らいぶらりぃ
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神戸市演奏協会第147回公演

三色すみれ演奏会

●日 時2000年11月1日(水)18時30分開演
●会 場神戸文化ホール・中ホール
●出 演北村協一指揮神戸市混声合唱団
ゲルハルト・ボッセ指揮神戸市室内合奏団
ソプラノ:坂本環
メゾ・ソプラノ:橋爪万里子
テノール:松本薫平
バリトン:雁木悟
ピアノ/沢田真智子
●曲 目【第1部】神戸市混声合唱団
ラッソ/やまびこ
セルミジ/花の生命ある限り
イザーク/インスブルックよ、さらば
パスロー/うちの亭主はお人好し
ジュヌ/麗しきつばめ、春の使い
モーリー/今こそ5月
【第2部】神戸・アーバンオペラハウス
モーツァルト/歌劇「ドン・ジョヴァンニ」より ぶってね、マゼット
ドニゼッティ/歌劇「ラ・ファヴォリータ」より ああ、私のフェルナンド
プッチーニ/歌劇「ラ・ボエーム」より 冷たき手を
モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」より もう飛ぶまいぞ この蝶々
【第3部】神戸市室内合奏団
ヘンデル/12の合奏協奏曲より 第10番Op.6-10
【第4部】合同演奏
ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」より
 朝の賛美歌/ハレルヤ
 マリア
 サウンド・オブ・ミュージック
 私のお気に入り
 ドレミの歌
 ひとりぼっちの羊飼い
 エーデルワイス
 さよなら、ごきげんよう
 すべての山に登れ

 神戸市演奏協会が抱えている3つの音楽団体、即ち神戸市混声合唱団と神戸市室内合奏団、神戸アーバンオペラハウスが一同に会しての演奏会です。毎年この時期に行われているのですが、これに初めて、さる方から招待されましたので、行ってきました。

 最初は混声合唱団の演奏。ルネサンス期のマドリガルが並びます。プログラムを初めて見た時に、正直なところ、え?と思ってしまったのです。この合唱団でルネサンスの音楽なんかができるのかしらん、とちょっと疑問に思ってしまうからです。何年か前にこの合唱団の演奏を初めて聴いた時に、これは合唱じゃなくて重唱だ、と個人的に断定してしまって以来、どうもそういう耳で聴いてしまうから、なのでしょうが、…実際、聴いてみても、やはり首をかしげてしまいます。この曲って、こんな曲だったんだっけ?と思ってしまうんです。何か、私が曲に対して持っているイメージと違う、そういう気がしてならないのです。演奏自体は決して悪くはないとは思うのです。声もそろって響いてきているし、和声もちゃんと整っているし、一見、何の問題もなく、素敵な演奏のようにも聴こえるのです。でも、…何かが違う、そう思えて仕方ないのです。何でだろう…

 という疑問を残したまま、次のオペラの部へ。ここではソリスト4人が続けて登場して、それぞれ、持ち分のオペラ・アリアを披露してくれます。4人の中で一番印象的だったのは、橋爪さんのレオノーラ。実に豊かな声量で、しかも表情豊かに情感たっぷりと歌い上げているのが見事です。このオペラの中での最大のクライマックスで歌われるアリアにふさわしく、まさに堂々とした演奏でした。この演奏に対する高い集中力が、聴衆の耳を釘づけにしたことは言うまでもありません。また、松本さんのロドルフォも素敵でした。前にこの人の演奏を聴いた時に比べて、格段と腕前を上げている、そう実感します。これまで、その間に数々の賞を受賞されているだけのことはありますね。高音でややハスキー気味になるのが、また、いい味を出していて、ロドルフォの切ない思いを表現するのに効果的でもありました。歌い切ったところで、会場からブラヴォーの声があがりましたが、それだけの素晴らしい演奏ではあったと思います。(でも、そのブラヴォーの声の主が実は松本さんの親御さんだったんですけどね…^^;)惜しいと思ったのは、最初の坂本さんのツェルリーナのアリア。かなり緊張している様子で、声もだいぶ固い印象を受けてしまいます。せっかくのこのツェルリーナの可愛らしいアリアが、何か非常に固い、真面目くさったもののようになってしまっていたのが、悔やまれます。

 休憩の後は、室内合奏団の登場です。やはり、これが一番安心して聴くことができますね。室内合奏団をこの数年間聴いての感じですが、ボッセさんの指導の下で、本当に素晴らしい演奏をするようになったと思います。ヘンデルのこの曲も5つのそれぞれ性格の違う曲が並んでいますが、それらの表現の仕分けが、くっきりと出ていて、非常に明快な音楽が作られているのです。加えて、団員全員の音楽に対する集中力が素晴らしいですね。全員がこの曲に対して正面から向かっている、という姿勢がはっきりと見てとれるのです。それは、ボッセさんの指揮だから、ということもあるのかもしれませんが、ボッセさんを中心にして、響きを完全に1つにまとめあげていこうという、音楽作りの姿勢が、非常に密度の高い演奏を作り出しているのに他ならないと思うのです。3人のソロとオケとの対比も実にバランスよく出来ていて、まさに絶妙の演奏ではなかったでしょうか。あの幸田聡子さんも中に加わって演奏していらっしゃるのが、また印象的でありました。

 そして、最後は全員が出てきての「サウンド・オブ・ミュージック」。合唱がメインになっていますが、それにピアノ+弦楽オーケストラの伴奏が、より一層の厚みを加えて、曲全体を盛り上げていきます。こういう曲だと、ソリスト級の人達ばかりの合唱団の合唱が、その持ち味を存分に発揮して、聴き応えのある演奏をしてくれますね。坂本さんの歌う「ドレミの歌」が、ここでもやはりかなり緊張してはる様子で、マリアの生き生きとした明るい感じが出ていないように思えたのが、ちょっと残念ではありますが、雁木さんの「エーデルワイス」もなかなか朗々としていて、素敵でした。圧巻は、ラストの「全ての山に登れ」。修道院長さんが貫禄たっぷりに歌い上げていくわけですが、この役を橋爪さんが見事に歌い上げていくのです。そして、合唱を、オケを後ろに引き連れて会場いっぱいにその歌を響かせていくのは、まさに感動的。これだけでも、十分、聴きに来ただけの価値はあると思えるほどの演奏でした。素敵な演奏会でした。