らいぶらりぃ | |||||
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●日 時 | 2000年6月7日(水)18時開演 |
●会 場 | フェスティバルホール |
●出演&曲目 | 1.立命館大学混声合唱団メディックス |
荻久保和明(鶴見正夫詞)/混声合唱組曲「IN TERRA PAX〜地に平和を」より 指揮:渡辺淳仁/ピアノ:清水知子 | |
2.同志社学生混声合唱団C.C.D | |
Knut Nystedt/Motets 指揮:倉林重幸 | |
3.関西大学混声合唱団ひびき | |
高嶋みどり(片岡輝詩)/混声合唱組曲「遥かな時の彼方へと」 指揮:長坂英典/ピアノ:大平佳央理 | |
4.神戸大学混声合唱団アポロン | |
メンデルスゾーン/Four Sacred Chorusesより 指揮:松本洋平 | |
5.大阪大学混声合唱団 | |
木下牧子(池澤夏樹詩)/混声合唱組曲「ティオの夜の旅」より 指揮:野本浩司/ピアノ:藤原真紀 | |
6.関西学院大学混声合唱団エゴラド | |
後藤丹(谷川俊太郎詩)/混声合唱組曲「気球の上る日」より 指揮:末松ゆかり/ピアノ:上野順子 | |
7.六大学合同演奏 | |
三善晃(谷川俊太郎詩)/混声合唱とギターのための組曲「クレーの絵本第1集」 客演指揮:雨森文也 | |
(アンコール) 新実徳英/卒業 |
今年も関混連の季節がやってまいりました。昨年は、仕事の都合で行けなかっただけに、今年はちょっと楽しみにしていました。送られてきた案内状を見て、え…?と思うところもあったのですが(^^;、でも、行ってきたのでした。もちろん、仕事もありますので、最初から聴くことは無理、というものです。とりあえずは、4番目のアポロンのステージから聴けたら、と思っていたのですが、案の定、会場に着いたら、ちょうど、ひびきが演奏しているところでした。個人的には、前半のC.C.Dのニーステットの曲にも興味があり、聴いてみたかったのですが、魔に合わなかったのですから、仕方ないですね。ロビーで待っている間、昨年に卒業したばかりというアポロンの後輩にも会いましたが、いやはや、若いっていいですねぇ…(と思ってしまう私は、もう年なのかしら…^^;)で、わが母校のアポロンであります。今回、アポロンが持ってきたのは、何と、メンデルスゾーン。 アポロンのメンデルスゾーンを聴くのって、30回の定期以来のことです。久しぶりにロマン派を持ってきただけに、いやでも期待してしまいます。が、いざ、演奏が始まってみると、ちょっとがっかりしてしまいます。何かこう、前へ来るモノがないんですね。一応、音取りをして、きれいにまとめてきました、というだけの演奏というか。確かに曲としては、まとまって聴こえるのです。多少、フーガのところなどでちょっとだけバラけそうになるのですが、何とか保っているようで、その点はいいのです。でも、全体に表情も乏しく、ダイナミクスの幅も狭く、メリハリのない演奏になってしまっているのは否めません。例えば、最後のコラールのところでも、ユニゾンならではの厚いハーモニーをもっとたっぷりと聴かせてもいいと思いますし、その後の終結部、アーメン・コーラスにしても、もっと堂々と曲を終えるようでないといけないと思うのです。それが、余りにも力なく聴こえて、ちょっとがっかり、なのです。これは、12月の定期に期待することにしましょう。
その次の阪混の「ティオ…」、これが実に良かったんです。アポロンの演奏とは対照的に(?)、みっちりと曲を仕上げてきた、ということがはっきりと分かる演奏なんです。人数の少ない割に、声もよく出ていて、pからfまでのダイナミクスもドラマティックにつけられており、何と言うても、曲全体を通じての表情の変化というのがはっきりと分かるのが、素敵です。日本語の言葉もしっかりとしゃべっていて、歌詞を見なくても、言葉がはっきりとこちらに伝わってきます。一体、何が違うのだろう、と思って見てみると、指揮者がイイのですね。曲のことをよく理解した上で、歌う側にも伝えるべきことをはっきりと伝えることのできる指揮をしているのです。バトンテクのみでなく、音楽性そのものがイイのだ、ということが分かります。いや、素晴らしい指揮者もいたものです。
指揮者という点では、次のエゴラドも楽しみでした。女性の指揮者であります。エゴラドさんの女性指揮者と言うと、数年前にも「風紋」を振って、素晴らしい名演奏を聴かせてくれた指揮者がいたのですが、その方以来ですね。曲は初めて聴くものでしたが、なかなか面白い曲だと思いました。結構、さわやかな感じのする曲調で、これを演奏する側も、何とかそのさわやかさを表現しようとしているのが分かります。指揮者も割とコンパクトに曲をまとめているような感じで、なかなか好感が持てます。ただ、やはり人数が少ないからなのか、何か、声がバラけて聴こえてきたのは、ちょっと残念な気もしました。
そして、合同演奏。正直なところ、6大学そろっての合同で、今更に「クレー…」をやらなくても、と思っていたのです。どうせ、大人数での演奏なのなら、大人数でないとできないような曲をするべきだと思っていたので。でも、演奏がいざ始まると、その思いはすぐに打ち消されました。期待以上に素晴らしいのです。久しぶりに聴く大人数の迫力もあるでしょうし、また、三善さんの独特の節回しの魅力もあるのでしょうけれども、何か、すごくイイのです。何がイイのかと言うと、それは、もう雨森先生の指揮につきるでしょう。雨森さんの指揮はすごく、職人芸的なもので、歌い手をまさに「歌わせる」ものなのです。カリスマ性があるというか、体全体を使って表現されるその音楽は、非常に内容の濃いもので、そういう指揮をされたら、誰だってつい、ノせられて「歌って」しまうでしょう。それだけの魅力が雨森さんの指揮にはあるというわけです。その指揮が、あの独特の三善音楽の魅力をまた全面的に引き出してきていて、結果的にそれが、非常に訴えかけてくるもののある、内容の深い演奏になっているのです。学生達もよく、雨森さんの指揮に食らい付いていたと思います。ギターも4本ついて、とても楽しめた演奏でした。
アンコールには新実さんの、これまた美しい曲。合唱って、やはりいいものだなぁ、と思いながら、聴きほれているのでした…