* 2A3

1930年代初めRCAによって開発され、60年以上も経った今も、管球アンプ派にとって 憧れの銘球である。また、2A3は現在残っている唯一の三極電力増幅管であると言ってよい。
(現在は中国のみで生産している。)

この球の特徴は内部抵抗が低く(rp=800Ω)、ダンピングの利いた音を出してくれる。 また、プレート特性の直線性が良く低歪である。
2A3はその大きさが示すとおりプレート許容損失Pdが大きく、したがって大きな出力を 楽に取り出すことができる。また、三極管であるから五極管のように高次高調波をあまり含 まないので誰でもが比較的簡単に高音質なHi−Fiアンプを作ることができる。
マニアの間では昔から高域の音が細いと言われているが、これは内部抵抗が低い (rp=800Ω)ことでの悪い面と思われる。出力トランスに良いもの(リーケージ・インダクタンスの小さなものがよいと思う。)を使用することと、 私としては負荷インピーダンスを2.5Kから3.5Kにあげ、バイアス電圧も若干高めに設 定することによってよい方向になると思う。

マイナーな面としては

1)ドライブ電圧が大きい(45V)、古いものはグリット電流が流れやすい。(ドライブ回路がむずかしい。)
これらはイントラ回路、SRPP回路ロフチン.ホワイト回路、 グリッドチョーク回路などでドライブすることで解決できる。

2)直熱管なので残留ハムノイズが多い。
ヒータの直流点火と言う方法があるが、2.5V、2.5Aではかなり大がかりな回路になり、私はあまりメリット がないように思う。
この対策にはハムバランサーVRを使用して残留ハムノイズを減らす方が得策と思われる。 念入りに調整すると、真夜中ボリュウムを下げて音楽を聞いても、気にならない程度まで追い込める。 但しハムバランサーVRの動きが鈍くなるよう、なおかつハムバランサーVRが故障(たいていはオープンの方向) したとき、ハムノイズが異常に大きくならないような工夫が必要、これには低抵抗をハムバランサーVRとパラレル に接続しておくことでだいたい大丈夫。


フィラメント電圧 Vf 2.5V
フィラメント電流 If 2.5A
プレート許容損 Pd 15W
プレート電圧 Ep
(プレート−フィラメント間)
250V
グリット電圧 Eg −45V
プレート電流 Ip 60mA
内部抵抗 rp 800Ω
相互コンダクタンス gm 5.25mΩ
増幅定数 μ 4.2
負荷抵抗 RL 2500Ω
出力 Po 3.5W
プレート効率 η 23%

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