第12章 ナイツ・マスター
[GM]> 見覚えはまったくない。「おっと失礼、戦うつもりはない」と両手を上げてる。
[中]> 武器は? 知覚テストで12が出た。
[GM]> まったく持っていないようだ。着ているコートもブランド物の普通のコートだね。暗くてよく分からないが、
ヴィッキーに「あー、君たちも今夜の件で動いているのかな? ‥‥私とビジネスをする気はないかね?」
[ヴィッキー]> ビズ‥‥? どんな?
[GM]> 「お解りとは思うが、我々も君たちと同じ目的で動いている。私がどこの勢力に属しているかは君たちには関係ないし、君たちがどの勢力に属しているかも、私は考えないことにしよう」
[ヴィッキー]> 個人的取引ってヤツね。
[GM]> 「ここまで各勢力が動いて本物はまだ誰も入手していない‥‥つまり、君たちが今持っている物が本物である可能性が高いということだ。
そのチップを渡してくれれば、そうだな、5万新円とりあえず出そう。これで君たちは、今夜の件から解放される」
[中]> (横から)パス1。
[ヴィッキー]> う〜ん‥‥「もうちょっと考えさせてくれない(笑)? 仲間と相談するから‥‥」
[神薙]> さすがヴィッキーだ〜!
[GM]> 彼は笑っている。
「世間はクリスマスだ。何も知らない世の中の人間は呑気に浮かれているというのに、こちらはオモチャを巡ってこんな有様だ。こんなハードなランは、そろそろ終りにしたいとは思わないかね?」
[ヴィッキー]> でもどうせヒマだしー。「一人ですか?」と聞いてみる。
[GM]> 「もちろん。君たちと戦うつもりはまったくない。武器もアーマーもご覧の通り持ってきていないよ」
[神薙]> 回りに精霊は? ‥‥と知覚テストをしたけど最高の目は5だ。
[十六夜]> ダサいわね。
[GM]> まったく見当たりません。それにアストラル知覚をしても、相手がイニシエトだったらオーラ・マスキングで魔法使い特有のオーラを完全に隠せるよ。
さて、彼はヴィッキーと話し続ける。
「明日――いや、すでに今日と言うべきか――はクリスマス・イブだ。日本人は宗教に寛大と言うが、そのようですな。浮かれている連中の中に、クリスマスの本当の意味を知っている人間が果たして何人いることか」
[ヴィッキー]> う〜ん、まあ、それは個人の自由よ。
[GM]> 「ところで、 [ヴィッキー]> いや、全然。 [GM]> 「そうですか。見たところイタリア系の貴方なら知っていると思ったのだが」 [ヴィッキー]> あああ、そう言えば昔聞いたような気がしますね。 |
[GM]> 「神はかつてこう言われた‥‥。
『私は始まりであり、終わりである。今いまし、昔いまし、やがて来るべき者、全能にして主なる神』。
‥‥私の属している勢力も、形は違うが似たようなものですな。常に、そう永遠に存在し続ける」と言うと、謎めいた笑みを浮かべている。
プレイヤー用に言いますが、第六世界にはメイジの秘密結社や昆虫のシャーマンの方々など、魔法使いの勢力も探せば沢山あります。
[桐原]> くっ‥‥。 [GM]> 「さて、取引の方はいかがですかな?」 |
[ヴィッキー]> 「‥‥‥‥そっちは寒いから、ちょっとこっちにこない?」
[一同]> だ〜っはっはっはっ!!
[GM]> なに〜(笑)! 「ここで返事を聞きたいのだが?」
[ヴィッキー]> 「仲間と相談したいんだけど、5分でいいから待ってくれない? ‥‥いや1分で」
[GM]> 「‥‥なるほど、あまりその気はないようですな。本物を持っているというのに残念だ。では、いずれ会いましょう」
と最後に危険な微笑みを浮かべて、彼は逆光の中に消えていきます。振り向いた瞬間に分かるが、黒髪をオールバックにして後ろで縛っているね。日本語を喋ったが日本人ではない。欧米系の人のようだ。ちょっと色黒だったね。
[ヴィッキー]> 「短気ですね意外と」と後ろから追いかけていって言います(笑)。
[GM]> 彼はもう行ってしまいました。しばらくすると何処かから車が走り去る音が聞こえます。
[ヴィッキー]> 帰ってから「場所変えた方がいいかも」と仲間に言おう。
[十六夜]> また《敵探知》を。今度は48M。何だか、前回バーゲストに不意打ちを食らってからトラウマになってるみたいだわ。
正体不明の男は消えてしまった。何者だったのだろうか? もう確かめようがない。
一旦は退いた靄が、また濃くなってきた。誰もいないストリートの、あらゆる輪郭がぼやけて見える。桐原が構えたイングラム・ウォーリアー-10の銃身に、水滴がじっとりとついていた。十六夜が呪文を唱え終え、一行は待った。この暗闇に、誰が潜んでいるのか分からない。
夜の東京スプロールを上空から飛行船で見た人間には、この街はどこまでも続く美しい光の海のように見えるだろう。だが、そんなことはない。空を貫く超高層ビルの谷間に、夜は息づいている。
世界は覚醒した。黙示録の騎手が世界を駆け抜け、魔法が復活し、伝説上の存在が地球に帰ってきた。八大企業の尖兵は飽くなき闘争を続け、大都会の狭間には、あらゆる影が蠢いている。世界は変わってしまった。第六世界の闇はあまりに深いのだ。 |
[GM]> 『ホイ、キリー。シアワセの勢力も今夜東京スプロールで動いてるらしいから、この件が全部ダミーってことは絶対になさそうだ。それからレンラクはどうやら手を引いたみたいだぜ。ハ、ハ、レッド・サムライもこんなくだらん仕事はやってられんみたいだな』
[十六夜]> チップ一つ手に入らなかったんだからね。 [神薙]> もしかしてそれは十六夜のお陰なのか? [GM]> いちおうテレビ電話なので君の顔も見えます。 [桐原]> 「手詰まりでな」今までの経緯を話そう。さっきの男の話もね。 [GM]> 『なんだい、謎々を仕掛けてきたのかい』 |
[中]> 横から謎掛けの話をして「こういう魔法使いのカルト教団を知らないか?」
[GM]> カ、カルトっすか。『う〜ん、世の中は広いからな。UCASにもいろんなヤツらがいたぜ』
[神薙]> ‥‥あれは謎掛けだったのか?
[ヴィッキー]> かもね。全然分からなかったけど。
[神薙]> 第一、ヴィッキーはイタリア人のくせにカソリックじゃないのか(笑)?
[十六夜]> そういうのは、[魔法理論]技能で分からない?
[GM]> ああ、そうですね。ごめんごめん。神薙が7、十六夜が8‥‥う〜ん、とりあえずはあまり聞かないね。あのアズトランには
>>>>>[第六世界のローマ法王ジョン25世はメタヒューマンや魔法、精霊の存在を悪ではないとはっきり宣言したそうよ。東の神道、ヒンズー、ブッダは魔法に関して中立的な立場をとっているけど。ユダヤは魔法は主からの力だと思ってる。
新しい宗教も生まれたわ。
魔法使いの集団も多いわ。
魔族の教団並みに危険で、何を狙っているのか分からない連中もいる。この世界を造ったのも剣の王のような神々だとしたら、それにしては第六世界はあまりに混沌に満ち満ちているわ‥‥]<<<<<
――黒剣の魔道師 ミルディア
[桐原]> 電話の続きだ。マウザーに心当たりがないか聞いてみよう。
[GM]> 『ふ〜む。オレは神を信じないからなぁ。マトリックスの神やAIなら信じてるがね。‥‥待てよ』
[桐原]> どうした?
[GM]> 『こうは考えられないか?
[桐原]> A‥‥Z‥‥。 [一同]> アズ‥‥アズテク!? |
[GM]> 『キリー、こいつは [ヴィッキー]> アズテク〜! [十六夜]> まずいわ‥‥。 [神薙]> そうだ‥‥そういやそうだよな。くそッ、そうか、そういう考え方もできたか‥‥。 |
[GM]> ‥‥ではここで集団の知覚テストをしてもらおう。知力の平均で5、人数を足して10個。目標値は‥‥9。
[桐原]> チーム・カルマも使おう。2個成功。
[GM]> (しかし! こちらの隠密は12!)では対抗テスト。‥‥こちらが圧倒的に多い。君たちが気付くことはない。反応があるのは十六夜の《敵探知》だけだ。
[十六夜]> 「敵」と一言だけ仲間に伝える。それから精霊に命じて
[GM]> 相手はすぐ近くでしかも走ってくる。ちなみに1 人だけだ。 [十六夜]> じゃあ小太刀を構えた方が速いわね。 [中]> (神薙と桐原に)援護いる? 私はイングラム・スマートガンを構えときます。 [神薙]> 1人‥‥まさか? [桐原]> ‥‥ヤツか? |
「‥‥謎々は解けたようだな」
靄の中から不意に声がした。十六夜以外の誰もが気付かなかった。すぐ近くまで、敵は忍び寄っていたのだ。
靄が分かれた。漆黒のコートを纏った人影がゆらりと姿を現した。まるで――闇そのものが実体化したように。
「‥‥そう、アズテクノロジーだよ」
鋭い顔つき。クロームの埋め込まれた痩せ型の体。手にはアレスのモノ・ソード。間違いない。“陽炎”だ。
彼はサングラスを外した。クローム一色の“眼”が――靄の中で妖しく輝いた。
「桐原に神薙‥‥勝負しようじゃないかッ!」
瞬間、弾かれたように影が踊った。
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