関係すると、説明しています。
    (1).発案者、
    (2).影響力の行使者(例えば、技術者)、
    (3).購買者(例えば購買部)
    (4).決定者(会社の上級幹部)
    (5).ゲート・キーパー(外部への情報窓口)
     であるとしています。

  5. 何を求めるているか(Objectives)
     消費者の求めているもの。つまり、必要性(ニーズ)、欲求(ウォンツ)についての追求で、生理的ニーズ、社会的ニーズ、精神的ニーズ、心理的ニーズを満足させようとして、製品やサービスを購入することになるのか。それは予想通りなら何であるのか。
    ニーズがいくつか複数の組み合わせであったりするけれども、このニーズ、ウォン角発見、着眼が非常に難しいのです。
    これが簡単にわかれば誰でもマーケティングに成功することになります。

     マーケティング活動では、この見えないニーズ、欲求を探り出して、ニーズとして顕在化させます。また、さらに、ニーズを、満足、欲求化させるということが行われます。ですから、マーケティング活動は、重要創造であるといわれているのは、こうしたニーズ、ウォンツを探し出して、対応した製品、サービスを作り、それに働きかけて行くからです。
     しかし、それは、まことに、「言うが易く行いは難し」の活動になります。

     ところで、ニーズ、ウォンツとは、基本的には、どのような論理構成で発生しているでしょうか。
    これに関する研究では、著名や、A・マスローの人間欲求の五段階説があります。

    マズローの欲求五段階_製品・サービス
    自己実現の欲求 潜在的にもっているものを実現する 欲求。個性尊重 カルチャークラブ、ボランティア活動、絵画、創造
    自我の欲求 他人から認められ尊重されたい欲求 ゴールドカード、クラブメンバーブランド品
    社会的欲求 仲間と親密な関係をもつ欲求 電話、コミュニケーション、自動車
    安全的欲求 苦痛、深い、不安から自分を守りたい欲求 保険、鍵、品質保証
    生理的欲求 生物として生存するための不可欠なもの 生活必需品

     人間の欲求を五段階に分けて説明し、一つの欲求を充足すると、人間は次の欲求を満たすために行動していくとしています。つまり、よりよい高い次元の欲求を満たそうとするものでこの五段階とは、
    (1).生理的欲求
    (2).安全的欲求
    (3).社会的欲求
    (4).自我の欲求
    (5).自己実現の欲求というように分類されております。

     実際には、人間の欲求は、このように単純に移行して充足されるものではなく、各欲求の複数以上が互いに輻輳しているところがかなりあります。
    この欲求論はある製品がどの欲求を、充足しているものなのか。あるいは、どの欲求を狙って、開発したらよいか、というような自分の関係するマーケットの構成者から判断するのに非常に役立つものと考えられます。

    こういった分類の他に、衣・食・住、健康・保険、コミュニケーション、情報、教養、娯楽、レジャー、交通、運搬といったようなニーズの把握の仕方、あるいは、セックス、好奇心、恐怖心、子育て根防衛、家族根清潔さ、芸術関心、創造、社交心、といったような側面からニーズ、ウォンツを捉える方法もありますが、ある意味では、この問題は、社会的な人間の理解と言うことになります。

  6. どのようにして買うか(Operations)
     これは消費者の購買行動に関する調査になります。
     いままで説明した消費者のニーズ、ウォンツと共に非常に複雑でしかも困難な問題があります。
    市場調査マンは、この二つの問題で常に苦しんでいると言っても過言ではありません。このどのようにして買うかという質問は次の四つに分類すると、さらに理解を深めることが出来ます。

    (1).消費者の購買決定に与える主な要因
    (2).購買行動が行われる場合の状況
    (3).購買決定が行われる場合の意志決定のネットワーク
    (4).購買決定に至る一連のプロセスといったものです。

 このような項目について調査を行い、消費者の購買行動を把握することになりますが、コトラーは、消費者の購買行動に影響を与える主要因は、
A.購買者特性
B.製品
C.売り手
D.状況(季節、天候、景気、人脈など)

 であると述べています。そしてこのうち、購買行動に影響を与える購買特性には、四つの要因があるとしています。

  1. は文化的要因
  2. は社会的要因
  3. は個人的要因
  4. は心理的要因であるとしています。 (マーケティング・マネジメント、コトラー著、プレジデント社刊)

    コトラーの消費者行動に与える購買特性
    文 化 的
    文化、サブ、カルチャー、社会階層
    社 会 的
    準拠集団、家族、役割と地位
    個 人 的
    年齢・ライフサイクル・職業・経済状態・ライフスタイル
    ・性格
    心 理 的
    動機、知覚、学習、信念と態度

     第一の文化的要因は、買い手にもっとも広範囲に影響を与えるもので、買い手の文化、下位文化(サブカルチャー)、社会層への所属意識が強い影響力をもつといいます。
    サブ・カルチャーとは、カリフォルニヤ文化といったものでお馴染みのライフ・スタイルです。社会階層とは、比較的同質的で、上下の順序づけがされております。類似の価値観や関心・行動といったものをもちます。

    アメリカは、主要社会層が六つあります。上流の上、下、中流の上、下、下流の上、下と分類されていますが、中流の下位は全体の30%で、この階層に属する人は、社会的尊敬を得ることに関心があり、協会に行き、法律を守ります。
    ホワイトカラー、グレーカラー、ブルーカラーが混在する日本では、一億総中流意識といわれますが、これはどのように分類したらよいでしょうか。

     第二の社会的要因とは、買い手の生活に関わっている人や、購買行動にインパクトを与えるもので、これには、準拠集団と家族、役割と地位の三つの要因があります。準拠集団には、家族や親しい友人、職場の同僚、職業組合とか、あるいはスポーツ選手とか、映画スターのような願望集団といったものがあります。  こうした集団は、自分を願望に適合させたいと思う集団になります。

     家族は、個人が独立したあとでも無意識に影響力を及ぼすことがあります。また、役割と地位が購買要因となることは、ステータスシンボルという言葉からも容易に判断できると思います。

     第三の個人的要因には、年齢、ライフサイクル、職業、経営状態、ライフ・スタイル、性格などがあります。こういったことが要因になって、個々人はお互いにかなり違った購買行動に出ます。
     同じ職業階層、サブ・カルチャーに属していても、ライフ・スタイルが違うと購買行動は違ってまいります。最近のマーケティングでは、このライフ・スタイル論がかなり注目されていますが、豊かな生活の出現によって個々人が、自分の個性にあったライフ・スタイルを享受し得るようになったからだと思います。

     最後は第四の心理的要因についてです。
     コトラーは、動機、知覚、学習、信念と態度の四つがあるとしています。動機に関するものは、一花(2).かを買うとき、その本当の動機は何かということを追求するもので、先に説明したマズローの欲求五段階説でこれを説明することが出来ます。

    人間は機能的な面からだけでなく、心理的な面からも、製品を見て、購買行動に出ることになりますが、その場合、自分の置かれた状況を、どのように知覚(五感を通じて情報を選択、組織化、解釈すること)するかによっても、行動は異なったものになります。
    学習とは、経験から生ずる個人行動の変容で、いろいろな経験を基にして、次の行動に移ることになります。

     信念と態度とコトラーがいっているのは、イメージといわれる製品、いわゆるサービスに対して抱くイメージが、購買行動を決定させるものです。
    企業経営に当たって、イメージの重要性はマスメディアや情報機器の発達普及によって、益々高く認識されるようになってきています。


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