コミュニケーションは一般的に公式的コミュニケーションと非公式的コミュニケーションに分かれ、相互補完の関係があります。
企業組織においては、コミュニケーションによって、客観的な合意を形成しますが、コミュニケーションは、コミュニケーション・ネットワークによって、組織メンバー間に伝達されます。
組織内部のコミュニケーションは、職制上のネットワークを通じて、公式あるいは非公式なチャネルを通して、適切な意志決定のために必要な情報や命令あるいは助言を送り込むプロセスになっています。
コミュニケーションの動機について、つぎのような五点にまとめた説もあります。
@ 不確かさの減少
A 課題の解決
B 考えていることの確認
C 事態のコントロール
D 相手への応答
個々人が組織目標を細分化し、仕事内容を専門化している中で、ここの意志決定を全体として、組織目標の達成の方向に調達するためにコミュニケーションは不可欠の要素です。また、教育訓練もコミュニケーションに重要な手段の一つにです。
それに、情報を蓄積するとか、利用するときには、自分の記憶に頼るほかに、文書やフロッピーデスクに記録します。これを直接的な記録と分類すると、間接記録には、他者記録があります。つまり、情報の記録を自分とその周囲の人々によって貯蔵します。ウェグナーは、集団の情報貯蔵過程においての対人関係に着目しています。
ウェグナーの「対人交流的記憶」と呼ぶものは、集団で見聞または体験したことについて、メンバーはそれぞれ自分の専門領域を中心に情報を蓄積したうえで、その交換をするなどして他のメンバーと情報を共有します。この関係は、人間関係も親密な影響を与えます。そのため、ビジネス組織では常にこのコミュニケーション効果を活用する傾向が大になっています。
組織内においての意志決定や問題解決が十分に行われるには、情報の収集・共有・伝達が適切であることが求められます。組織内のメンバーが分有している情報は、意志決定に活用されるために、管理者を中心に、統合集約させるようにします。そのためには、職階層の低いメンバーからメンバーの上位階層方向へ、情報を伝達することが大切です。
けれども、上位方向への伝達は、水平あるいは、下方向への伝達と比較しますと、情報の正確性が損なわれやすい傾向があります。その理由は、上方向の個人間での情報伝達は、信頼性や質量の高いコミュニケーションになりますが、下方向では、パワーが低いため、地位の向上を反映させたメッセージを上方向に送って、注目を引くような意図のコミュニケーションが多く見られからです。
部下は、上司が適切にそして重要と受け止め、意志決定の際に採用されると考える情報を上司に伝達します。しかし、上司と部下の間には認知枠の差異がありますから、重要認識のもつ意味のギャップが生まれる可能性があります。しかも、部下は上司に取ってマイナスになるネガティブな情報を伝達したがらない傾向があります。
参考文献:人間主義の経営学・三菱総研_行動科学研究室・(株)ティビーエス・ブリタニカ刊