Chapter.10::
DRAGONZ OF SPRING DAWIN'
第10章::ドラゴンズ・オヴ・スプリング・ドーイング
シーン・カード》
“太陽” ≒“投喜居”
象徴》“繁栄”
エリー》な、なに〜!
RL》こいつは
風人》王龍はクロマク◎になってたのか。
かすみ》胸倉を掴んで叫ぶ。「答えろ。本物の王龍は何処にいる!」
RL》死んじゃってます。あなたの声は空しく空に響きました。で終わりですが何かすることは?
サイファ》とどめは刺しとく。
D.E.》秘書とかもな。後顧の憂いは絶つ主義なのさ。
RL》蜂の巣になりました。で今回のシナリオはこれで終了です。
風人》王龍は?
RL》次回で出てきます。次が最終回ですから。
サイファ》(はっと思い出す)しまった、AS17を使う機会がなかった〜(笑)! (←最初にリトル・キャットから借りたフルオートショットガン)
かすみ》くそ〜。じゃ朝日に向かって叫んでやる。
「王龍、お前を必ず倒す! あのドラゴンの星がどちらの元に輝くか、今度こそ証明してやるっ!」
でも、もう星は見えなくなってるだろうなぁ(笑)。
RL》わかりました。では今、陽が昇ったことにしましょう。
風人》ところで死体は?
サイファ》あ、
風人》じゃエグゼクの神業を使う。
RL》分かりました。インペリアル・パークの管理人を買収して今回の事実はなかったことになります。死体も片付けてくれます。あなた方が処理したいんであれば別の方法が必要ですが。
D.E.》シルヴァー・レスキューを《買収》するという手もある。ああ、奴らは死体は運ばんか。
(↑消防、救急サービスが専門の企業。詳しくは載っていないのだが、2.0.2.0.のトラウマ・チームTMや、シャドウランのドク・ワゴンTMのような所らしい。)
かすみ》‥‥ではタタラの《タイムリー》発動。華山龍星拳の龍の刺繍の入った黒いでっかい布があったことにするぞ。遺体をくるんでやる。
RL》何か他に行動する人は?
サイファ》銃砲店《リトル・キャット》に戻って‥‥とりあえずAS17返しておく。
RL》「なに、撃ってない? 話が違う〜(笑)! じゃお金払ってよ〜」とか言われます。
D.E.》俺は《結城外科医院》に戻るが。メアリー・エランの容体はもう安定してるんだろ? でメアリーのIANUSに入ってたデータのことを、頼んどいた“ニューロマンサー”に聞いてみるが。
RL》それは次回の冒頭ということで。
D.E.》じゃ適当に話し込んでおく。
風人》渉外局にいる自分はどうなるんですか?
RL》それも次回という事で。この直後から次のアクトが始まるので。
エリー》今日は水曜? じゃ仕事してます(笑)。
RL》で報酬はドリュアディスが父が与えると言いましたがその話も次回の冒頭です。報酬点はあげますが。
かすみ》じゃあ最後だからコネ判定をしよう。あの1回きりのアクトで貰った経験点をかすみ君に回してとったのだ。<†コネ:“広報部の華”静元涼子>で14。 NCBC広報部の涼子さんにお電話します。
◆そんな所で、いよいよアクトも終了間際。キャストは 貰った報酬点で装備を買ったり、将来のためにとっておいたりもできるの。経験点は消費して技能や能力値を伸ばすのに使います。
面白いことに、このゲームの経験点はキャストじゃなくてプレイヤーに与えられるのよね。だから別のアクトで得た経験点を、違うキャストに与えるのも可。アクトの前に、依頼のリプレイやイラストを書いてきても経験点が貰えるの。
ついでにルーラーも経験点を貰えます。何に使うかって言うと‥‥ゲストや自分のキャストを成長させたり、後は合計を記録しておいて自分に対する評価にするみたい。
だから私が得た経験点も実はカッちゃんにあげてあるんだけど‥‥なに、私に電話してきたって?
「はい、静元です‥‥あらカッちゃん? 久し振りね。最近どうしてるの? ‥‥え、なになに?」
小型スピーカーの向こうから、年若い友人の助けを求めるような声が響いてきた。時には聞き手に回るのも、相手の心を掴むコツだ。
「ふぅん‥‥。あなたも色々大変ねー。そうなの‥‥。え、また会いたいって? う〜ん、そうね、今夜は空いてるからじゃあ飲みに行きましょう。久し振りにキミの顔も見たいし‥‥な〜んてね。じゃいつものトコで。うん、うん‥‥あーごめん。仕事だわ。じゃ、後でね〜」
懐にポケットロンをしまうと、後ろに向き直る。新入社員の若者が神妙な顔つきで待っていた。
「昼休み中にすみません、静元先輩。部長からの緊急の指令です。RI財団の午後の記者会見に飛んでインタビューしてこいと‥‥」
後は歩きながら会話を続ける。
「なんでうちが? まあしょうがないわねー。っていうと例のホットなシネマウェアのPR?」
「ええ。情報では、IN◎UEコーポの製品に対抗するとかどうとか‥‥」
「ああ、あのトロンのソフトウェア系の会社ね。新作対戦型ゲームウェアが出ると社長自らがテストプレイして、負けると『はうぅ〜』って叫ぶとかどうとか」
彼女より背の高い後輩は怪訝そうな表情を浮かべた。
「‥‥は、はぁ?? 先輩‥‥随分お詳しいんですねぇ」
「あーごめんごめん、なんでもないなんでもないこっちの話。この前ホロTVの特集でやってたのよ。『ニューロキッズも注目! キミは“げぇまぁ”のエッジを見たか!?』とかいうやつ。‥‥で、チームは誰が?」
「マルヌが護衛につきます。後は僕です」
「分かったわ。準備したらすぐに行きましょう」
彼女はオフィスへと向かった。ふと見ると、篁(たかむら)が難しい顔をしてタップ――バディの搭載されていない業務用の高性能トロン――に向かっている。その横では、偽装して口から銃を撃つ練習をしなければなどと言いながら、バートンがクマの着ぐるみを着て騒いでいる。
まったくこの“ボム・テディ”は。若い子のやることはわかんないわ。あのクンフーボーイもね。
ある若者の顔を思い浮かべながら、彼女は笑みをもらした。手早く荷物をバッグに詰め込む。
「さ〜て、今日じゅうにビズはきっちり片付けて、プラチナムなアフター5へフラッシュドライヴよ!」
「いいですねぇ、デートですか? さすが先輩は広報部の華ですねぇ」
「な〜に言ってるのよ。そんなんじゃないわ。当たらずといえども遠からずってカンジね。さ、行きましょう!」
レインボーアイリスの両眼が紫にチェンジ。彼女のお気に入りの色だ。部下を小突くと、ニューセンチュリー・バイオテック・コーポレーション広報部の静元涼子は、ハイヒールの音を響かせながら歩き出した。
風人》じゃあこっちも、<†コネ:“ノンストップウィンド”遠野凪子>。
RL》どうぞ‥‥あっ駄目だ。彼女は取り込み中なんだ。キャンペーンの関係人物なので。
風人》ちっ。(←ざんねん)
D.E.》俺も一応コネ判定しておくぞ。<†コネ:“イッてるDr.”結城冴香>で21。(これは決定的成功だっ!)
一同》ひゅーひゅー!
RL》ではそんな所で。今回の経験点は7点。宿題をやってきた人はさらに1点。記録シートを提出すればさらに1点。報酬点は20点。
D.E.》今から何かつくろうかな‥‥。
サイファ》《タイムリー》で(笑)。
RL》そりゃダメ。ああ後今回のアクトで、神業を使いきれば+1点。適切な場面で神業を使うのも評価の対象となります。
D.E.》チッ。カゼの
エリー》今日初めてクグツの
サイファ》あっ、あの登場人物の関係表は?
RL》ああ、1点です。
サイファ》ラッキー! これで足りる!
かすみ》僕がそれに落書きしたのは駄目なの?
RL》それは‥‥アノ『IN◎UEコーポレーション』とか社長の『井上のば男』に点をあげろと‥‥。
風人》SC-8(電話用盗聴防止スクランブラ)を買います。
RL》買ってもいいけど相手も持ってないと意味ないよ? それにノンストップウィンドさんとは今は連絡がつかない。向こうにも買ってあげれば?
風人》それだと金が勿体ない。やめよう。
サイファ》愛が足りないやっちゃな‥‥。
風人》ハートがないんだよ。(←確かに彼は生命が低いが、そういう問題ではない)
D.E.》あと1点あれば冴香さんとコネ4レベルにするんだがな‥‥。
かすみ》いつも一緒よ〜ん。ひゅーひゅー。
サイファ》それって分身の
RL》いえ、第2版ではあれは神業ですからそれ以上です。
D.E.》俺もSC-8を買っといて冴香さんと周波数を合わせとくぞ。
サイファ》あとCAWS(AS17のこと)買っとく。ショットガンでも<※跳弾>があればやっぱり跳ね返るんやろか(笑)。
D.E.》それは気色悪いからやめて欲しいんだが。散弾じゃなくて一粒弾(スラグ弾)で撃つ方にパンサー入ってれば大丈夫では? でもフルオートだったら絶対無理だと思う。
RL》それルーラーの感想言っていいですか? 「ケッ」 リトルキャットも「こんなスマートじゃない武器を‥‥ぶつぶつ」と言ってる。
サイファ》射程距離短いし、あんまり使えないよ。きっと車に置きっぱなしやろ。
風人》じゃSC-8の変調パターンをD.E.と霞と合わせておきましょう。これでいつでも連絡がとれる。
かすみ》いつでもか。なんかむかつくなー。真夜中とかに掛けてきそうだ。
風人》名前書いとかなきゃ。クリムゾン‥‥レッドと。
D.E.》そっちは夢野だな。
RL》ハンドルで呼んであげたら?
風人》“ドリーミング・ウィンド”。
RL》あ、それはいやだ。
サイファ》ドリ・ウィン(笑)!!
RL》ではそういうことで。
サイファ》おつかれさまでした。(一同ぱちぱちぱち)
D.E.》まばらな拍手だなぁ。
向こうでは夢野部長がポケットロンで誰かと話をしている。インペリアルパーク管理所と話をつけているようだ。
激戦は終わった――夜明け前の静かな一時が、一行の疲れた心と体を和ませる。アークエンジェルは死んだ。マンドラゴラも死んだ。残るは――“本物の”王龍。
後はデュラハーンとか名乗ったカブトもいた。後はアレクサンダー・ローゼンバウムだ。メアリー・エランのIANUSに残されたデータの正体も気になる。
広がる林を眺めながら、D.E.は考えた。戦いはまだ終わってはいない。勝負はこれからだ。奴らを全員DEAD-ENDにするまで。だが今夜は、危険な夜のダンスはもう終わりだ。
微風が彼の造り物の髪を揺らす。彼のファイバーヘアと人工眼球の“色”は、怒りの深紅(クリムゾン・レッド)にシフトするのも可能だ。だが今は黒のままだった――今はまだ。
「なんや、CAWS結局使わへんかったな。リトル・キャットにまた怒られてしまうわ」
車の中のフルオート・ショットガンを取り出すと、プラグにチップ・インしながらサイファが呟く。
「けっこうきつぅビズやったな。まあこれで、敵さんもだいぶん駒が減ったんとちゃうか?」
「ああ」
答えながらD.E.は空を見上げた。東の空が薄紫に染まっている。霞は北の空には龍の星が輝いていると言っているが、そんな星が何処に見えたものか。彼は倒した王龍の影武者の目を閉じると、遺体にわざわざ布を被せてやっていた。誰だって死ねばスペア・パーツと同じだ。拳法使いのやることは、D.E.には理解できなかった。
「奴とは必ず決着を付けてやる。この“幻龍”の名にかけて! でもけっこうハードな夜だったよ‥‥。そうだ、あの人に電話でも入れてみるかな」
エリーはそんな霞の横で、何も言わずに立っている。チルな彼女の横顔からは、何も窺えなかった。西の空には、まだ星が微かにまたたいていた。空を眺めるなど久し振りだった。そうだ――あの少女が現れたプラネタリウムで今度デートしてみるのも悪くない。もしかしたら――例のドラゴンの星とやらも見えるかも。
僅かに見える星々の輝きは本当に微かだった。淡く、薄く、今にも消えそうだった。まるで今の世界のようだ。あの星は、まるで、まるで――
自分らしくもない感傷に気付き、D.E.は視界を転じた。朝日が昇ろうとしている。インペリアル・パークの芝生を照らしながら。
――冴香さんと星を見に行くのは、しばらく先だな。
常春の街に陽が昇る。アーティフィシャル・ライツの代わりに本物の灯りが街を照らす。陰は退き、クリーン・ビジネスの昼が始まる‥‥ダーティ・ワークの夜は終わりだ。今夜のステージには、もう幕は降りた。
アーコロジーに曙光が映える。摩天楼を光が貫き、街に命が吹き込まれる――夜とは別の、もう一つの命が。
彼方の富士山にはレーザーの雨が降り注いでいた。亜軌道シャトルが空を横切ろうとしている。機械仕掛けの街が、機械仕掛けの人が、動き出そうとしている。もう一つの未来、もう一つの東京。
鎖国日本の唯一の出島。赤道直下のメトロポリス。
ニューロエイジの繁栄の象徴。輝ける新星の都。
歓喜の街。災厄の街。
その名は‥‥<XYZ>
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