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《企業教育 ――中堅社員》

【中堅社員の教育】


◆概要
 年功序列をベースにした階層別の教育をすると、どの社員でも教育を受ける機会があります。
 ところが、現在のように組織が流動的になると、年齢に関係なく仕事が専門化します。そこには、若 い管 理者もいれば、年老いた第一線のヒラの担当者もいます。役職と年齢に相関関係がなくなってきたのです。 しかも、人間寿命が延び、会社の定年制の見直しの時代になっています。
 ようするに、中堅社員の、組織内における役割意識と、企業組織の期待する行動を再確認する必要が 出て 参りました。

 しかしながら、若手の社員は、中堅社員と呼ぶのは、会社の都合くらいに考え、ビジネスマンとし て、張りつめるようなもののない年代でもあるのです。人生の最大のイベントである就職活動に際 して も、あまり活動経験がないと、仕事は与えられるものくらいの考えしかありません。ですから、それな りのモラルは必要になります。企業内教育は、問題提起型の発想を、問題解決型の発想への転換 チャン スとしなければなりません。

 新人の頃は、一生懸命働いていれば、失敗も許してくれます。ところが、25才〜30才の、人生の 大きい節目になると、手を抜くようなだらだら仕事への批判は厳しいものがあります。仕事の仕方 も分 かってきて、自信が出る年代です。
 この節目では、どんな仕事をしても、職業人として倫理観は、しっかり持たなければなりませ ん。
 ライフワークを定める年代です。

 組織上もそろそろスペシャリスト、あるいはゼネラリストの方向を選ばせる時期にきています。心構 えや、テーマを確立する自己啓発や、教育の受講に関心が寄せられます。人生で一番苦楽の波が激 しい 時期でもあります。そのため、信念らしきものをつくれば、と、心づくりが仲間と語り合いながら始ま ります。

 ここで企業教育は、問題の処理能力が、世話役から教養人経て、顧客との、良好なコミュニケーショ ンを、促進するための、部門間協力体制の確立など、と、自覚する年齢相応の社会人に、育つよう な狙 いを、明らかにしなければならないと思います。



◆教育の内容
受講者の職務環境
 業務知識を習得して、実務遂行の中心的立場に、あるのが中堅社員の立場です。この立場にある 社員は、実務知識に加えて、後輩の指導、他の部署との折衝や、対人関係に対処するため、対人ス キルの充実が課題になります。

企業 教育の狙い
@ 中堅社員としての役割認識
 
(イ) 職場の核となる中堅社員に、立場と役 割を認識さ
  せ、上司の良き補佐役として、また、後輩の良き指導   役として、行動できるようにします。
 
(ロ) 上司と後輩とのパイプ役として、 効果的なコミュ    ニケーションの取り方を習得します。
 (ハ) 働きやすい職場づくりの推進 役として、人間関係と
   チームワークのあり方を考え、他人の配慮が出来るよ
   うにします。

A 業務知識の充実と見 直し。
 (イ) 日常業務の方法を正しく把握
 (ロ) 仕事のマニアル化による効率的習慣を体得
 (ハ) マニアル活用と業務改善。

B 自己理解と自己啓 発。
 (イ) 自己の知識、技能、能力を認識します。
 (ロ) 仕事や自己成長への取り組みを調べます。
 (ハ) 自己認識やアドバイスを生かすよう考えます。

C リーダーシップとコ ミュニケー ション・スキルの向上。
 (イ) リーダーシップ発揮の習得。
 (ロ) コミュニケーションレベルのスキルアップ
 (ハ) 話す能力、聞く能力の習得。

D 職場問題の解決。
 (イ) 問題点を的確に把握することを習得
 (ロ) 分析能力と解決法の習得

E 対人スキルの向上――これは、後輩の指導を期待さ
 れる人向けに行います。
 (イ) 抱えている指導上の問題解決方法の理解
 (ロ) 後輩にたいする指導方法を習得
 (ハ) 事例を用いたスキル・プラクティス(評価法)の習得

企業 教育の内容
1) 期待される役割の認識、
2) 上司の補佐、
3) 後輩の指導・育成、
4) 業務見直しと改善、
5) リーダーシップの強化、
6) コミュニケーション能力の向上、
7) 職場問題の解決、
8) 自己理解、
9) 自己啓発他。

講師 の選定
 中堅社員を指導する場合の講師は、社内のベテラン社員や、役職者など上位職の人、あ るいは社外の専門講師を使います。
中堅社員教育では、実演・実習、事例研究、ゲーム、テスト類などを、使用する教育技法 が多くなってくるので、それぞれの技法に、習熟していることが求められます。

その 他の注意点
  企業内教育は、知識を学ぶだけでなく、その知識を 応用する方法まで教えます。特に技術の場合には、教育の場で教えることは出来ませんか ら、職場の事例を取り上げます。研修など教育の終了後は、職場で実践しながら 技術の定 着を図るようにしたいものです。

 素晴らしい技術の移転を図っても、実際の職場慣習や、行動習慣とかけ離れていて は、実践が難しくなります。受講者と職場上司との間で、慣習や行動を改善 する必要 についても考慮したいものです。

 



◆教育効果の 評価測定
★社員教育の効果測定には、三つの視点 があります。
一つは、実施したプログラムがどの程度のニーズに答えて業績に反映できたか。
つぎは、受講者の修得度を、受講者や講師がどの程 度把握し ているか。
終わりの三番目は、教育プログラムの妥当性の問題で、プログラムは対象者に適していたか、 あるい は、講師の指導は適切であったかという点になります。

★評価測定の条件
効果測定には、研修直後に、アンケート調査をするとか、感想文、あるいはテスト、評定票、質問など を、実際にやらせてみて観察するなど色々な方法が用いられます。
例えば、業績向上の評価を行うときには、三ヶ月後あるいは、六ヶ月後のデータも参照しま す。そのと き、それらの評価方法は、つぎの六つの基準に適合してはじめて有効になります。
@妥当性の問題
測定すべき条件を正確に測定することができ、しかも、他の要素が入らないこと。例えば、筆記試験な どによく見られるように、判断力や計算能力を調べる目的が、実際には記憶力のテストになる などし て、条件を満たさなくなります。
A信頼性
テスト結果が、グループ毎にバラバラであっては、疑問が残ります。
B客観性
評価する人が変わった場合点数に変化があるような設問の仕方では、客観的な評価は出来 ません。
C包含性
測定する対象は、教育訓練の目的が、達成されたかどうかにありますから、項目の偏りは 許されま せん。
D識別性
テストは、受講生の能力の差を識別できるようなものでなければなりません。
E使用性
測定の実施、評定、集計などにあまり時間がかからないようにします。



◆教育計画と 講師の評価
 先にも説明したように、教育計画や講師についての評価は、 研修などの終了後にアンケート実施するという方法が一般的です。
 アンケートを実施するさい注意すべき点は、アンケート調査用紙の作成は、調査項目設定の方法を誤 りま すと、目的とは異質のデータが集まりますから、いたずらに批判項目を入れないようにします。

 まず、アンケートの目的を明確に提示する必要があります。アンケートの項目も、何のために何を聞 かれているのかが、記入する人に理解されるような、具体的命題にします。教育計画や講師の評価 の項 目には、この教育計画をよりよいものにするための参考にする、という理由を明確に述べて、建設的な 提案を貰うように配慮します。



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