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情報の流れ

 情報の流れとは、ビジネス組織において、情報がどの様な経路を通って伝達されるかということです。

 一般的には、上図の階層型組織図は、右図のパターン・モデルのスター形と連鎖形の混合された形になって、組織内の情報は、その内容から、公式なものと非公式なものとに、分類できます。
「上から下への公式情報の流れ」
 組織における目的達成のために行われる日常の活動の中で、最も基礎的で、重要な流れです。具体的には、ビジネス組織におけるコミュニケーションの種類の通りです。
 ここでは、カッツとカーンが取り上げている五つの形式について説明を試みます。
1) 特定の仕事に関する指示
 これは、組織の中で役割を果たしているすべてのメンバーから、確実な業績を確保するために行われます。実際に仕事を進めていくときに、上司から、部下へ出される命令、指示がその代表的な例になります。

2) 仕事の手続や事実に関する情報
 組織のメンバーとして知っておくべき仕事以外の義務、権利についての情報になります。有給休暇、出張、福利厚生施設の利用などの例です。

3) 仕事や他の仕事との関係を理解するための情報
 組織内のメンバーが、自分の仕事全体の完全な理解と、関連ある他の職務と、どの様にかみ合っているかについて、理解を提供するためのものです。

 これに関する情報が充分でなかった場合の効果は、
@ メンバーが仕事をしていく際に、より自信を持つことが出来る
A 組織全体の目的についてより共通した意識を生み出すことが期待できるという点にあります。
 このことは、組織が大きくなれば成る程重要になってきます。

4) 部下の仕事の結果にたいするフィードバック
 部下の仕事の結果にたいする上司のフィードバックとは、普通、組織内における仕事の量、質への一定の期待される水準あるいは標準と比較しての評価のことです。
 常に、上司が部下に対してどの程度の質と量の仕事を期待しているかを知らせておくことは、人事考課あるいは勤務評定の「公平さ」にも関連してきます。個々のメンバーの貢献度を正しく評価することを、組織サイドからの見方は、統制システムの有効性を高めることで、一方のメンバの立場から言えば、組織での所属欲求、尊重欲求を満足させ、自己開発、キャリヤ・デベロップメントを通しての成長欲求を活性化させることになります。

5) 組織目的を教え込むための情報
 これは、組織目的について、メンバー間に共通意識を形成するためのものです。例えば、定期的に刊行している社内報などがあります。

「下から上への情報の流れ」
 前述のように、下から上への情報の伝達は組織階層の一段上への報告、具申が主なものになります。
 その他には、苦情処理、提案制度などがあります。その中で特に部下から上司への報告という情報の流れが組織の日常活動の中心になります。この報告という情報の流れが問題点として
 過剰な報告、必要報告の欠如、内容の歪曲、報告の遅延等の原因が、報告者(部下)と、受報者(上司)に分けられ、さらに、報告者側には、無知と誤解によるもの、過失と拙劣、故意(自己の存在、業績の誇示)、指示命令、不必要な業務があり、これらが過剰な性質や報告の欠如をもたらしています。
 また、受報者側の原因に、部下の報告にたいする意識の不測、部下にたいする監督及び訓練の不十分さなどが上げられています。さらに、組織側の原因に職務権限の不明確さ、報告制度の不備、管理者訓練の不徹底などがあります。

「水平な情報の流れ」
 コミュニケーション・パターンの連結(チェーン)代表される水平な情報の流れは、非公式な情報伝達に多く見られます。
 そのため、古いタイプの経営組織では、組織の機能を阻害すると考えられてきましたが、その考えを最近では、人間の社会的欲求を無視したものと見るようになりました。
 横のコミュニケーションを禁止すると、組織の効率が低下するのではないかという考えが定着しています。
 水平的コミュニケーションの機能の第Tは、組織目的の達成をめざして行われる色々な活動の調整機能です。ルーサンス(F.Luthans)は、色々なパターンを上げて、組織というものは同じ階層で働く人々の間で行われている情報の流れに依存していると主張しています。

つぎに機能の第Uは、組織の成員に対して、情緒的、社会的な満足感を提供することです。非公式なものであっても、水平情報の流れが職務満足感を感じさせています。最近多くなった、従業員の参加制度の多くは、この水平的コミュニケーションに基づいております。
 水平的コミュニケーションの大きな特長は、本質的に「説得的」なものを持っています。上から下へ強制されたもの、あるいは、下から上への報告のようなものとは大きく異なりまして、水平的コミュニケーションで伝達して、行動を期待すると言うことは、説得的コミュニケーションが、大きく占めているということになるのだと考えられます。

参考文献:「経営組織心理学」松岡・岡村編、(株)朝倉書店。
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