1/4Aのニューズも交換して再度電源ONをしました。真空管が温まるのを待ってもヒューズはブローしません。一応良しです。TECHNICAL MANUALによると本テスタも123A同様、キャリブレーションカードがあります。53枚ものキャリブレーションカードがありますが、基本調整に必要なのは、10枚程度です。幸いにもこのキャリブレーション用のカードはすべてそろっていました。
キャリブレーションピンカード
自作したツェナーダイーオードを用いたキャリブレーションセル
ただこのキャリブレーションにはキャリブレーションセルと呼ばれるツェナーダイオードと抵抗で構成された治具が必要です(初期型のモデルでは水銀電池を使ったセルがありましたが、後期型はツェナーダイオード型に置き換わっています)。以前入手しておいたAlan Douglas著 'Tube Testers and Classic Electronic Test Gear'のP.7にこのセルの回路図が記載されていましたので、それをそのまま自作しました。
このキャリブレーションセルには2つの機能が盛り込まれています。1つは真空管試験機のメータ校正用(電流と電圧)、もうひとつは真空管の電極ショートチェックの感度調整用です。
水銀電池をつかった旧タイプのキャリブレーションセルがあります。このセルの復活方法は別稿で示します。キャリブレーションカードも1番カードは旧タイプになります。 Feb.09.2006追加
メータ校正用の基準になる電流と電圧の求め方は図に説明しているのでそちらを参照してください。
自作したキャリブレーションセルを使って確認する方法を説明します。
(1)メータ感度調整
まずセルをオクタルソケットに挿してカード1Cをカードリーダ挿入します。
プッシュスイッチ2を押してメータの針を読みます。電流値の%がセル製作の回路図に示した電流値%±1(自作したセルでは54.1%)目盛以内であればOK。外れている場合はメータ交換が必要でしょう。
自作したセルをUSソケットにさして、カード1Cでメータを読んでいるところ
次に1Cのカードを抜いて1Dのカードを挿します。プッシュスイッチ2を押してメータの針は示す値が電圧値%±1目盛(自作したセルでは54.7%)になるようにコンパートメント内にある’METER CAL’を調整します。
カード1Dでメータを読んでいるところ
(2)ショートテスト感度調整
カード2〜5を使って真空管の電極ショートの感度調整をします。
カード2および3は低感度の調整です。カード2の時はショートをしめすランプが点灯しないように、かつカード3の時、ショートランプの左4個が点灯するように’LO SENSE’つまみを調整します。
カード4および5は高感度の調整です。カード4を挿入し、コンパートメント内の’SENSITIVE GRID SHORTS’ボタンを押します。このときランプは点灯しないようにし’HIGH SENSE’のつまみを調整します。次にカード5を挿入して左から4番目のランプが点灯(実際は早い周期で点滅しています)するように’HIGH SENSE’のつまみを調整します。カード4と5を繰り返します。
カード2(左)、カード3(右)でショートを示すネオンランプが消灯/点灯するように調整
カード4,5で高感度のショートランプの調整をする
以上でキャリブレーションセルを用いた調整は終わりです。
あと、マニュアルに従い、残りのカード(6〜53A)で調整しました。
これらのカードによるチェックで新たにAUXB+の電圧が制御できていないこと(カード25 AUX B+REG)が判明しました。コンパートメント内の’AUX B+ ADJ.’のつまみを回してもメータの表示がFSをしめしたまま(実際の電圧も300V以上)です。じ正常であれば、30V〜300Vまで可変できるはずですが、この機能が壊れています。
AUXの電圧が制御できず(フルスケールのまま)
回路図から追いかけて、6AU8-Pのカソードの制御電圧がつまみに合わせて変化していないことから、可変抵抗’AUX B+ ADJ’およびその両端の抵抗の断線を疑い調べてみました。
結果、調べていくと可変抵抗’AUX B+ ADJ’の片側に接続されている抵抗が焼けきれているのを発見しました。早速交換して、AUX B+は30V〜300Vの範囲で可変できるようになりました。これもおそらくカードリーダのスイッチのショート不良で生じたものであると考えられます。
焼けたいた抵抗
焼けた抵抗をはずして、新しい抵抗に交換しました。
再度、キャリブレーションカードで全ての点検を行いました。これで全てパスするようになりました。
早速、基準としている真空管(自分で基準としているいくつかの真空管。手持ちの真空管テスタであらかじめGm、Ibなどを測定してあるもの)を測定してみました。123A,R型で測定した結果を同等なGmが得られています(123A,RでGmが75%であった6K6を測定した例です)。123A,Rとはカードに上位互換もあるので123A,RのカードをUSM118Bに挿入して測定もそのまま同条件でできます。当然、測定結果も同じになりました。
手持ちの真空管で測定(123A,Rで測定した6K6を使いました)