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 2022年12月



サッカーワールドカップとICT
2022-12-06

 筆者はサッカーファンではなく、いわいる「にわかサッカーファン」です。それでも森保ジャパンの活躍には手に汗握り、応援に力が入りました。いやー、楽しい。

 そんな中、森保監督のマネジメントが話題になり、なるほどICTのマネジメントと相通じるものがあるんだなぁと今更永感心しました。
 マネジメントのスタイルには大きく分けて二種類あると言われています。呼び方は色々とあるようなので、以下は筆者の呼び方です。

■上位下達型マネジメント
 上司が方針を決めて部下が指示通りに動きます。"昔の"軍隊や工場の作業などがこのスタイルです。工場で何かを製造するときに、工員がそれぞれの考えに従ってバラバラに作ったのでは品質は保てません。従って、手順を事細かに決めて、誰が作業しても同じ結果が得られるように、周到に準備をしてラインを動かします。
 この組織の特徴は目標がはっきりしていると、効率が良いという点です。一方、一人ひとりがアイデアを出し、それらを持ち寄って議論を重ねてゼロからイチを作り出す様なベンチャーの様な組織には向きません。また、軍隊にしてもゲリラと森の中で戦う様な局面や、航空機同士のドックファイトの様にその場での判断が必要な場合には向きません。世界最強の米国がベトナム戦争で負けた時に、上位下達ではダメだと理解して後で出てくるような新たなマネジメントを生み出しました。
 この上位下達型のマネジメントのキーワードとしては、"上位下達"以外に、"PDCAループ"、"マイクロマネジメント"、"ロジカルシンキング"などがあるかなと思っています。
 ICT的なキーワードとしては"集中処理"でしょうか。

■リーダシップ型マネジメント
 良く政治家が「これからはリーダシップを発揮して・・・」などと言いますが、あれはリーダシップ型マネジメントではりあません。あれは、上位下達。リーダシップ゜型マネジメントの特徴は、リーダはビジョンを提示して個々の判断は部下に任せるところにあります。ビジョンとは、部下が判断するための目的であり判断基準です。目的と判断基準は組織の階層を下るに従い、より具体的になっていきますが、必要以上に部下の判断を阻害するものであってはダメです。
 このタイプのマネジメントでは、部下は大変です。部下はリーダシップに対応するためのメンバシップを有する必要があります。単に命令を聞くだけでなく、目的を正しく理解し、目標を設定し、自ら判断し、行動する必要があります。つまり、部下は高度な能力に求められる訳です。
 リーダの仕事はビジョンを提示したら、次は部下の行動を詳細に観察し、必要なリソースを遅滞なく現場に届けることです。リソースは情報であったり、人員であったり、軍隊なら食料や武器かもしれません。
 このリーダシップ型のマネジメントのキーワードとしては、"OODAループ"、"デザインシンキング"などでしょうか。
 ICT的なキーワードとしては"分散協調処理"ですね。


 さて、話をサッカーに戻しましょう。

 今まで日本のサッカーは世界に追いつくためのサッカーでした。従って、マネジメントは上位下達型でした。しかし、これではベスト8には入れません。ベスト8になると言う事は、優勝する可能性のあるチームになると言う事です。つまり、誰かの真似ではなく、新たなサッカーを構築すると言う事です。このため、森保監督はサッカーをリーダシップ型に変えたのではないかと思っています。監督は試合が始まると情報のやりとりとリソースの提供に力を割き、その分選手は自分達で一瞬いっしゅんの判断を的確に下して行動する。そんな分散協調処理を選手たちが実現している様に思えました。

がんばれニッポン。