らいぶらりぃ
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神戸シンフォニックバンド第21回定期演奏会

●日 時2000年10月22日(日)13時30分開演
●会 場神戸文化ホール・大ホール
●出 演神戸シンフォニックバンド
客演指揮:高橋徹
指揮:松井大輔/田中一/古川恵三/河井弘毅/李哲/井添大助
●曲 目シェルダン/叙情的序曲「マナティー」
真島俊夫/コーラル・ブルー
大栗裕/仮面幻想
ビゼー/「アルルの女」第2組曲
ラテン・ヒット・パレード
ギャンブル&ハフ/「ソウル・トレイン」のテーマ
レノン&マッカートニー/イエスタデイ
ウェッバー/ミュージカル「オペラ座の怪人」メドレー
(アンコール)
I will follow him
マーチM

 地元神戸で様々な演奏会に出演するなどして活躍している神戸シンフォニックバンド、この定期演奏会に、ふとチケットを手にしたので、行ってきました。

 前半はクラシカルな曲が並びます。シェルダンの曲は、何か大らかな気分にさせる雰囲気たっぷりの曲、真島さんの曲は沖縄民謡をベースにしていて、その伝統的・エスにックな雰囲気と、ブラスバンドの持つ力強さとがうまくマッチした曲です。そして、大栗さんの曲は、前衛的な匂いを感じさせながらも、どこか日本の伝統的な要素も含まれているせいか、懐かしさのようなものも覚えさせる曲です。…と、ここまではバンドの方も、練習の成果を十二分に発揮しているといったふうで、なかなか素敵なサウンドを聴かせてくれます。特に、大栗さんの曲では、客演指揮の高橋さんが振っていたということもあってか、かなり気合が入っていたようにも感じ取れます。(その高橋さんご自身が、大栗さんの弟子であり、今では故人となられた師匠の曲を振るということで、気合十分だったこともあるとは思いますが。)が、ビゼーになって、ん…?と思ってしまいます。木管が弱く、曲全体のバランスも欠いていて、この曲だけに関して言えば、ちょっと練習不足なんじゃないか、そう思わざるをえないのですね。ファランドールなんかは力まかせに持っていくこともできるとは思うのですが、メヌエットとかはごまかしようがない曲ですから、もうちょっと練習しての成果を聴かせて欲しかったと思います。ちょっと残念でした。

 後半は、楽しいポップス・ステージ。いきなり、ティコティコやマンボ・ジャンボ等のラテン・ナンバーで私達を楽しませてくれます。それはもう、全員が完全にノリノリで、歌えや踊れやの騒がしさ。(…?)技術的なことはともかく、こういうステージはとにかく楽しくないと。「ソウル・トレイン」も「イエスタデイ」も、たくさんのソロがあったりして、客席を湧かせてくれます。そして、「オペラ座の怪人」まで、とても楽しいステージでした。

 ところで、今回の演奏会では、それぞれの曲ごとに指揮者が違っていて、計7人の指揮者が登場していました。1人は、先程の客演の高橋さんですが、それ以外は、皆、団員指揮者。今回が指揮者として初めての舞台という方もいらっしゃったようですが、団内だけでこれだけの指揮者を擁することができるというのは、すごいことだと思うのです。それぞれ、技量や個性など違った指揮者ですから、練習にもそうした個性は生かされてくるはず。そうした多様な味付けに応じていくことで、バンドも成長していくでしょうし、また、指揮者自身もまた、そうした練習を通じて更に成長していくことができるというもの。そういう、この団自身が持っている、それぞれの個性を大事にしていきたい、というモットーが、今日の演奏にも表れているようで、とても素敵だと思います。今後の活動にも期待したいと思います。