Epilogue::
THE TRUTH IZ ◎UT ZERE
エピローグ::ザ・トゥルース・イズ・アウト・ゼア
メアリー・エランの頭の中にインストールされていたのは、膨大な量のプログラム・データ――完全なる人工知能プログラム【ユグドラシル】の半身だった。
D.E.らが守りきったアタッシュケースの中身を、今は亡きステファン・バインが、メアリーの頭の中に移していたのだ。プログラムの中身は理性や良心を司る部分。
もう半分、風人やエリーが守りきれなかった方のケースの中身は、敵に奪われている。そちらのプログラムは、攻撃衝動や自己保存本能を司るもう半身だった。折しもレ・トロン・ド・ルテチアはアミューズメントパークとして完成予定の水上都市計画を進めていた。
その水上都市の一際高い建造物“クリスタル・タワー”の内部にある超巨大ギガトロンの中に、そのプログラムの半分は保存してあるという。
エリーはミスター東郷から、そろそろローゼンバウム一派から手を引けとの指令を受ける。夢野部長と共に別の部に異動となった彼女は、部長の《買収》 によってヘリコプターで水上都市の視察へと向かった。
一方フリーの3人はチャクラのキー効果発動。霞の師匠白龍が“何故か”拾って持っていた保安部の偽造IDカード3枚を手に入れると、警備員になりすまして水上都市へと潜入する。クリスタル・タワーを登る風人とエリーの前に、大剣を携えたローゼンバウム一派のカブト“デュラハーン”ことヴァラール・クレイモアが待ち構えていた。
エリーのオメガR.E.D.による必殺の《死の舞踏》 は、ヴァラールのクリスタルシールドによる《難攻不落》 によって防がれる。
逆にデュラハーンの《死の舞踏》でエリーの《影武者》 リリーが死亡。続いて襲いかかってきたバサラの“闇の王” の《天変地異》 のブラックホールを、烈風が切り刻み四散させる‥‥風人が同じく“風使い” の《天変地異》で防ぎきったのだ。
危ないところで二人はヴァラールを倒した。大剣クレイモアーが床に転がる。
その時、エレベーターからD.E.が追い付いてきた。前に倒したとき、その剣をアルラウネが奪っていったのをD.E.は覚えていた。デュラハーンの本体は人間としての肉体ではなく、バサラの<※護符> で自らの魂を封じ込めた、その大剣なのだ。
AP40が火を噴き、《とどめの一撃》 でクレイモアーは粉々に砕け散った。
最上階へと急ぐ一行。上の階では、本物の王龍が待ち構えていた。霞の願いで他の4人は先へと急ぐ。
拳法家同士の最後の戦いが始まった。全てを吸い込む“闇の王”の《天変地異》から、霞は《黄泉還り》 で復活。闇の力を纏った拳に苦戦しつつも、<※縮地>で達成値30を出した霞が先手を取り、ついに宿敵を倒す。
「一度殺せば、後は全て同じだ‥‥」呟く王龍に、霞は「僕はそうはならない。お前の曇った目には、あの星は見えまい」と答えると、目を閉じてやり先を急いだ。遂に一行は最上階に到達した。ホロの
薔薇 の立ち並ぶ先に、物憂げな少年――アレクサンダー・ローゼンバウムが待っていた。
サイファの《真実》 で彼は自分の目的を話し出す。人間は余りにも不完全な生き物だ。完全なる人工知能を造り出し、それによってルテチアの支配を、行く行くは全てを支配する。自分はそのAIとタタラの<※入魂>で一体となるのだと‥‥。
アレクサンダーは興味なさそうに立ち去ろうとする。そこへサイファの《とどめの一撃》が炸裂、彼は後ろから銃弾を浴びて死亡した。
その時、ホロが消えて天使と悪魔の顔が現れた。プログラム【ユグドラシル】の半身が活動し始めたのだ!
実 体 化 した相手にD.E.とサイファのフルオート射撃が炸裂するも、まだプログラムは消滅しない。
逆にAIの<※還滅> にサイファが捕らえられ、ダメージ・チャート行き‥‥彼は自慢の赤髪を失いかける!
霞の《黄泉還り》で復活すると(サイファはこれからはドラゴンの星を“ちょっとだけ”信じると約束した)、再び攻撃。エリーや夢野らの猛攻も加わって、実体化したプログラムはようやく消去された。
そこへサイファがCAWSを床に向けるとスラグ弾のフルオート連射。《とどめの一撃》でフロアを破り、下の階にあったギガトロンは跡形もなく破壊された。
気がつくとクリスタル・タワーの警備員が押し寄せてくる。そこでD.E.の《脱出》 発動。エリーの酷使に耐えていたパイロットが、最上階にヘリを回してきた。一行は間一髪、水上都市からN◎VAに生還した。
霞の《タイムリー》により偶然手に入れたギガトロンで、一行はメアリー・エランの頭の中にあるプログラムのもう半身を消去することを決意。
旧北極海に眠っていた神のプログラム【ユグドラシル】は完全に消滅。ルテチア上層部からローゼンバウム一派も消え、事件は一応の解決をみた。
《天罰》 の発動により夢野風人は友人の“ノンストップウィンド”遠野凪子 と遂に再会。功績を認められた彼は、ルテチアでより高い地位に昇進することとなった。
(サイファは昇進祝いに、場所をとって邪魔なギガトロンを彼にプレゼントした。)
エリーの元にはミスター東郷が現れ、そろそろ日本本国へ帰るかと聞いてくる。これまでも本能と感情に従って行動してきた彼女はついついイエスと答えそうになるも、この街が気に入っているのを思い出し、N◎VAに留まることにした。
王龍を倒した霞は、師匠の白龍からついに免許皆伝を宣言される。だが自分はまだ師匠になる年ではないことを伝えると、霞は今のままでいることにした。
久し振りに知人のカブト、アレックスに連絡する霞。「いやー、とびっきりの“死神”に追い掛けられててスゲー大変だったんスよ〜」との声に、“デス・ロード”は微笑むと年若い友人の苦労をねぎらった。
相変わらずのサイファの元には、ある日2人の女性が訪ねてきた。自分が3才の時に別れたきりの母親ルナーと、双子の姉ナーファがなんとこのN◎VAへとやって来ていたのだ! 13年ぶりの再会に、3人の家族は互いに喜び合った。
D.E.の元には、クローム・ディームンを始めとする、本キャンペーンに登場した幾人かの登場人物が現れた。それぞれの目的を果たすべく、彼らはこの街を離れるのだという‥‥彼は静かに見送った。
そして、結城外科医院の院長、結城冴香 とのコネが4レベルに達した彼は遂に結婚を決意。サイファやエリー、風人ら友人一同を招きつつ、結婚式は盛大に行われた。
(霞は「D.E.が浮気したらこれで斬っちゃっていいですよー」と言いつつ、タタラの<※改造>で切れ味を高めた刀を花嫁にプレゼントした。)ラストアクト『ラグナロク』はこうして終了。『トーキョーN◎VA The 2nd Edition』キャンペーン、『ローゼンバウム』は終幕を迎える。キャスト達には一時の平和が訪れ、ここに、物語の幕は閉じる。
だが――この街の超新星の輝きが消えることはない。この街は今も健在だ。“運命の輪”は永遠に回り続けるのだから。トーキョーN◎VAはいつでも待っている。新たな役者――君がステージに上がるのを。
◆そんなところで、リプレイはこれでホントにおしまい。
いかがだったかしら? 今回のキャストたちの物語はで終わりだけど、この街にアドベンチャーは幾らでも転がっているわ。今日もきっと、何処かの誰かが、マリオネットのニュースを賑わせているはずよ。
確かに、サイバーパンクな世界は厳しい所かも知れない。TRPGの世界で言えば確かにファンタジーより愛好者は少ないし、初心者にはあまり奨められないかもしれない。
でも、こんな世界だからこそ、瓦礫の中に咲く一輪の花が、銃火と硝煙の陰の本当の愛や友情が、あなたの心を揺さぶるのではないかしら?
それに、ハイテクの攻めぎあう世界での斬新かつステキな冒険の数々は、きっとあなたの胸をワクワクさせてくれること請合いよ!
ネオンとスモッグに霞む大都会、夜空を見上げる人間たちの瞳には、何が映るのか‥‥あなたにはきっと、この心が分かって貰えるはずだわ。
この『トーキョーN◎VA The 2nd Edition』は、TRPGやゲームや映画や小説、様々なメディアの“サイバーパンク”からアメリカ臭いとこや暗いとこを抜き去り、スーパーヒーローやオカルトなどの様々な要素を組み込み、日本を舞台に日本人が活躍する、より洗練された都会的なアクションの方向へ向かったTRPG。
正直言って良いところが沢山あるのと同じくらい悪いところもあるのがすごく残念なんだけど、TRPGの世界で新たな一歩を踏み出したい人には、極上の興奮をお約束するわ。
現に、かつては伝説とだけ(笑)思われていたシリーズ第2弾『オーサカM○●N』や第3弾『カムイST☆R』だって堂々と登場したわ。『バベルD♂♀M』だって、きっと“2秒で”出るものね。それに公式ファンクラブ『TOKYO N◎VA MANIAX』も結成されて、色々と活動しているの。特定ゲームのファンクラブに人数が集まって、きちんと運営されてるなんて珍しい例よね。
そんなわけだから、N◎VAの放つ輝きは不滅のものなの。あなただけのニューロでステキな冒険が見つかったら、是非N◎VAの私たちにも教えてね! プラチナムなあなただけの気持ちは、きっと私たちのニューロエイジまで届くはずだわ。
リアルスペースの皆さん、私の解説と無駄話に最後まで付き合ってくれてありがとう。それじゃ、また会う日まで、XYZ(さよなら)!!
トーキョーN◎VA The 2nd Edition リプレイ
『Revival Rozez 〜よみがえる薔薇〜』
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