〇章

はじまりの妖怪たち
〜レジェンド・オブ・ダムド・ストーカーズ〜

 

●横須賀某所の宿泊施設・九月のある日の午後。『ガープス・妖魔夜行』の時間だぜ!
 まずはキャラクター作成から。人間の想いから生まれる妖怪たちはほんとはどんな種類でも考えられるんだけど、今回はGMが幾つか妖怪のイメージをを決めておき、その中から選んでデータを作成する方式を取ってる。何にもないところから作るのは大変だからね。

 

GM:じゃあお二人さんはそういう事で。先輩もキャラクター選んでください。(と紙を二枚渡す)

プレイヤーI:‥‥? 七体か八体くらい造ったんじゃなかったっけ?

GM:私の地元の方でも造らせたら残ったのがこれだけだったんです。

プレイヤーI:(『だいだらぼっち』と『飛首』‥‥なんかどっちもイヤだな‥‥)

GM:だいだらぼっちは[巨大化]する、力の強い肉体系の妖怪です。飛首は生首が空を飛んで目から怪光線が出る妖怪です。

プレイヤーI:‥‥よし、飛首にするぞ!

GM:‥‥怪光線に惹かれましたね。

 

●『GURPS』はアメリカ、スティーブ・ジャクソン・ゲームズの汎用RPGシステム。CP(キャラクター・ポイント)による統一されたキャラクター作成、詳細な技能や特徴を設定した統一されたシステム、個々のワールドを再現する様々なルールで、“一つのルールで全ての世界”を再現したけっこう有名なゲームだ。
 日本では文庫版で『ガープス・ベーシック』『ガープス・マジック』、及びサプリメントとして『ガープス・妖魔夜行』『ガープス・ルナル』『ガープス・マーシャルアーツ』『ガープス・リング★ドリーム』『ガープス・コクーン』『ガープス・サイバーパンク』『ガープス・サイオニクス』なんかののシリーズが出版されてるね。
 この他にも英語版ではSFやタイムトラベルに超能力、アメコミのスーパーヒーロー、果てはホワイトウルフ社の『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』『ワーウルフ:ジ・アポカリプス』『メイジ:ジ・アセンション』のコンバートまでの様々なルール集、動物やモンスター、エイリアン、現代や未来の兵器までの様々なデータ集、アラビアンナイトやアーサー王の時代から中世や西部劇、秘密結社ものや特殊部隊もの、さらには蛮人コナンや有名SF小説の世界まで‥‥色々なワールドガイドも揃い、正にビッグな一大シリーズになってる。
(ガープス・クトゥルフパンクなんてのもあるんだってさ! よく考えつくもんだよな。)
 “詳細なルールによる架空世界に於けるリアリティ の再現”を目指してるから、計算も多いしTRPG初心者にはちょっと辛いかな。
 それにドラマティックなストーリーや派手な展開が好きな人には向かないシステムだね。でもラインナップも揃い、日本でも定番のシリーズになってるよ。
 『ガープス・妖魔夜行』は日本版サプリメントの人気シリーズ。350〜600CPという超人レベルのCPで妖怪のPCを作成し、現代日本の闇に潜む怪事件に挑んでくんだ!

 

GM:『韋駄天』なら妖力で[高速走行]がいるね‥‥あーあと[加速]。戦闘したいなら[風撃]とかも取らなきゃなんない。はい。

 

●CPを消費して能力値を伸ばし、技能を取り、精神的/肉体的な特徴によってCPを増減させ、癖を5つ取るのは普通のガープスと同じ。『妖魔夜行』では、追加キャラクターシートでさらに作業を続けるんだ。
 妖怪そのものに備わった[妖力]は常に働く特殊能力のようなものだね。「特殊な背景:妖怪である、不老、機械に対する透明、死んでも復活する」等の入ってる[基本セット]、[外見の印象][追加HP][防護点][追加体力][人間変身]等、どの妖怪も持っているものの他にもいろんな妖力が定されてて、個性的な妖怪を造り出す事ができるんだ。
 [妖術]は意識して使う術のようなもの。直接攻撃系や地水火風系、他にも様々な術が揃ってる。威力レベル1毎のCP消費が定まってて、自由に強さも設定できる。[妖力][妖術]はさらに余分のCPを払って[切りダメージ][持続時間延長]なんかの「増強」、CP消費を減らせる[使用回数制限][使用状況制限][妖怪時しか使えない]などの「限定」を施して、自分だけの力を表現できるわけだね。
 それから[弱点]を取れば余分にCPを獲得できるんだ。[××がないと生きていけない][××があると苦しい][××を狙われると危険]とかね。こうした固有の弱点や強迫観念は、妖怪の場合はその存在自体と密接に関わってるものだから、普通のキャラクターよりもより大きな弱点を設定できるんだ。
 最後に人間としての顔(身元や戸籍の有無、我が家や財産、職業、ネットワークの大きさとか)、人間に対するする態度にCPを消費し、ようやくキャラクターは完成だ。

 

GM:大概の妖怪は能力値が平均の10より高いです。ですんで技能はあまり取らなくても何とかなるでしょう。

 

●『ガープス』の技能はCPを何点払えば、「敏捷力/知力±X」レベルになるかが決まってる。該当する技能を持っていなくてその行動を試みる時は、技能毎に決まっている「技能なし値(能力値−X)」が目標値だ(技能なし値のない技能もあるけどね)。
 オレたち妖怪は350/600CPと余裕があるから能力値も伸ばしやすいし、元の値が高いから何とかなるってことだ。
 確かにみんな技能は‥‥あんまり多くないなぁ。

 

プレイヤーN:弱点で[放射能がないと生きていけない]を取るぞ。(これは−30CP)

GM:そりゃ駄目だってば! どうやって取りにいく? 第一、放射能と韋駄天がどう結びつくの!?

プレイヤーS:‥‥計算が合わんぞ。

プレイヤーI:うー、選択肢が多くて迷う〜。

 

●今までに出版されてる妖魔夜行のシリーズは、基本ルールブック『妖怪アクションRPG ガープス・妖魔夜行』、追加データやキャラクター、プレイガイドを収録した『ガープス・妖魔夜行 妖怪伝奇』、リプレイ集の『妖怪秘聞』『東京クライシス』『戦慄のチェスゲーム』、連作シナリオ集『ガープス・妖魔夜行・アドベンチャー 妖魔荘の怪事件』、『ガープス・妖魔夜行・データ集 闇紀行』『妖魔百物語 妖の巻』‥‥とラインナップが揃ってる。小説は、他にも出てたね。
 データ集には、コンプRPG誌上で公募された妖怪たちのネットワーク<海賊の名誉>亭の面々たちに、日本各地のネットワークやフランスやイギリス、悪の妖怪ネットワークなんかも載ってるよ。
 載ってる妖怪たちは麒麟や狛犬、妖狐から人工衛星妖怪や妖怪名探偵のシャーロック・ホームズ(世界中のシャーロキアンの想いから生まれたんだってさ。そんなのあり?)、CP総計2006のヨハネ黙示録の獣の化身まで‥‥オレたちの仲間もずいぶん多くなったね。
 しかしゲームクエスト誌が休刊になった後、妖魔夜行はどうなんのかな‥‥。スニーカーG文庫全盛期はあんなに人気があったのになぁ。RPGドラゴンと統合されるらしいんだけど、新雑誌はいつ出るんだろうねえ。

●そんなこんなで、ようやく三人のPCが完成だ! 今までに掛かった時間は約三時間! ガープスに慣れていないプレイヤーが多かったせいもあるけど、やっぱりゼロから作るのはかなりしんどいみたいだ。
 『ガープス・妖魔夜行』で初めてオレたちを作るときは、サンプル・キャラクターを改造する方がいいみたいだね。でないとこの人たちみたいにシナリオ開始前に疲れちゃうよ(笑)。
 さあ、いよいよセッション開始だ!

 

梟の仕切り線です‥‥
......ガープス・妖魔夜行リプレイ『玉静 〜たましず〜』...〇章 はじまりの妖怪たち 〜レジェンド・オブ・ダムド・ストーカーズ〜......
前の頁(序章)へ‥‥     リプレイの目次へお戻りに‥‥     次の頁(一章)へ‥‥

RI-Foundation > 妖魔夜行 > リプレイ 玉静 > 0章