Manfred Mann Chapter Three
Volume One

曲目

  1. Travelling Lady
  2. Snakeskin Garter
  3. Konekuf
  4. Sometimes
  5. Devil Woman
  6. Time
  7. One way grass
  8. Mister you're a better man than I
  9. Ain't it sad
  10. A study in inaccuracy
  11. Where am I going

演奏者

寸評

今回は1969年の11月に発売されたマンフレッド・マンズ・チャプター・スリーの1stアルバムの紹介です。

このマンフレッド・マンズ・チャプター・スリーは、「Manfred Mann / The Five Faces Manfred Mann」や、Manfred Mann / Mann Madeで紹介したマンフレッド・マンのドラマーのマイク・ハグと、キーボーディストのマンフレッド・マンによりマンフレッド・マン解散直後に結成されました。このアルバムのライナーによると、マンフレッド・マンの解散は1969年の6月だそうですが、同月からこのアルバムの録音が始まったとなっています。つまり、このバンド結成のためマンフレッド・マンを解散したように邪推出来ますが、それは蛇足です。マンフレッド・マンの解散からこのバンドの結成へのいきさつは様々な説があり、それらを紹介して一つ一つ検討していくことは「紹介」の範疇を超えてしまいますので、この話はこの程度で終わります。

ただ、前知識として、人気もそれなりにあったトップクラスのアイドルバンドだったマンフレッド・マンを解散してでも追求したかった音があるということだけは覚えておいてください。マンフレッド・マンと、マイク・ハグの二人はジャズを追求したかったのだそうです。ジャズはマンフレッド・マンの中でもある程度は表現してはいましたが、アイドルバンドの性格ゆえ、じっくり腰を落ち着けて追求出来なかったようです。そこで、ジャズを追求するためにマンフレッド・マンを発展的に解消したようです。

さて、このアルバムは「Travelling Lady」で幕を開けるのですが、実はこの曲はマンフレッド・マンの最後のシングルのB面に収録されていた「ア・Bサイド」の再演で、タイトルを変えて収録されています。元々の曲はグルーヴィーなジャズロックで、A面のポップなビートサウンドとはかなりの隔たりのあるサウンドでしたが、このアルバムのオープニングに据えられると見事に曲が活きます。アレンジはほんの少しテンポを落として、ブラスを追加しただけで、基本線は何も変わってないのですが、以上に怪しげなムードが漂っています。マイク・ハグのボーカリストとしての味も影響しているのでしょう。以下大胆なブラスアレンジを施した曲がずっと続くのですが、基本的にマイク・ハグの作る曲はマンフレッド・マン時代の延長線上にあるポップサウンドを基調として、そこには大胆なブラスアレンジを施したというイメージです。また、マンフレッド・マンの作る曲は、特に3曲目の「Konekuf」などが顕著なのですが、アヴァンギャルドなジャズロックを基調にそこに大胆なブラスアレンジを施したイメージです。ただし、フレーズの端々にポップさがにじみ出ているのは否定しません。しかし、曲のおどろおどろしさはマイク・ハグの方が上です。

このバンドはマイク・ハグがドラムキットを降りて、ピアノとボーカルに専念する、それによってマンフレッド・マンがオルガンに専念するという状況下で制作されました。二人の考える音世界を実現するために選ばれたメンバーといっても良いベース、ドラムス、木管奏者は非常に個性的なメンツばかりです。そういうことからも分かるように、このアルバムは楽曲そのものの面白さもさることながら、アレンジの妙であるとか、アンサンブルの妙が非常に楽しめる作りとなっています。ジャズだけでなくブルース色も非常に強く音楽の幅も広いので、本当に十人十色の楽しみ方のあるイマジネイティブなアルバムです。


Created: 2004/01/25
Last update: 2004/01/25

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