第13章 ハイ・スピード・エッジ
[ヴィッキー]> 相手は一人。タコ殴りにしちゃっていいんですかねー。
[GM]> 視界は『もや』。距離は10Mほど。十六夜の掛けていた《敵探知》があったので不意打ちテストの目標値は4から2に低下する。もっともこっちの目標値も2だけどね。では反応力で不意打ちテストをどうぞ。
[中]> 6個しか成功してない。 [十六夜]> 3個ね。 [ヴィッキー]> 5個よ。 桐原&[神薙]> 7個成功だ。 |
[GM]> ‥‥では、全員完全に不意を打たれます。
[一同]> くっ‥‥。
[GM]> 最初のフェイズには行動できず、プールも回復しない。こちらは14個成功。ではイニシアチブと行こう。
[ヴィッキー]> 7。
[十六夜]> 8。ヴィッキーには勝ったわね‥‥。
[中]> 14か。
[神薙]> 17。
[桐原]> 22! 3回行動だ。
[GM]> ‥‥ではこちらからだ。フェイズは44! [一同]> な、なにぃっ!? [十六夜]> その数字は‥‥ |
[GM]> 歩行移動で10M移動。簡易動作でバイオウェアを1つ作動。複雑動作でアレス・モノフィラメント・ソードで二人を斬る。一撃目は神薙。目標値4‥‥12M6個成功だ。拡大して12D。
[中]> 歩行で10M!? 敏捷力10か?
[神薙]> 反撃もできない‥‥。対衝撃レートを引いて目標値9‥‥強靱力で2つ出た! Sダメージに減らした。
[GM]> 敏捷力は14だ。せっかくなのでサイバーウェアの故障ルールを使おう。1D6-4で1個‥‥(ダイスを振る)ヘッドウェアは入れてない。では大丈夫だ。次は転倒判定を。強靱力で目標値は相手の筋力の9。おっと、成功数が足りないなら1m後退だ。
複数の目標への攻撃で二撃目。目標値6で桐原。3個成功だ。
[桐原]> やはり9D‥‥Sに減らしたぞ。転倒判定に失敗! 倒れた。
[神薙]> くそ、あと4回相手は斬ってくるぞ‥‥。
[ヴィッキー]> アタシとイザヨイなんかこのターン1回も動けないんだけど〜(笑)。
[GM]> 次はフェイズ34。彼の体は何かに操られるように、尋常でないスピードで動いている。今度は神薙のみを狙う。目標値は3だ。プール全開でダイス18個‥‥12Mの13個成功。やはり12D。ダメージ抵抗は9Dだね。
[神薙]> ぶっ! カルマを使って‥‥2個成功でSに! 過剰ダメージ2で押さえた。即死はしないか‥‥。
[GM]> Dなので自動的に転倒。魔力の損失チェックはOKか。永久ダメージもなしだね。何か最期の言葉は?
[神薙]> 「‥‥オレはまた負けるのか‥‥」と呟いて倒れる。
[GM]> フェイズ24。桐原の持ってるイングラム・ウォーリアー-10を局部狙いで叩き落とそう。目標値は+4だが5。4個成功。君が凍りついて反撃できないなら‥‥自動的だ。
[桐原]> 次はフェイズ22で俺だが‥‥凍りついたままだ。ドク・ワゴンTMをコールしとくか‥‥(笑)?
[中]> 次はフェイズ14で私。凍りついて終り。
[GM]> 本当は反応力17のこちらが先だ。二人が倒れたので射線が通るね。簡易動作でモノソードを左手に。通常動作でイングラム・スーパーマッハ100を中に抜き撃ちする。バースト6連射の新型SMGだ。 [一同]> ひ、ひい〜! [十六夜]> まさか、弾は‥‥? [GM]> お察しの通り弾丸は |
[中]> 強靱力で目標値10‥‥全部失敗。カルマを使っても‥‥1個。
[GM]> では一撃でDダメージ。ネオ・カーバイドの6発のAPDS弾が君の体を貫く。永久ダメージとサイバーウェアの故障はなしか。自動的に転倒します。
[桐原]> フェイズ12で俺だ。転がって移動。通常動作で立ち上がって‥‥通常動作で懐のアレス・プレデターIIを抜き撃ちする!
[一同]> 行けっ!
[桐原]> 抜き撃ちの反応力テストは成功。目標値は‥‥8。プール全開で12個だ。カルマを使って‥‥9M3個!
[GM]> では温存していたプールを使う。ダメージ抵抗テストは目標値4。5個成功でかわした。ちなみにコンバットプールは13ある。次は?
十六夜&[ヴィッキー]> でも動けない‥‥。
[GM]> ではフェイズ4。モノソードでプレデターIIを弾こう。追加分の簡易動作でこっちのSMGは‥‥。
[十六夜]> 捨てないの?
[GM]> では‥‥ご要望通り落とすことにしようか。簡易動作で局部狙い。複雑動作でアレス・プレデターIIを弾き飛ばす。目標値は7。3個成功だ。
[桐原]> 素手戦闘の反撃は‥‥1個成功。
[GM]> では、君のプレデターIIは空しく弾き飛ばされる。次はフェイズ2で君だ。
[十六夜]> 桐原、敵の銃を拾いなさい! 何もしないよりはマシよ!
[桐原]> フェイズ2。じゃあ‥‥SMGを拾う。
[GM]> (がくっ!)えーっ、敵の銃を拾うの? ‥‥残念ながら彼用にカスタマイズされてる。それに世の中には銃を持った時の指紋を読み取るIBSなんてセーフティもあるぞ。
[桐原]> では拾えないように放り投げて‥‥終わり。
[GM]> では第2戦闘ターン。イニシアチブだ。
[ヴィッキー]> ダイスが1で‥‥6。
[十六夜]> 9。
[桐原]> 21‥‥というのが空しい。サムライを相手にする一般人の気持ちが分かったような気がするな‥‥。
[GM]> こちらはフェイズ43だ。素手戦闘で桐原を蹴ろう。プール全開で6個成功。ダメージは9M精神。 [桐原]> 俺は0個だ! カルマを使っても‥‥ダメージ抵抗が1個成功しかしない! [GM]> では君は気絶してしまう。‥‥ついに、サムライも倒れたね。 [桐原]> 「俺も化け物になったつもりだったが‥‥上がいたようだな‥‥」 |
漆黒のコートの裾が翻る。尋常でないスピードで、陽炎は近づいてきた。鋭いモノフィラメント・ソードのエッジが、揺らめく靄の中で残像を描く‥‥
「どうした二人とも? 止まって見えるぜ?」
すぐ側にいた神薙が後ろにのけ反った。次の瞬間の強烈な斬撃。気がつくと桐原は地面に倒れていた。
強化反射神経を埋め込んでいたお陰で、ヤツの動きはかろうじて捉えることができた。だが‥‥サイバーアイの視界の中でも、ほとんど残像しか見えない!
さらに斬られ、神薙の体から血が噴き出した。黒衣の魔術師の体がどうと倒れる。相棒は倒れる間際に何か呟いたような気がしたが、桐原には分からなかった。
復讐のために二人は変わった。“赤き蠍”というギャングを率いていたあの頃とは違うのだ。多くのものを犠牲にして、二人は力を手に入れた。そのエッジを武器に、二人はランナーとして戦ってきた。二人は誰にも負けないはずだった。だが‥‥だが、ヤツにはまったく歯が立たない‥‥!
自分の右手から、排気システム付きのイングラム・ウォーリアー-10が離れていた。世界中の傭兵達が好む、信頼性の高いヘリカルマガジンのSMG。頼みの綱だった。だが、まだヘビー・ピストルが残っている。
アズテクノロジーの殺し屋は笑いながら、コートの中から一動作でSMGを取り出した。ヘリカルマガジン式の近未来的なフォルム。前にも同じ銃で撃たれたことがある――スーパーマッハ100だろうか?
美しいマズルフラッシュが銃口で輝いた。6発の銃声。邪魔者が片付けられるように、中が一撃で仕留められる。SMGは無造作に投げ捨てられた。ケースレス弾仕様なのだろうか、薬莢は全く出ていなかった。
必死に転がって陽炎から離れ、桐原は痛みを堪えてどうにか立ち上がった。隠蔽型ホルスターから、サムライ達のシンボル――アレス・プレデターIIを抜き放つ!
だが、痛みのせいで腕が震えた。サイバーの“眼”の中のレベルIIスマートリンクの照準が揺れている。銃口の向きから予想していたのか、陽炎は弾かれるように動くと銃弾を避けた。次の瞬間、奴のモノソードがプレデターIIを弾き飛ばしていた。
地面に転がったスーパーマッハが目についた。あれを拾えば‥‥無意識のうちに体が動く。だが、桐原の手の中では引き金が動かなかった。銃を投げ捨てた時‥‥陽炎の強烈な蹴りが下腹部を襲った。
[GM]> フェイズ33。モノソードを左手に近づいてくる。
「どうした? もう二人だけか?」彼の右手の小指の外側から、
[ヴィッキー]> 挑発行動か‥‥でも速すぎて全然分からない〜(笑)。 [GM]> フェイズ23。ヴィッキーをハンド・ブレードで斬る。目標値4。12Lの8個成功。 [ヴィッキー]> こっちは4個成功。拡大して12S‥‥カルマを使っても1個成功‥‥。重傷よ〜。 [GM]> フェイズ13。簡易動作で局部狙い。十六夜の小太刀を落とそう。だが‥‥0個成功か! |
[十六夜]> こっちは目標値3で3個成功。でも小太刀のダメージは拡大しても3S(笑)。筋力ないのよ。
[GM]> では強靱力9でダメージなしまで減らした。2撃目はヴィッキーをハンド・ブレードで斬ろう。2個成功。
[ヴィッキー]> 0個。12Mでダメージ抵抗も0個‥‥。
[十六夜]> 次はフェイズ13で私! 都市精霊にお願いして
[GM]> なにっ! (ルールブックをしばし見る)‥‥だが、他人に影響するためには精霊は通常動作で出現体にならなくちゃならん。行動を遅らせてたとしても‥‥複雑動作の『パワーを使う』を使うのは次ターンの精霊の番になってだね。
[十六夜]> でも次があるわ。簡易動作で小太刀を逆手に持ち替え。次の通常動作でアレス・ヴァイパー・スリヴァーガンを抜き撃ち! 反応力のテストは成功!
[GM]> ‥‥こっちは接近戦してるのに銃で撃つんですか。いつもそうだけど容赦ないっスね。
[神薙]> (半分死んでいる)どこがだ〜(笑)!! [十六夜]> 接近戦に巻き込まれてるから‥‥目標値は5。コンバットプールも全開。カルマも使う。バースト射撃でダメージは12S10個成功! [GM]> この状態で10個!? フレシェットだから対衝撃防御の2倍を引いて4S‥‥プール全開でも9個か。う〜む、Sダメージだ。バイオウェアの |
[ヴィッキー]> 6でアタシよ。「アタシのギグを待ってる人がいるから、死ぬ訳にはいかないっ(笑)!」と言ってクーガー・ファインブレード・ナイフで斬りつけます。目標値7。カルマで5つ成功! ディコートTM付き!
[GM]> おお! そういう台詞は大歓迎だ! という訳で突然ですが『熱血カード』をあげよう。
[一同]> おお〜(笑)。
[GM]> こっちは目標値が上がってプールもないから0個成功だ。ということは‥‥6Dに拡大?
[中]> ‥‥これで?
[神薙]> ‥‥主役はヴィッキーだったのか?
[GM]> 対衝撃4を引いて2D。強靱力だけで抵抗。S‥‥M‥‥L‥‥ダメージなしだ。
[ヴィッキー]> 決死の一撃が〜!
[GM]> フェイズ3でこちら。ヴィッキーにハンド・ブレードでとどめだ。目標値が上がってるが2個成功。
[ヴィッキー]> こっちは1個成功。12Lの10Lになって‥‥出ない! Dまでいってしまう。「そんな‥‥アタシには待ってる人たちが‥‥」と言って倒れます。
[十六夜]> 第3戦闘ターン。イニシアチブは11! 2回行動できるわ。でも‥‥。
[GM]> こちらは目が悪い。34だ。少し手を抜き過ぎたな。遠慮なく十六夜を斬り伏せよう。
完全に生身の十六夜、そしてデータジャックとシンセリンクしかサイバーを埋め込んでいないヴィッキーには、何が起こっているのかほとんど分からなかった。影が飛び‥‥全身をブーストしていたはずの桐原たちが、あっと言う間に倒されてしまったのだ! モノ・ソードの輝く軌跡と光るクロームの眼だけが目の奥に焼きついている。
「‥‥どうした? もう残りは二人か?」
おどけたように、陽炎は歩み寄りながら両手を広げて見せた。右手から‥‥鋭いサイバーの刃が飛び出している。最新型のサイバー・ウェポンだろうか?
遊んでいるのだろうか、剣を使わずに彼はハンド・ブレードで斬り付けてきた。ヴィッキーのブランド物の防弾レザー・ジャケットが切り裂かれた。靄の中で刃先が鈍く光り‥‥十六夜は小太刀を飛ばされそうになった。再び、ヴィッキーがざっくりと斬られる。
十六夜はアストラル界に控えている都市精霊に嘆願した。小太刀を左手に持ち替え、巫女風のアーマー・ジャケットの中から必死でアレス・ヴァイパーを抜き放つ。フレシェット弾専用のこの銃は、アーマーを着た目標には効果が減少するが‥‥バースト可能という強みがある!
コードで銃と直結したミラーシェード型ゴーグルの裏で、赤いLED光が踊った。十字照星が焦点を結ぶ。十六夜は夢中で引き金を引いた。
ニードル型の鋭い金属片が、サイバー・アサシンの体に降り注いだ。セキュアテック・ロングコートを引き裂き、その下の体を貫く!
だが、ボディアーマーか新型の皮膚装甲でも埋め込んでいたのか、致命傷には至らなかった。ヴィッキーが横から合成ダイヤでコーティングしたコンバットナイフで切り付けるが、まったく効いた様子がない。陽炎の手が動き、鋭い刃に三たび貫かれたヴィッキーががくりと倒れた。
モノソードを構え直すと、彼は一人残った十六夜に襲いかかってきた。
何かに操られるように極限の速さで動く彼の姿は、十六夜の目にはゆらめく蜃気楼のようにしか捉えられなかった。靄を切り裂くモノソードの鋭いエッジが薄闇の中で妖しくきらめき‥‥幾重もの残像を描く。
一回、二回、三回。小太刀を左手に持っていた十六夜は、激しい斬撃を受け止めることができなかった。
[GM]> 立っている人間はいなくなったね。‥‥さて皆さん、今からルールを無視しよう。2+負傷修正を目標値に意志力で成功するか、カルマを1点使った人はコンディション・モニター9個の状態でかろうじて意識を取り戻したとしよう。但し反撃はできない。
君たちを‥‥“サイバーパンク”たらしめている魂がそうさせたとでもしようじゃないか。
桐原は意識を取り戻した。サイバーアイの画像データが視神経に流れ込んでくる。仲間は路上のあちこちで全員倒れていた。凄腕の暗殺者はモノソードを投げ捨てると、ゆらりとこちらに歩いてくる所だった。
「桐原ァ‥‥サムライの実力はその程度かい? フフ、俺にはテスカトリポカ神の加護があるがな‥‥」
陽炎の右手が漆黒のロングコートの中に入れられ――流麗なピストルを一動作で取り出した。チェコスロバキア製のセスカvz/120。世界一優秀なライト・ピストルだ。
「‥‥や、やめなさい‥‥」
陽炎の後ろで十六夜の声がした。衝撃で壁に弾き飛ばされた彼女は、震える手で銃を構えていた。だが血で滑ったのか、彼女の手からヴァイパーは音を立てて地面に転がった。彼女も倒れるとそのまま動かなくなってしまう。陽炎は一瞥しただけで、桐原に向き直った。
「‥‥ずいぶん‥‥あっけないじゃないか?」
スマートガン・リンクの銃が独りでにセイフティを解除した。微かな金属音が暗いストリートに響き渡る。
冷たい銃口が桐原に向けられた。クローム一色の陽炎の眼が不気味に光っている。渦巻く靄の中で微笑んだ彼の顔は幽鬼めいて見えた。
「俺も人間を超えた化け物になったつもりだったが‥‥お前の方がずっと上だったようだな‥‥」
呟き、桐原は目を伏せた。
乾いた銃弾の音が辺りに響いた。薬莢が地面に落ちる音はしなかった。ケースレス弾なのだろうか?
そう考えた時、桐原は自分が撃たれていないことに気付いた。
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